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オナゴのキ・モ・チ

2014-12-20 23:50:00 | 日記

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「げに女心はよう判らん」なぞと呟いてたら先日たまたま知人から贈られた本がこれ。

求めれば得られるとしか思えないようなタイトル。

早速読んでみるとなかなか面白いのである。

宣伝みたいになるので興味ない方は読み続けないように。

 

「夫婦脳―夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか」

著者 黒川 伊保子    新潮文庫

http://bookmeter.com/b/4101279527

 

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著者を簡単に説明すると昭和34年生まれ、奈良女子大理学部卒の

今流行のリケ女のハシリみたいな人物で、

富士通に入社後AI(人工知能)の研究、開発に携わり脳機能論の手法を用いて

マーケティングに活かす感性を分析、

現在は独立し脳科学の第一人者とされてるらしい。

 

恋愛を対象とする男と女では生殖相性と人としての相性に反比例すると黒川氏は述べる。

つまり「激しく愛し合った男女」ほど人間相性は最悪と言う訳になるのだ。

恋に落ちる二人は「永遠に快適に過ごせる組み合わせ」ではなく

「子孫の生存可能性を上げる組み合わせ」になるらしいのである。

 

では細かい理屈を意識せずどうして選別しているのかと疑問に思う向きは当然あろう事と思う。

それはフェロモンの感知能力だったのだ。

生殖ホルモンの発する匂い物質の嗅ぎ分けは潜在的に行われているのであり、

それは遺伝子情報(免疫抗体)を匂いで知らせている事だと言う。

 

爬虫類以上に進化した哺乳類の場合生殖リスクの高い雌は雄に比べて

自分以外の個体に対して強く警戒する本能がある。

だがフェロモンマッチングに成功した雌は一回の生殖に必要な一定期間だけ

その相手に警戒バリアを解くのだそうである。

 

人間の(女性の)場合は妊娠~授乳期間を入れて約3年。

それが相手の男性に対して「あばたもえくぼ」状態になるので、

その間に生殖行為まで至らない場合は相手の「粗探し」期間に突入となるのだ。

唯一の例外が実の息子で彼には一生この警戒バリアが張られることはない。

 

本能面から見た理想は恋愛から結婚まで3年以内にするのが望ましいと著者は説く。

人間の場合一旦結婚という形になれば色々な制約で粗が見えても即離婚となりにくいからである。

 

古来より男は外に出て狩猟や外敵と戦い妻を養い、妻は家で子育てを始め家庭を守るという

DNAが培われてきた。

それは男女同権、雇用均等法の現代でも脳科学的には客観的に証明されて、

右脳と左脳を繋ぐ脳梁と呼ばれる神経線の束の太さが女性の方が約20パーセント多いのである。

この為女性は右脳と左脳の連携が良いので感じたことが即顕在意識に上がるが、

男性は細かいことに囚われない鈍感力がないといざという際に集中力を継続出来ないのだ。

 

さて恋愛期間より遥かに長い夫婦生活において黒川氏は自分の配偶者から

知人の夫婦まで挙げて細かく説明してくれており、

男の立場からは妻(女性)の言動にフムフム成程と思うことは少なくない。

 

会話の中で目的や結論から対策を優先したい男と

単に自分の考えを共有、理解して欲しい女との違い、

深くて長い溝を認めた上でやっていくのが夫婦関係を継続していくコツらしい。

 

ここまでの話を読んで興味を持った方がいたなら具体的な実例は沢山あるので

一度実際に本を手に取って一読されると良いかと思う。

 

 

まあボクの場合これをくれた知人がいたから読むことになった訳で、

通常の状態ではまず自分で探したり購入する可能性は非常に低かったと思うと、

こうして絶妙なタイミングで最適な情報をもらえるのは

「人生は深い縁(えにし)のふしぎな出会い」とただただ感謝するのみである。

 

 

ここまでは単なるお勧め書評なのだが手放しで礼賛することはないのだ。

全てを鵜呑みしないいつもの天邪鬼的思考で書かせてもらおう。

まあ既に社会的に活躍され、そういう意味では十分エライ人なのだろうから

ボクごときが何を書こうと毛の先程の影響もあるはずはない。

 

まず書かれている目線が著者がそうであるから仕方ない部分もあろうが女性目線。

加えてエンジニアだか科学者だかその考えが上から物申す感じが好きではない。

商売上という事もあるだろうが全て言い切りの断定なのも疑問符がつく。

 

この辺りは彼女のいう女性脳でなく男性脳的なやり方である。

家庭に籠る主婦でなく一企業の経営者でもあるからなのも理解は出来るが、

所詮科学的に判ったことが全てではないのであるというのがボクの考え。

人智の及ばぬなんて言葉がある通り人類が解明できたなんて思っていることは

俯瞰すればまだ1パーセントにも満たない気がするのである。

要は99パーセント以上は判っていないという意味だね。

科学者、研究者達の日々の努力は素晴らしいし、それを否定するものでは決してないのは当然である。

 

女性については残念ながらコメント出来るほど判っちゃいないが、

男同士でも色々な者がいて恋愛に限っても極端に言えば同じと思える者は一人もいないのに、

十束一絡げに男というものはとされると女に関して述べている部分もどうなのってなる訳だ。

 

また彼女が助言している事も科学的に証明されなくても似たような言葉を

多くの人生の師匠から聞いたことがあり彼らは経験や過去の偉人たちからそういう事を

見出して来たのだろうと思えばその意義は十分あろうと思う。

 

この本は学術書ではなくエッセイなので科学的と書きながらもその大部分は著者の

主観なのも若干の矛盾を感じたりもする。

彼女自身もこんな職業で万が一今のご主人と別れるような羽目になると

洒落にならないみたいなことも書いてあったのは正直な気持ちだろう。

 

で、持ち上げたり腐したりしたり一体どう思うのかと突っ込まれる前に最後にボクの結論を書いておこう。

 

女性の心理の一面を理解しやすい本である。

それは例えば人気のある占い師みたいなものかも知れない。

殆どの人間に思い当たる部分があり判らない答えの一つでもあるだろう。

 

書かれてある女性の特徴もボクだけではそんな考え思いも寄らないものである。

そういう意味ではそんな側面を持った女性が案外いると判っただけでも

備えが出来たり、場合によっては寛容になれる気がするのだ。

中学時代の「教科書ガイド」や高校時代の「傾向と対策」みたいな使いが向くのではないか。

但し前者も読んだから即成績向上とならなかったのであるからして、

永遠の難敵を相手にするのに効果、結果を保証するものでないのは書くまでもない話なのだ。

 

個人的には著者やファンには失礼になるのを承知で書かせてもらえば、

「今日の運勢占い」みたいに気になる部分には注意をして良い部分は素直に喜ぶ。

これが一番自分自身を満足させる方法じゃないかなんて思いだよね。

 

所詮この世は男と女だけ。

狐と狸の化かし合いみたいなものではないのかな?

一つに正答が決まるほどは甘くない気がするなあ・・・。

 

(了)