エッグアーティスト 遠藤一恵
水引工芸家 内野敏子
「人間技とは思えない」
地下鉄車内の展覧会情報で見かけたこんなキャッチコピーに誘われ、名古屋・栄のテレピアホールで開催中の「神の手・ニッポン展Ⅱ」(東海テレビ放送主催)に出かけてきました。展覧会は12月3日(日)まで。
日本人ならではの器用な手先、豊かな感性、粘りと根気、そして高度な技術が生み出すアーティストたちの展覧会。昨年に続く2回目の開催のようです。
出展作家は5人。
卵の殻に装飾を施すエッグアーティストの遠藤一恵、伝統的な水引で立体作品を作る水引工芸家・内野敏子、アニメや映画のメーンになった住まいを40分の1の大きさで作る立体間取りアーティストのタカマノブオ。
それに、紙を素材に絵画の名作などを新たに表現するペーパーアーティスト・中山ゆかり、そして展覧会の途中から入れ替わって展示している墨絵アーティスト・西元祐貴です。
見ていて「すごい」「ほおー」の連続です。
例えばエッグアーティスト遠藤の作品。ニワトリだけでなくガチョウやダチョウ、ウズラなどの卵を模様や紐で装飾した作品は、今にも割れそうな素材に注がれた細心の注意と根気を思うと、近づくのが怖くなります。
内野の細い水引を組み合わせて作り上げた、花や鳳凰の美しさに見とれました。1つの作品に、どれだけの数の水引が使われているのでしょう。数百本、千本・・・。気が遠くなるような創作です。
タカマの立体間取りアートは、映画やアニメの主人公たちの住まいを、手づくりで40分の1のサイズで再現しています。
「幸せの黄色いハンカチ」の炭鉱長屋、「北の国から」の石の家、さらに「ALWAYS 三丁目の夕日」「サツキとメイの家」など。家財道具なども細かく配置され、タカマが映画の忘れられないシーンを思い起こしながら、作業の手を進めたことが伝わってきます。
中山のペーパーアートには「なるほど」の驚きでした。
ダビンチの「最後の晩餐」やボッティチェッリの「春」(プリマヴェーラ)に描かれた名画をモチーフに、絵の中の人間たちを動物に置き換えて仕立てています。紙で作った動物たちの表情が、原作の人間たちに劣らぬ意志と感情を持っているように思えました。
西元の墨絵アート。どちらかと言えば「静」を感じる墨絵ですが、スポーツ選手ら武闘シーンを勢いよく描き上げた作品は、繊細ながらも力強い躍動感と生命感にあふれています。
それぞれ感性、繊細さ、探求心に満ちた匠の作品の数々。まさに人間の技の極みに挑戦するアートを見せてもらいました。
※展示場内での写真撮影は禁止されていますので、展覧会のチラシなどから掲載しました。
立体間取りアーティスト タカマノブオ
ペーパーアーティスト 中山ゆかり
墨絵アーティスト 西元祐貴