近年特に気になり注目している自動車メーカーがある。
私が免許を取った30数年前は一部の走り屋には定評あったものの、
総合的にははっきり言って2流のイメージだった。
購入時の定価に対する値引きの大きさと下取り時の安さは
当時の一般ドライバーに対する認知度を裏付ける結果そのものだったろう。
但し認めざるを得ないのは一般的なレシプロのような往復動でなく、
回転動機構によるエンジンの唯一の量産メーカーだという点である。
ピストン、カムシャフト、給排気バルヴという
通常エンジンには欠かせない部品も必要とせず、
排気量に対しても出力に勝り機械損失が少ないという点でも
未来のエンジンと言われていた。
もう書かずとも知れた「ロータリーエンジン」である。
1978年に発売されたサバンナRX-7はまだ珍しかったリトラクタブルヘッドライトを
採用し先進的なデザインも若者に人気があった。
マニアならずとも1991年のルマン耐久レース総合優勝を
覚えている者も多いだろう。
だがそれも結局競技や走り屋にとっての大きな魅力である以上の利点は
見出す、活かすことが出来なかったのだ。
レースにおいても余りに構造の違い過ぎる他社のエンジンとは
レギュレーション等の問題で存分に発揮できる活躍の場も少なく、
段々とその人気も先細っていってしまう。
何よりもロータリーエンジン最大の致命的な短所。
一般ユーザー、大衆が望む燃費や低速トルクの効率が悪かったのである。
当時より燃料代は車の維持費の中でも最も重視される費用で、
その後現在に至るまで時代は益々省エネ志向へと向かっている。
一部マニアの支持だけで大企業としてやっていけるはずもなく、
その存続すら危ぶまれる噂もされる状態だった。
また主観ながらもロータリー搭載車以外の主力車種のデザイン、
内装などやはりT社、N社、H社等の他メーカーに比べて
雑でいかにも安っぽさがある感が否めなかったのである。
当時は「東洋工業」と呼ばれていた会社の話だ。
そう1984年に改名された現在の「マツダ」である。
起死回生の代打サヨナラ逆転満塁ホームランとなったのが
1980年発売の5代目ファミリア。
若干当時人気のワーゲンゴルフに似た台形のスタイルは
若かった自分自身も欲しいと思う車だった。
大衆車で電動サンルーフが標準装着されたのもまだ珍しかった時代で、
時代を先取りする若者がブームの牽引車であり重要な購入者だったのも
今とは大きく環境が変わった遠い昔の話である。
流行語にもなった「陸(おか)サーファー」御用達の車でした。
CMで流れた高中正義の「ブルーラグーン」はよく流行り、
今でもたまに聴いているお気に入りの曲でもある。
https://www.youtube.com/watch?v=hxZmBoPO8MU&list=RDhLS0bbENYH0&index=6
余談になるが高中は今では押しも押されぬギタリストになり特にフュージョン系には欠かせない存在なのだが、
かつては加藤和彦率いる「サディスティックミカバンド」のリードギタリストであり、
更にその前にはドクターシーゲルこと成毛滋(なるも しげる)のバンド「フライドエッグ」では
ベーシストだったのであるのを覚えている者は 音楽好きの中高年でももうあまりいないのではないか。
これは単に既に伝説となったギタリスト成毛がいた為、高校生だった高中にベースを弾かせたかららしく、
後年イベント用に復活された際には当然ベースを弾いてたのも懐かしく思ったものである。
成毛と聞いても知らない者は多いだろうが当時の音楽雑誌ミュージックライフの裏表紙に
毎号必ず国産ギターのグレコ(greco)の宣伝が載っておりロン毛パーマで影が掛かって
顔が良く見えない男を見れば思い出してもらえるかも知れない。
https://www.youtube.com/watch?v=PV6Ou1cbGtk&x-yt-ts=1420750445&x-yt-cl=83543002
残念ながら8年前にガンで亡くなってしまった、享年60歳はまだまだ早すぎた。
成毛について書きだすととてもじゃないが今回では書ききれないので話を戻そう。
ファミリアの話だったね。
だが代打のホームランはレギュラー陣の層の薄さの裏返し、
やっぱり一軍のクリーンナップを固定できる実力はなかったように見えた。
それが一体何がどうなってしまったのだろう。
全く違うレベルの会社、いや別の会社かと思う程にいつの間にか変貌していたのだ。
恥ずかしながら社内事情は全く知らないがきっとコツコツと積み重ねてきた
努力が一気に開花したのだろうかと思う。
デザインは欧州のメーカーと言われても不思議に感じない垢抜けたモダンさがある。
見た目だけの話でも決してない。
肝心のパワートレインも負けてはいない、いや更に凄みすら感じるほどである。
2009年に発表された「スカイアクティブ」と呼ばれる技術は
電気自動車やハイブリッド、場合によっては軽に対しても素のままでそれらに対抗できる
驚異的な燃費を誇るエンジンを搭載してきたのである。
もう今では超一流の自動車メーカーの一つになったと言っても過言ではないだろう。
中でも私が注目したのは2.2リッターのディーゼルエンジン。
それがターボチャージで175馬力のハイパワー、
それでいて燃費は何とリッター20(6AT車)という驚異的な数値の車だった。
いつも以上に非常に前置きが長くなったが総合性能に優れるAVV50の最大の対抗馬。
価格もカムリと遜色なく、いや装備を考えると実質的には寧ろ安いとさえ思える。
ディーラーで着座してみると革張りのシートのホールド性もレカロ並みとは言わないまでも
少なくともカムリに比べて遥かに良いではないか。
残念ながら試乗する時間はなかったもののディーゼルの最大の欠点の静粛性も
それほど酷いものではないようなのだ。
某ご隠居のCX-5のレポートは密かに大いに参考にしていたのである。
実のところ私の車に対する好み、条件のうち実は静粛性はそれほどでもない。
エンジン音もある意味車を運転する楽しみの要素の一つだと考えている。
何といっても走って楽しい車、運転する気がする車というのが最優先なのだ。
T車の「Fun To Drive」のキャッチコピーそのものだが、
CFではMAZDAの「ZoomーZoom」の方が一枚上手な気もするな。
曲も耳に馴染んで心地良い。
https://www.youtube.com/watch?v=KZbE4mqm5JI
国際色豊かな老若男女がボディそのものを見せずシートに腰掛けただけのエアドライビングは
今まで見たこともない自動車の宣伝だった。
誰が考えたか判らないがそのセンスの良さも相当インターナショナルなレベルではないだろうか。
ところでMAZDAという社名、東洋時代の実質創業経営者の姓から来てるらしい由来だが、
どうしても「マヅダ」「マズダ」としか読めないのだけどね?
多分外国人は「マツダ」とは発していないように思いますけど如何だろう?
おっと気がつけばいつも以上にこれまた長くなってしまったようだ。
予想された方へのコメントも含めまだまだ書き足りないことばかりだけど
長すぎて読んでもらえそうにもないので今日はこれまでに。
(またまた続く)