11月も下旬になり朝夕の冷え込みだけでなく
寒さや急激な気温差が鈍った体に益々辛くなってきた今日この頃。
そろそろヒートテックのタイツも着用しなけりゃならない。
もう数年、いや10年くらい前の冬ことだ。
近所の居酒屋のカウンターで一人いつものように麦の水割りと刺身を摘んでいると
ひとつ席を空け横に座っている中年女性から声を掛けられたことがあった。
細身でスーツに身を固めてショートカットの髪型もファッショナブルな感じ、
丁度プロゴルファーの遼クンが一時期していたような髪の毛を上げると
側頭部の下から襟首に掛けて刈上げてあるようなスタイルのやつ。
俺よりまだちょっと年齢が行っているようなのと
お金持ちの教育ママ風なのも好みでもなく、
申し訳ないが全く興味の対象外なのは間違いなかった。
一人でカウンター席にいるとその内側の店員や店主と会話したりするのは
自然な話でその女性客も同様に店の女将から「センセ」とか呼ばれていたのが
耳には聞こえていた。
そう呼ばれる職業は学校の教職員を始め医者や弁護士、建築士、
はたまた代議士や芸事、習い事の師匠と多岐に渡るが、
風営法が改正される以前の客引き、いわゆるポン引きと呼ばれる男が
客に呼びかけする際には必ず「社長」か「先生」の二者択一で選ぶのだと聞けば
案外「センセ」と呼ばれる人種はもっと色々いるのだろう。
いずれにせよ客として来ている初対面同士でいきなり言われた台詞が
「あなた心臓が悪いのじゃない?」
今なら時々息切れや動悸が出る場合もあるが
当時はまだ少なくとも自覚症状もない元気満々だった頃だ。
不躾なオバハンと思いながらも一応人生の先輩でもあろうからと
血圧も脈も正常ですがと答えると
「あら、そうなの。でズボンの下に何か穿いてるの?パッチとか股引とか。」
当時の俺はゴワゴワ嵩むのが嫌だったのと我慢出来ない程の寒さでもないという
程度の理由でズボン下は特に何もつけてはいなかった。
彼女によれば寒くなると血液の循環が悪くなってくるので
特に末梢の手足は暖かくしておくのが体に良いらしく、
大丈夫と本人が思っているのは自分がそう思っているだけの話で
実際の肉体には負担が積もり積もって
自覚せざるを得ない悪い状態になるので気をつけなさいよ。
そんな意味のことだったように思う。
一瞥して判断されたのはそういう人相だったのだろうか。
これまた似たような話で10数年前になるが老眼鏡を掛けるようになった際に
眼科医から視力がまだ大丈夫でも目に無理をさせると
神経等に負担がかかってストレスや疲労が溜まるので
年に一度は定期的に検診しレンズも都度合った物に交換すべきだと
言われたのを思い出した。
もう今では眼鏡なしでは本や新聞、帳面類などは見づらくなってしまったが、
健康診断での視力検査では現在でも裸眼1.2程度はあるのよね。
要は遠近の変化に硬化した水晶体が追いつくのに時間が掛かるって訳だわな。
先に彼女が勘定をして店を出た後で何者なのかと女将に聞けば
整体のセンセだったらしいが何故か腑に落ちる部分もあって
何となくそれ以来パッチを冬場は着用するようになったのである。
今晩も当然アンダータイツ着用済みだ。
20時を過ぎて車内はエアコンで暖かいが外に出ると肌寒い。
2号に乗るのも久しぶり。
購入後10ヶ月経っての走行距離は2500キロあまりで
1号が7ヶ月14000キロとは雲泥の違いだな。
仕事を含めて日頃常時使うのと頻繁にドック入りしていて
実際にはその数分の一しか自宅にないので仕方ない。
当初あちこちに手を入れて予想外の出費となった2号も
漸く落ち着いてくれただろうと思った矢先の水温計トラブル。
エンジン始動後その目盛りが全く上昇しないのだ。
大雪さん、オジジさんとの京都オフ会帰りに発生してから
未だに原因が不明な状態が続いている。
電気系統の不具合なのは間違いないだろうが水温センサーとか
ディストリビュータローターとかそのカバーとか入手可能な部品は
