月明かりの下の独り言

こちらに舞い戻って参りました。
こちらで、ちょっくら暑苦しく真面目な話題に、取り組んでいきたいと思います。

変わっていくこと

2008-02-19 | 民主主義とは
最近、どうも変わっていくこと、変えていくこと、の難しさを、感じる。

たとえば、保育所制度について。
(2月16日付朝日新聞の記事より抜粋)


●新雇用戦略原案「子育て二重行政解消を」:経財会議民間議員:女性の就業促す
政府の経済財政諮問会議が15日開かれ、成長戦略の柱と位置づける「新雇用戦略」の原案を民間議員が提示した。子育てサービスにおける厚生労働省と文部科学省による「二重行政」の解消や、70才まで安定的に働ける仕組みの導入を通じて、労働に参加しやすい社会を目指す。福田政権の掲げる経済成長戦略の目玉だが、所管省庁は早くも抵抗しており、政府内で大きな議論となりそうだ。
(中略)
保育所制度の見直しが実現すれば、女性が働きやすくなることで経済成長の加速が期待できる上、子どもを生みやすい環境になって少子化対策にもなる。
保育所は、児童福祉法の「家庭での保育に欠ける児童への福祉施設」という位置づけ。多くの母親が専業主婦だった時代に作られた制度で、共働きが当たり前の現代にはマッチしていない。
厚労省によれば待機児童数は約1万8千人(07年4月)。育児サービスがあれば退職せずにすんだ女性も多く、サービスの潜在需要は巨大なはずだ。厚労省は「財源確保が困難」というが、それなら民間参入を促せばよい。消費者のニーズに沿ったたようなサービス競争も期待できる。



保育所制度が決められたのはずっと以前という。
調べてないから分からないけれども、高度経済成長の時期なのかな?
専業主婦が多かった時期、というからには、夫の賃金のみで家計のやりくりができていた頃だったんだろうな。

でも、今現在の自分の生活を考えても、夫の賃金のみでやっていけないこともないけれど、自分が育ってきた頃と比べると、それだけではかなり節約・我慢の生活になることは目に見えていて、さらにちょっとでも子どもになんらかの特別な教育を受けさせようとか、なにかの問題が起こった場合とかを考えると、ほんとうに夫だけの稼ぎでやっていけるのだろうかと不安になる。そうなると、やっぱり子供を産むことを躊躇するって気持ちも分からないでもない。

さらに、女性が仕事を持ち、結婚・出産後も仕事を続けていきたいと思った時に、復職の機会を与えてくれる一つが、きっと保育所なんだろうな。

また別の話題。

これまた、新聞ネタで。
2月17日付朝日新聞朝刊より抜粋


●企業減税特例半数、20年超。延長次々、50年も3件。
 特例として国税の減税を認める企業向け租税特別措置(租特)約60件のうち創設から20年以上たつものが、07年4月時点で全体の半数強にのぼることがわかった。租特には「延長が繰り返され、特定業界の既得権になりやすい」との批判が出ている。租特法改正案は19日にも審議入りするが、民主党は租特の政策効果を検証する法案を準備中で、「税制の例外」のあり方が議論になりそうだ。
(中略)
ガソリン税の暫定税率をめぐる与野党の攻防をきっかけに、租税特別措置(租特)のあり方に注目が集まっている。本来、租特は税制の例外だが、政策効果などが十分に説明されないままずるずると延長を繰り返してきたものも目立つ。税制の優遇策には、どんなものがあるのか。なぜ、長年続いてきたのか。


さて、租税特別措置というもの。それぞれは産業の奨励だったり、弱者保護のために設けられたものが、その意味を失ったあとも、様々な理由をつけて延長されているという。効果がどれ程あるのか、それを調査することも、現状ではできていないという。

