ブルブルっと胸のポケットが震える。
同時に数回ピロピロ~ンと鳴って携帯は治まった。
「メールか・・・。」
着信音には拘りがある。
他人が聞いたところで携帯電話に標準で付属している音の一つで
何ら特別なものではないのだが。
かなり以前になるが着メロを嬉しがって選択していた事があったのだ。
その頃はまだ着歌なんてMPプレーヤーみたいな物は当然ない時代の話だ。
毎週のように昔好きだった歌や流行のメロディをとっかえひっかえ入れていたのでした。
どちらかと言えば最新の物より懐かしい系が好みで、
ある時フォーククルセーダーズの「帰って来たヨッパライ」が暫く入れ放しになっていたのです。
フォークルの歌では「青年は荒野を目指す」なんてのもお気に入りの曲の一つだ。
トラブルは唐突にやってくるもので末期がんで何度も手術を受け長い間入院していた義母が
もうこれ以上は施しようがないのでせめて最後は
自宅の畳の上で過ごす為にと戻っていた時の話だ。
仕事をしてる先の携帯に妻からたった今亡くなったと連絡が入ったのです。
実家の義姉から電話があり今からすぐに行って来るとの内容だった。
俺も仕事場から近くなのもあり直接そちらへ向かうことに。
本当に優しくて良いお母ちゃんでした。
こちらが着いて間もなく妻も到着し覚悟はしていたものの義父、妻、義姉と
悲しみを堪えてしばし無言。
沈黙を破ったのは得意先からの俺への電話だった。
40代後半以上の年齢ならどういう顛末かはもうお判りかと思う。
慌てて外へ出て用件は済ませたものの非常に気まずい空気が漂うままで、
妻には通夜、葬儀も無事に全て終わった後で嫌味を言われ、
当然不謹慎だったことは素直に謝罪し表面的には収まったのではありました。
もう流石に口に出る事はないものの妻には何だか今でも根に持たれている気がするのである。
それに懲りて以来着信音は標準のブザーや電子音にしているのだ。
時刻は16時半、滋賀県から会社に戻るのに中国道を降りて171号線に合流したところだった。
会社まではもう10分足らずで到着だ。
さっきのメールは何だったかと胸から携帯を取り出し外からチラ見するが
件名と差出人が会社からであったのを確認してセンターコンソールに置く。
中身を読むまでもない、もうすぐ到着するからな。
片側2車線の追い越し側を走っていると突然「ドッキリカメラ」の野呂さんみたいに
旗を拡げた男が飛び出てくる。
左横の走行車線のトラックも急にブレーキを掛けている、そりゃ驚いたろう。
その男、トラックを静止するように追い越し車線の俺の前にやって来るではないか。
警官だった。
浪速の商人みたいにニッコリほほ笑みながら俺に手招きしている。
「えっホンマに俺かいっ?」て感じだが促されて仕方なく道路の脇に車を寄せる。
警官A 「ご主人、今ケータイ使ってはりましたね。うちの者がこの先で見てるんですわ。」
俺 「ちゃうちゃう、胸ポケットから取り出してセンターコンソールに置いただけやがな。
なんならこの携帯渡すから通話履歴があるかどうか調べてくれたらええで。」
警官B 「違うんですわ。使用していたかどうかは関係なくて見つめていたのが
道交法違反なんです。」
俺 「そんなアホな。タバコを咥える時でもラジオのSW入れる時でも
チラッとくらいは見ますがな。」
認めない俺と容赦のない警官とのこういうやり取りが10分くらい続いただろうか。
警官A 「認めない場合は不服申し立てという制度があるので、それを使ってください。
切符は発行しますが署名は結構ですよ。」
そんな制度は知らなかったが県警本部にやり方は問い合わせてくれと
言われて渋々切符を受け取る。
違反の内容を読むとこれまた仰天、携帯電話凝視2秒と書かれてある。
俺 「兄ちゃん凝視という日本語の意味知ってるか?じっと見つめるって事やで。
俺の場合やとチラ見、つまり一瞥やろ?書き直してくれるか。」
警官B 「2秒というのが凝視かどうかの意味は別にして50キロ走行で
10数メートルになりますからこれはかなりの危険運転に該当します。」ときたもんだ。
警官A ニコニコしながら「まあご主人も納得せんでしょうけどそうなんですわ。」
市民に散々批判されたせいか以前のオイコラ警官の姿はなく
丸っきり銀行の営業みたいな奴等だった。
俺にとってはサラ金の取り立てというのが正しいイメージなのだが。
会社に着くなり県警本部に電話を入れたのは書くまでもない。
本部の担当者はこういう電話に慣れたもので、これまた懇切丁寧な応対だった。
結局不服申し立てはその減点で実際に不利益を被る時点であって
先日免許の書き換えをした俺にとってその1点のせいでゴールド免許からブルーとか
5年の有効期間が3年になったとかの場合でしか出来ないのであった。
今回これがなくともブルー5年の俺には該当しないという訳だ。
今後5年間無事故無違反で次回の更新時に本来ゴールドがもらえるはずが
今回の件でブルーに格下げになるか、
それまでに累積5点の違反をおかしてこの件1点で免停になる場合などしか
不服申し立ての申請をしたところで却下されるとの説明だった。
あ~あ、出来れば5年後に出来るに越したことはないけど覚えてるかどうか自信ないね。
それにしてもこりゃ全くどういう事か、世の中間違っとるよ~。
誠に遺憾に存じます♪♪そりゃ~!!!
コメント
- 北のはげおやじ [2013年2月28日 21:23]
- ゴールド免許の人や、常習者でない人には、まず、指導でしょう。
いきなり、違反切符を切るのは、法律の目的とするところではないように思う。
御気の毒としか言えない。 - 車好きオヤジ [2013年3月1日 6:27]
- はげおやじさん。
期末で目標ノルマ達成の為やないかと思いますね。 - settai [2013年3月1日 9:31]
- 隠れて監視する事は、どこかの国のする事で今の日本国の中で行われている事が問題だと感じます。
2秒間目視する物体によって懲罰が行われる事もどうなのか疑問を感じます。
勿論危険な行為だと思いますが、携帯電話で指導を受けた方々は取り締まり方法に100%納得できないものが有ると思います。 - 若隠居 [2013年3月1日 9:52]
- 停止するように言われた時、もう、議論しても埒があきません。彼らの行為が如何に非合理か、言い続けたことがありますが、全く暖簾に腕押し。
私の後で捕まった男も、速度計測器メーカーに勤務していて、誤差の大きさを訴えていましたが、ダメ。ついには激昂して、俺の金(税金)で飯食ってて、、、!!とすごい剣幕。税金で食べていた小生が恐縮して、だんまり。。。
しかし、警官は、終始冷静。不服申し立てもできますよ、と言われてチョン、でした。いつもこんなですね。交通取締り警官の教育効果大ですね。でも、フラストレーションたまるでしょうね。。。 - 車好きオヤジ [2013年3月1日 12:28]
- settaiさん。
実は過去に2回携帯通話で捕まった事があります。
しかし今回のはちょっと認めがたいですね。 - 車好きオヤジ [2013年3月1日 12:30]
- 若隠居さん。
不服申し立てという制度すら知らなかったですから、
良い勉強になったと思うようにします。
あなたのブログにコメント投稿されたものです。