名古屋市南東部の散歩コースでは、かつては農村地帯だった名残といえる植物たちと出会います。
養蚕のための桑、農具や生活用具の原材料になった棕櫚(しゅろ)や桐。雑木林の中で野生化して、花を咲かせ実を付けています。
僕は養蚕農家ではなかったので、親戚のカイコに桑の葉を与えたぐらいの記憶しかありません。なのに、今も桑の実を見ると口に入れ、唱歌「赤とんぼ」を口ずさんでいます。
農業センター傍の散歩コースにある桑の古木を最初に見た時は、その大きさに驚きました。桑畑の木は2㍍ほどだったのに古木は10㍍、いやそれ以上あります。
もちろん自然繁殖した若い木もたくさんありますが、古木の実を味わうには垂れた枝を引き寄せるか、ヒヨドリたちが落としてくれたのを拾うしかありません。
雌雄異株。すでに花期は終り、雄の花は萎み、雌の枝には緑色の小さな実が鈴なりです。
桐も野生化して樹高が15㍍を超えていそうな古木が数カ所に。見上げると紫色の筒状の花が塊になって垂れるように咲いています。
桐は成長が早くて軽いので箪笥や箱、下駄など生活用具の原材料として農家の暮らしに欠かせない木でした。とりわけ、女児が生まれると嫁ぐ時に持参する用具を作るためにと桐を植えたもので、祖母が畑の桐を見上げて「○○(僕の妹)が結婚するときには・・・」と話していたものです。
シュロも農家にとってシュロ縄や箒、束子など生活用品を自給するには欠かせず、一部は副業にもしていたでしょう。雑木林だけでなく竹林にも古木や若木が生えています。
雌雄異株。雄花の開花が始まっていますが、雌花の開花はこれからのようです。
クワ
キリ
シュロ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます