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「太陽と毒ぐも」「12星座の恋物語 」感想 角田光代

2006-12-06 | 小説・漫画他

「太陽と毒ぐも」
11編の短編集。最初出会ったばかりの頃は、気がつかなかった、相手の許せない部分が、どんどん気になって気になってたまらなくなって来る。それは些細な事なのだけれど、どうしても自分は、そこのところが引っかかって、別れも真剣に考えてしまうようになったり・・・そんな、いろんなカップルを描いています。

恋人同士が一緒に暮らし始めて、気がつく価値観の違い・・。それは、愛だの恋だのを越えて?大きく心理的に作用しちゃう事が有る・・。若い方、既婚者、誰もが、ちょっと笑えて、でも所々共感出来る小説だと思います。
オチが無い内容も多いのだけれど、そこが重要なんじゃなくて、カップル同士の食い違う部分や、許せない部分の描写を楽しむ、という本です。

「二者択一」の中にこんな部分があります。

私達の暮らしは、ドレッシングみたいなものだったと思うことがある。
サラダ油に酢を入れて、ぐるぐるかき混ぜる。なかなか混じり合わない両者は、数秒で、ちゃんと融合し、どろりと白濁したドレッシングになる。34,5年で培って来たそれぞれの生活は、油と酢のようにくっきりと独立した何かで、両者を混ぜ合わせるには、それ相応の気負いと行為が要る・・・中略 けれど、白濁したドレッシングを放置すれば、またすぐに分離してしまう。中略 誰かと暮らすとは、そういうことらしい。
この部分が、すごい!ドレッシングにまさに上手く当てはめてる!!と思いました。
以下↓は、中に含まれている小説のあらすじと、一言感想です。


*サバイバル
俺の彼女は風呂に滅多に入らない。彼女の体臭を気にする日々。
(これは、風呂に入ってくれないような人はヤダわ!)

*雨と瓜
妙に迷信にこだわる彼女にぞっとし、うんざりしてしまう彼氏の話。
(始めて聞く迷信が一杯あった。可笑しくて爆笑してしまった。でも、私も結構迷信に弱い処がある)

*お買い物
買い物依存症の彼氏を持つ彼女の話
(あ~困った彼氏だなー。でも、この手の人って少なからずいそうだな)

*57577
プライベートな事をすぐ人に言っちゃったりする、とても口の軽い彼女にイラつく内向的な彼。心の中でいつも短歌の韻を踏んでいる。
(これは、笑った!!この、物事を何でも57577に置き換えるというのがクセになってるっていうのが、異様に可笑しかった。)

*昨日、今日、明日
「記念日」にこだわり過ぎる彼女に、うんざりしてる彼
(こりゃ、うんざりするわな・・・。それにしても、落ちが意外でビックリ)

*100%
熱狂的巨人ファンの彼と、雑貨など(お皿関係に特に)に、こだわりがある彼女。
(これも爆笑!!特に巨人が買って上機嫌な彼が、豪華な食事に彼女を誘う部分で、自分の誕生日よりも巨人が・・って可笑しくてしょうがなかった。友達の彼氏の一見カッコイイのぶひょんが、実はゲームおたくなのだけれど、そうは思えないほどワイルドでかっこいい。ゲーム系引きこもりゆえ、髪は延び放題、無精髭もそのまま、服はあまり着替えないから体に馴染みすぎて、ものすごく似合ってる様に見える。しかも顔立ちが端正で・・・って部分にも爆笑。

*共有過去
「万引き」を繰り返す彼女に愛想をつかしてる彼・・
(今はこんな状態だけど、勉強一筋で生きて来た彼が、彼女に出会った頃のエピソードは、なにかぐ~っと胸に来ました)

*糧
スナック菓子を主食として食べる彼女にイライラする彼
(彼に怒られるからって、急いで後ろに隠してカニ歩きで移動していく彼女が、可哀想やら、可笑しいやら(^^;))

*二者択一
お酒を飲むと、乱れて?しまう彼女は、愛想をつかされ

*旅路
長年平和に暮らして来たのに、2人で旅に出て見て、貧乏旅行最高!と思ってる彼と、そのケチさ加減に頭に来る彼女の、旅先での価値観の違いの衝突
(これは、こういうことって、良くあると思う。でも旅行から帰ったら、また仲良しになるんじゃないかな?)

