NHKでやっていたドラマを見た後、小説版を読みました。
まずは、このゴッホの表紙。最近装丁を変えたのかな、私が借りた図書館の本は白地に赤い文字だけで、断然こちらのゴッホの上下巻の表紙が素敵です!!
ドラマを先に見ちゃったから解りやすく読めたものの、完全なる初見で読んだら、ちょっと難しく哲学的で途中長く感じる部分もあったかも。
ドラマ版と小説版と、どうしても比較しながら読み進めました。
ほぼ同じだったけれど、ドラマはとても良く出来ていたんだなあと感心しました。
小説版の方が丁寧に「分人」という考え方を描いていて、この小説が発表された2012年前後、平野さんがこだわっていたテーマだったそうです。
人は複数の人格を持っており、相手によってそれを使い分けていているというか、その人の前の自分がどういう自分であるか?その時の自分が好きかどうか・・・ 等テレビよりも深く説明されていて興味深かったです。
ゴッホの絵を参考に、病んでいる分人を病んでいない分人が消そうとする。それが自殺という行為に繋がるのではないか? という説を元精神科の医師と話すシーンがあります。その説明をするのは、テレビ版では自殺未遂で生き残った佐伯ですが、小説版では佐伯は死んでいます。
それにしてもドラマ版は阿部さんがホントに凄かったんだなあ・・・と思いました。
もちろん柄本佑と鈴木杏もとても良かったです。
小説版は、母親との部分がドラマ版より多く触れられてる印象でした。
もしかしたら妻よりも母の方が息子の事を根本から解っているのかも・・・。
そもそも母親は息子が自殺した事に対して疑問は持っていないんですよね(ドラマでもそう描かれていた)なぜなら握りこぶしをぐっと握っていたから、幼い頃から息子は我慢する時そうやっていたことを知っていたし、弱音を吐けずに頑張り過ぎてしまう性分であることも解っていたから。
若くして亡くなった夫と若くして自殺してしまった息子を持つ母親の悲しさ、ガン末期の祖母と久しぶりの帰省で感じた事のシーンが小説版では印象に残りました。
昔今は亡き夫が撮影した写真の中にいる母。自分が知っている母の顔ではないそれは、父の前にいる母の分人である。
それと、ビール缶のフルオープンですが市場に出るよりもこの小説の方が先だったことに驚き・・・。
★以下ネタバレ★
小説もドラマもですが、最後はまた元に戻ってしまう・・・というのが辛く悲しいです・・・。
空白を満たしなさい 平野 啓一郎 2012/11/27
3年前に自殺したサラリーマンの土屋徹生。「復生者」としてよみがえった彼は、自分の死の理由を追い求める中で、人が生きる意味、死んでいく意味を知る…。新たな死生観を描く長編小説。『モーニング』連載を単行本化
ドラマ版の感想 ドラマ「空白を満たしなさい」凄い・・・
本心
マチネの終わりに
ある男
私の借りた本も、白地に赤い文字(笑)だったよ。ゴッホの方がいいよね。
ドラマは本当に良くできていたよね。
長編を5話にまとめるのって難しいけれどいい具合に削っていてさ。変に説教臭くならないで、最後まで引っ張ていく構成はさすがよ。次回が絶対見たいっていうところでちょうど終わるし(笑)
佐伯が途中退場だというのが一番の驚きだったよね。
<阿部さんがホントに凄かったんだ>
そうそう。怪しげな人物、ぴったりだったよ。
みみこさんちで感想探したんだけど見つからなくて。まだアップされてなかったのね。
楽しみにしているね!
そうそう。本を読んでいかにドラマが上手く作られていたか?が解ったよ。
私もこのドラマで、最初にがしっと掴まれてしまったのが鳩のシーンだったんだ。凄いインパクトでね。
小説ではどう書かれてるのかな?って思いきや、わりとさらっと書かれていてビックリ。
佐伯が途中退場
私も驚いた。
ドラマでも小説でも、ちょっと解らない処があったんだけど、自分はお前の父親だみたいなセリフがあったじゃない?彼の生立ちとか佐伯は調べていたの?
色々ストーカーか?!ってシーンも多くて(ホテルの部屋に先に忍び込んでビデオを置いておくとか) そんなの可能なの?とか思ったよ。
それとも、あのあたりは主人公の頭の中するんだろうか
ドラマで佐伯を生かしたのは社会的配慮だったろうと思いますけど、大事なところの設定を変えた脚本もそれはそれで良かったですよね。
平野啓一郎さんはマチネとある男しか読んでなくて恋愛系の方と思い込んでいました。
これを読んで目から鱗、分人シリーズに興味はありますけど難しそうで腰が引けます。
コメントありがとうございます
私もずっと記憶に残る作品になるの確定です。内容も良かったし、ドラマと小説と2つ見ると更に印象度が一段アップする感じです。
ドラマが先だったので、小説版の佐伯の行く末にはびっくりでした。
あまりにあっけなくて・・・。
私も平野さんの小説は、こにさんと同じのと新しいのと、これで4冊目で、少し前のとか初期の頃のは未読なので今後トライしてみるつもりです。