この記事の中に見られる、ガソリン税。道路特定財源も、田中角栄氏らの主導で高度経済成長以前に制定された制度。確かに、道路整備には、いろんな付随する効果があるだろう。あの頃には、画期的で、有効な考えだったんだろう。だけど、気候変動や格差社会、少子化などの問題に対処しなくてはならない今現在、道路整備は果たしてそれほど最優先課題なんだろうか。道路の大切さを主張するのはいい。だけど、もっと大きな視野で道路の大切さを議論した場合、どうなるんだろう。

宮崎県知事の東国原さんが、この間も「太田総理」にでて熱弁していた。特定財源がなくなった場合に、宮崎に予算が廻ってこないことを危惧していた。本当に困っている地域に道路を建設することはいいけれど、彼が道路整備を進めたその先にどういった地域のあり方を描いているのか、ハッキリとしなかった。

私自身は、環境問題対策としてこの税額は維持し、一般財源化して、それぞれの地方が自由に使えるようにするという、民主党案に賛成だ。それに対して、この特定財源がなければいけない、という主張の中に、「地方に財源を委ねたら、一部の首長が福祉を削って公共事業を増やすだけ」という官僚の声もあるらしい(2月19日付朝日新聞より)

それこそが、民主主義を信頼していない中央の声だろう。住民の直接選挙で選ばれる地方自治体の首長だからこそ、その財源をどう使うかという権限を持っているのでは?そして、その首長のやり方が気にくわなければ、住民は首長を変える権利を持っているんだ。理想論から言うとね。

現状に問題があるからこそ、変えていくべきなんじゃないのかな。財源確保が困難、っていうことは、今の財政難の時期、大変なのは分かっている。だけど、それを何とかするのが政治じゃないのかとも思う。現状に問題があるんだから、立ちはだかった問題を何とかするのが、政治、ではないか?

もちろん、すべてが満足する結果はあり得ないし、民間からも、市民からも、もっとたくさんのアイデアが出されるべきだろう。小田実さんが主張していたような市民立法ってことは、現状では無理にしても。だからこそ、私は、「太田総理」の番組が、ちょっとばかりあほらしい議論だったり、極端なマニフェストだったりってことはあるけれども、そんな可能性、市民の政治的にすれていない感覚が生きていて、とても面白い番組だと思う。

なんだか、いろいろ脱線しちゃったけれど、やっぱり、変えていくべきことは変えて行かなくちゃ、と思うんだ。

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2 コメント

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太田光 ()
2008-02-21 09:54:26
太田光、好きです。
といっても「太田総理」も観たことないし、好きといえるほどは知らないのですが。時々テレビで断片的に耳に入る言葉を聞くたびにおおっいいなあ、と思ってました。
中沢新一との対談「憲法9条を世界遺産に」という本を、前に本屋で立ち読みしたんだけど(買うべき…)、「体は現実を向いてても、頭は理想を向いてるべきだ」というような彼の言葉があって、忘れられない。

小田さんが闘った「市民立法」。死後3ケ月にして被災者支援法改正が成ったんですね。
解せない強行採決はいくらもあるのに、ほんとに困っている人を救うためのこういう法改正に、どうしてこんなに時間がかかるのか。と思えてしまいます。
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>夏さん (くぅ)
2008-02-21 12:19:50
太田さんと私は、たぶんかなり近いところにいるんじゃないかと思います。
理想主義と現実主義との間のあやういというか、なんというか、そんな所にいるような雰囲気がありますね。
だからでしょうか、時々はっとするような本質的な疑問を投げかけてくるのが、私にとってはとても刺激的です。
『憲法9条を世界遺産に』も、読みましたよ。
かなり、現実主義的な、それでいて9条の持つ理想にも共感している太田さんの意見がわかりやすかったような印象があります。

民主主義というものは、民主主義的な手続きに則って何かが決められていると、見かけ上機能しているように思えますが、実は厳しくチェックしていくことが大切なんだろうなと、最近思っています。
そんな感覚を、小田さんは訴え続けていたんでしょうね。
民主主義の中身に、市民がもっと立ち入らなくてはいけない、政府任せではいけない。
地方自治のことをいろいろ書いてみて、なんとなく私ももっと何かしたくなってきました。
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