*未来
喫茶店で、隣の席に座った人達の話を、ちょこちょこ聞いていて、後であの2人は、こういう関係なんじゃないか?とかって話題で盛り上がるカップル。こういうのがこの2人の共通の楽しみ。ちょっと驚いたけど、こういうのって、意外とやってみると面白いかもしれない。やってみようとまでは思わないけれど。

太陽と毒ぐも
角田 光代 (著)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もう一冊、角田光代さんの本を。こちらは最近発売になった新しい本です。

12星座の恋物語
角田 光代 (著), 鏡 リュウジ (著)

角田さんも鏡リュウジさんも、魚座だそう。(鏡さんのことは良く知らないけれど、角田さんが魚座っていうのは、解るな~って感じがしました。魚座の友達が何人かいるせいもあって・・・(^^;))

12星座、一つ一つに、それぞれ、男性・女性の短編が2つ、計24個のお話が造られているんです。
そんなにたいして面白いって小説でもなかったかな・・・。小説を楽しむというよりは、星占い的に楽しむには良い本かもしれません。

ちなみに私の星座(コツコツ君・ゆっくりさん)は、この本では、あんまり当たってなかったな~(^^;)
血液型とか、星座とかって、絶対じゃないですが・・・。でも、コツコツっていうのは、結構当たってるのかな?なんか・・・ブログとか、日記とか(今はつけてないけど)。努力してるわけじゃないのに、気がついてみると、長く続いちゃってるんですよね・・・。


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6 コメント

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Unknown (藍色)
2006-12-07 02:15:38
latifaさん、こんばんは。
1編6ページ、かなり短いので楽しむには物足りない感じがあったのかもしれませんね。
latifaさんは、ゆっくりさん、ということは山羊座さんですね。
努力しなくても気がつけば長く続いちゃってるって、いいですね。
私は、意識していても、続けるのに難しさを感じちゃう方です。
変な責任感があるのかも(!?笑)。
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藍色さん☆ (latifa)
2006-12-08 08:30:37
藍色さん、こんにちは
そうでしたか~1編6頁しか、なかったでしたっけね・・・。男女それぞれに、1編づつ書かなくちゃいけないので書く方も大変だったでしょうね^^

あ~解ります。責任感と続けなくちゃいけない・・という義務感?みたいのが、楽しさより上回ってしまうと、重圧になって来ちゃうのかな・・・(旦那や子供を見てると、それを感じます)
PS キサトアがもうすぐ届きそうです。
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読んだ記憶が… (こまものやJUN)
2006-12-08 20:56:18
いつ、どこで、どのようにして、知ったのか記憶にありませんが、
買って読んだ記憶があります。僕の本棚にあります(笑)。
無性に恋愛小説が読みたくなって、
読後に彼女欲しい症候群が無性に出てしまうか、
悪い見本が自分にそっくりで無性に落ち込むか…。

おどろおどろしいタイトルに、読み切れるか心配でしたが、
読んでみると、ちょっとブラックが効いていたり、
いろんな意味で生々しかったり、そんな感じがしたのを覚えています。
でも個々の内容はそんなに覚えていません。
「昨日・今日・明日」のオチが何だっけと思って、
その話だけ読み返し、オチでオッと思い、以前もそう思ったことを思い出しました。
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こまものやJUNさん☆ (latifa)
2006-12-09 16:16:06
こんにちは~JUNさん
な、なんと!!!JUNさんちの本棚に、この本があるとは!
すんごく嬉しい気分です。
だって、回りに読んだことある人、皆無ですもん。

悪い見本が自分に似ていて・・・というのは、ちょっと興味が・・・^^ 私もそういうのありますよ~
あ~~このイタイ人、自分もこういうことしたことあるよなあ・・・とか、こういうの解るなあ・・・って・・・
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Unknown (chiekoa)
2006-12-12 15:45:51
こんにちは。「太陽と毒ぐも」はもう、なんというかあまりにも身につまされすぎて(笑)、ものすごいインパクトの本でした。「12星座の~」とはだいぶタイプが違いますよね…。でもどっちの角田さんも大好きです!
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chiekoaさん☆ (latifa)
2006-12-12 16:42:47
chiekoaさん、こんにちは
角田さんの本は、読んでいて、グサッ!と、身につまされる?内容や、深層心理を、ここまでリアルに書くのか??っていう作品が多いですよね。
キツイんだけど、読みたい・・・。後味良くないんだけど、また読みたい・・・(後味良いのもありますが^^)って感じで、すっかりハマってしまっています。
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