京都に伝わる妖怪・幽霊の里をめぐる水彩画教室の1泊取材旅行最終日は、山田彊一講師ら宿泊組の10人で1300年もの歴史があるという京都の台所・錦市場からスタートしました。
平均年齢は傘寿一歩手前。でも、新型コロナのため例年の宿泊旅行では1番の楽しみである飲み、食い、歌う「三密宴会」を中止、万事控えめに行動したこともあって、みんなの足取りは快調でした。
錦市場を訪ねたのは、ここに伊藤若冲の生家があったからです。
生家は青物問屋でしたが、実質的な経営は弟に任せて十分な時間と高価な絵具を使った大作を量産できたようです。ゴッホとテオ兄弟の話を思い出しました。
長さ400㍍に約130店舗が並ぶ言われる市場のアーケード通りを行くと、至る所に若冲の絵があります。シャッターや懸垂幕、ポスター・・。若冲市場といってもいいくらです。
錦天満宮に立ち寄り、伊藤若冲家の檀家寺である川原町商店街の誓願寺へ。若冲が大根を釈迦に見立て、釈迦の入滅を嘆く菩薩や羅漢、動物・鳥などを果実や野菜で描いた水墨画「果蔬涅槃図(かそねはんず)」をこの寺に贈った(山田彊一講師)そうです。
実物は京都国立博物館に収蔵されているようですが、色彩画家であり新鮮で色とりどりの果実や野菜を身近に目にすることができた若冲が、水墨で描いたのは何故だろう。そんなことを考えながら近くの寺町三条通りにある矢田寺(矢田寺地蔵尊)へ向かいました。
矢田寺の地蔵は、地獄まで行って罪人を救ってくるとか。
本堂に安置された本尊は、高さ2㍍の地蔵菩薩立像。開山した満慶上人が冥土に行き、出会った生身の地蔵の姿を彫らせたと言われ、人々の苦しみを引き受けてくれる代受苦(だいじゅく)地蔵として信仰されています。
境内にある梵鐘は、六波羅蜜寺近くにある六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)の梵鐘が精霊を迎える「迎え鐘」と呼ばれるのに対して、こちらは「送り鐘」と呼ばれ死者の霊を迷わず冥土へ送るために撞くそうです。
本堂や境内には、白や赤の提灯や地獄に落ちた罪人を救う様子を描いた絵馬などが並びます。そんな中で疲れを癒してくれたのは、小さくて可愛いお地蔵さんたち。フェルト作りの地蔵が並ぶ様子をカメラに収めました。
予定していた行程は終りましたが、時間があったのでリニーアルされた京都市京セラ美術館で開催中の「京都の美術 250年の夢」を見てきました。
江戸から現代へ脈々と続いてきた日本画や洋画、書、陶器、工芸などを巨匠の作品でたどり、「京都の美」の深さと幅広さを改めて知りました。
回った寺社などの多くはこれまでにも何度か訪ねたことがありますが、今回のような視点を持って歩いたのは初めて。歩数計によると、2日間で2万8000歩に達していました。
京都への1泊旅行は「Go Toトラベル」を利用しました。
京都での行動は自由で、名古屋=京都間の新幹線(乗車列車の座席が決められた「ひかり」)と、ビジネスホテルのシングルルーム利用を合わせたセット料金は7,540円。
もちろん京都での食事や交通費、拝観料などは自腹ですが、地域共通クーポンでお土産を買うこともできて、名古屋弁で言えば「どえりゃあ、お得だがや」でした。
伊藤若冲の果蔬涅槃図(かそねはんず)
以下は山田彊一講師の妖怪画です
上から錦市場、誓願寺、矢田寺