ポコアポコヤ

食べ物、お菓子、旅行、小説、漫画、映画、音楽など色々気軽にお話したいです(^○^)

「雨のなまえ」感想 窪美澄

2014-06-08 | 小説・漫画他

「雨のなまえ」
タイトル作は、あまり心に引っ掛かる事がなかったのですが、次の「記録的短時間大雨情報」がエグかったです・・・。
凄くグサッと来る話で、窪さん、よう書くわー、肝が据わってるというか、腹をくくって書いているんだなあ・・と思いました。
次に好きだったのは、最終章の「あたたかい雨の降水過程」でした。トータル4つ★

「記録的短時間大雨情報」
主人公の私は夫と中学生の息子の3人ぐらし。近所のスーパーでレジ打ちのバイトを5年している。
ある日、少々ボケ気味である姑の面倒を見ることになる。義理の兄に癌が見つかったため、それまで母と同居していた義姉が、看病にかかりっきりになるためとのことだけど、一時的に・・とはいえ、もしかしたら、そのまま永遠に・・なのかもしれない・・・。
姑は小奇麗な女性だ。女度も自分より高く、今は亡き義父もダンディで素敵な人だった。
その姑が、かつて嫁に行く前に好きだった近所のカッコよかった男性の話を打ち明けたりする。
どうやら、ちょっとした盗み癖があるようで、彼女のバックの中には、万引きしたであろう小物が入っているのだった。

私の夫は、息子が小学生の低学年の頃、愛人がいて、離婚か?という状況になった事があった。
相手の女性は妊娠したとのことだった。その時に言い争いの渦中、悪いのは夫なのにもかかわらず、私はぶたれ、暴言を吐かれて以来、夫が怖くなってしまった。
その後暫くして、「全て終わったから」と夫は言い、別れた様だったが、もう夫婦に愛情などは無い。諦めの日常が続いているだけだ。

ところで、私のバイト先には、柏木君という若くてカッコいい男の子がいる。おばちゃん達にいじられ、可愛がられている。
私も彼に好感を持っており、食べ物などを差し入れしたりしている。

★以下ネタバレ白文字で書いています★
ある晩、姑が散歩に出たまま、行方不明になってしまう。探し回って、やっと見つけた姑は、かつて好きだった男性に思いを告げなかった事を今でも後悔していると少女の様に泣くのだった。そしてタミコさんも後悔しないようにね、と言うのだった。
その後、私は柏木君に告白し、当然ながらフラれる。次の日にはその噂が広がっており、職場で後ろ指をさされつつも、辞めずに今までと同じ様に仕事を続けるのだった。
以上

「雷放電」
学生時代に知り合った飛び切り美人の彼女と結婚出来た自分は幸せものだ。
彼女の愛する猫が死んでから、彼女は抜け殻になって、寝てばかりいるようになってしまった。

「ゆきひら」
学校の教師をしている自分には、好きだった幼馴染をイジメから救えず、傍観者のまま見殺しにしてしまったというトラウマを引きずっている。そのせいだろうか、いつもイジメに遭う様な女子を好きになってしまうようだ。
今学校に2人の孤立している少女がいる。一人は不登校だったが、ようやっと少しづつ教室で授業を受ける事が出来つつある少女で、もう一人は両親が震災で亡くなって、一人親類宅に引き取られた美しい転校生だ。
2人で一緒にいることが多くなったが、だからと言って親しくなったというわけでもない。

★以下ネタバレ白文字で書いています★
遠足で道に迷ってしまった転校生の女子を探しあて、2人で救助を待つのだったが、救助の人達が見つけてくれた時に、彼女は「助けて!先生が・・」と声をあげるのだった・・。以上
 地震の被災者の子供が、こんな風なイジメに遭うというの、許されない。

「あたたかい雨の降水過程」
私はシングルマザーで、一人息子と2人で暮らしている。
息子は、みつきちゃんという女の子と仲良しだ。
小学校のPTA役員決めやらは大変だ・・・。
みつきちゃんのお母さんは、プリンな頭にパチンコに通っている様で、役員の仕事もすっぽかす人だ。
外見はそんな人だが、クリスマス会に、おにぎりや唐揚げを一杯タッパーに詰め込んで持って来ていたのだった。
でも、ポットに入っている飲み物は、寒いから温まらなくちゃ、という事からか、なんとお酒だったりもする。
私は知らなかったが、実は、息子は毎日のように、みつきちゃんちに入りびたっており、みつきちゃんのおじいちゃんにもなついているのだった・・・。

さすがに温かいお酒を持って来ていたのには、びっくりしたけれど、みつき母って、そんなに悪い人じゃなかったんだよね・・・。子供の友達のお母さんが、ヤンキーやキャバい風貌をしていたり、パチンコに入り浸っているのを目撃とかすると、つい内面を考えずにその人となりや、子供に対する愛情やらも(放任してるんだろうなーとか・・)、決めつけてしまいがちだけど、実はそういう人が、ある部分、ちゃんとしていたり、愛情深く子育てしていたりする・・って事があるんですよね。
人を外見で決めつけてはいけないと、はっとする事って、あります。


各話に、それぞれ「雨」が登場するのは自然なのだけれど、「震災」に関する部分は、うーん・・・、どうも、自然な感じがしないで、無理やり入れた感がするお話もあったかもしれないなあ・・(すいません)

窪さんの小説は、本作以外に3つ読んでいますが、面白いです。
本作を読みながら、きっと窪さんはシングルマザーで息子さんがいるんじゃないだろうか?と、初めてネットで検索してしまい、その予想通りだったので、やっぱりー!と。心理描写とかリアル過ぎますもんね^^
息子さんは最近大学に入学されたとのこと。窪さんが小説家として成功されたからこそ、大学に通わせられた、みたいな事をお話されているのをネットで見ましたが、それまで色々大変なご苦労もされて来たんだろうなあ・・と思います。
またこれからも読んで行きたいです。

(2013/10/18)「雨のなまえ」

「クラウドクラスターを愛する方法」
「ふがいない僕は空を見た」

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 「穴」ネタバレあらすじ・感... | トップ | 「首折り男のための協奏曲」... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
残念! (真紅)
2014-06-12 22:58:16
latifaさん、こんばんは。その後体調はいかがですか?
窪さんのこの本、図書館で借りて読み始めたんだけど、最初のが通勤電車の中で読み辛くて^^;
結局途中まで読んで返却したんだけど、全部読めばよかったなー。面白そうだね。
窪さんの小説って、人間の隠したい(でも誰もが持っている)部分に敢えて光を当てている感じがするよね。
あんまり誰も書いてこなかった、ニッチ小説かも(笑)。
私も応援したいな。
返信する
真紅さん☆ (latifa)
2014-06-20 10:14:46
真紅さーん、こんにちは!
お返事遅れちゃって、ごめんなさい。なんとか元気です。

実は私もこの本の1話目が、なんだか読み進めにくくて、途中で10日放置してしまっていたの。
で、返却前日になって、1話を放棄、先に2話目を読んだら、ぐいぐい引き込まれちゃってね。(その後は全話面白かったので、最後に1話目を読んだよ)

真紅さんも2話目が最初だったら、きっと違っていたと思うわー。
いつか機会があったら、是非またトライしてみて!
返信する

コメントを投稿

小説・漫画他」カテゴリの最新記事