先に交換したものの収まらず、かといって単なるデジタルメーターの
球切れみたいな単純なことでもない。
実際にはディーラーの整備士任せなのでどの部分を触ったのか不明だが、
センサーから出ている配線を一部交換したら治った・・・。
と思えたのもほんのつかの間。
久々に乗り込むとまたゲージは元の低温側の一目盛りだけしか
点灯しなくなってしまった。
こうなれば20オーナーズクラブのTさんを頼るしかない。
彼の愛車のリヤガラスの「20特殊部隊」のステッカーに因み、
俺の心の中ではT隊長と呼ばせてもらっている。
彼の20のエンジンルームはいつもピカピカだ。
そういうことで今晩も彼らが集まる月に一度のミニオフ会に参加した訳だ。
因みに隊長、ディーラーのベテランメカニック、それも1級整備士だしね。
今回で参加2回目にとなるこの会だが例によって早めに待ち合わせ場所に
到着するとすぐにホワイトパールの2リッターツインターボ車がやってきた。
降りてきた彼A君とは初対面、会釈しながら近寄るとそこは20仲間、
彼もにこやかに話しかけてきてくれた。
その後続々と集まり出し今回は全部で5台の20が揃った。
2号以外は全てターボ車なのは人気と需要で残っている車の現況がよく判る。
おかしなもので程度はそこそこ良いとはいえ、
走りは勿論、装備や各種性能が彼らの車より劣る
20では廉価車のVXが珍しいのか皆が興味深く見てくれるのは
少々気恥ずかしいがちょっぴり嬉しくもなるから不思議なものだ。
逆に言えば古い20ソアラの中でもこのVX専用の部品は超レアで
更に入手不能ということになる。
奇特なことにA君自身の20は2リッターツインターボ車なのに
ネットでVXのテールランプを購入して交換しようと考えているようだ。
見た目を稀少な部品にするというだけの個別感を味わうってことだね。
旧車マニアなら当然なのか俺以外の皆誰もがかなりDIYをするようで、
トランクを開けると軽整備がその場で出来るくらいに工具が納まっている。
スパナやレンチは勿論、夜間の集合なのでペンライト、懐中電灯も必須だ。
A君の話から3.0GT(3リッターターボ)のH氏、
テールランプなんか簡単に即交換出来るよとA君の開けたトランクに顔と手をつっこみ
+ドライバーを片手に俄かテールランプ交換講習が始まった。
日頃から自分で色々と手を入れているだけあって手際もとても良い。
外したビス類を失くさぬように気をつけて内側のカバーをべろっと捲って
配線のカプラーを外しておしまい。その間5分ほどの時間だった。
このH氏の20も一見程度の良い3リッターという風なのだが実はエンジンは
古いM型から同じ3リッターターボのアリストのJZエンジンに換装されており
改造申請も済ませている車検もOKな合法的なソアラなのだ。
そんなこと考えもつかないと驚く俺に
「いや、手間と暇さえ掛ければ大抵の物は簡単ですよ。」とサラッと言う。
またH氏が皆に披露する為に今日持参したのは自作の改造LEDヘッドランプ。
本体ケーシングは中古部品の流用だが指示器に合わせて光がその方向に
流れる仕組みの物である。
写真では全て点灯しているようにしか見えないのが残念だがな。
ボンネットを空けてその先端上に置き、現状のヘッドランプの配線を外して
仮設するのも所要時間5分~10分だったろうか。
内部の反射板も自作した中々の仕上がりで非常に明るい。
他のメンバーからも好評だったのもあって次回は付け替えて乗ってくるとの話。
そうそう肝心の2号の不具合の件は隊長に診てもらった結果、
エンジン形式が違うのと暗いのとで断定は出来ないものの
シリンダーヘッド下部から出ている配線かカプラーが怪しいと教えてもらった。
現在はその情報を元に再度ディーラーに調査修理依頼をかけているところだ。
次に帰宅するのはいつになるのだろうか。
せめて年内には戻ってきてほしいものである。