デクリネゾンとは、フランスの料理用語だそう。
どうりで、各章の始まりにはオシャレで美味しそうな料理がたくさんでてきて、主人公たちが豪勢にイタリアン、タイ料理、焼肉などなど、そしてお酒をたらふく食べて飲みまくる。皆、売れっ子の小説家で、やっぱり良いもの食べてるんだなあと羨ましく思う。
入り口は、料理だけどこれは食い道楽な小説家志絵の家族の物語だ。
小説家あるあるもたくさん出てきて、アイデア出しに苦しみパートナーに相談してみたり、締切を前倒しに言われるとか、編集者との付き合いとか、どうやって本が出版に至るのかなど事細かく、もうこの話は金原ひとみさんの日常に違いない、と思い込み興味をひかれた。
また、恋人を持つ母親でもあるシングルマザー志絵の心情が細やかに描写されていて、じめじめしがちな(知らんけど)元夫との距離感などを上手に軽やかに保ち、今どきのステップファミリーの生き方はなんと清々しいと思った。