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ムゲンツヅリ

もはやジーザス日記。

役者という人種

2006-11-29 | 読書感想文
最近、もりもり本読んでます。

今更ながら『かもめ食堂』のDVDを購入して、やっぱりこの映画好きだーっと思い、北欧が好きだーっ(今回は「ここ行ったー♪」と知ったかぶりに見るのも楽しかった)と思い、この人たちなんか気になるーっっと思い、こんな本を購入してしまったわけです↓



●『わたしのマトカ』片桐はいり
『かもめ食堂』でミドリさん役を演じた片桐はいりさんが、この映画の撮影のためフィンランドに一ヶ月滞在した時のことを書き綴った旅行エッセイ。
すっごいおもしろかった。も、大好きよこの本。
装丁からして気に入ってしまって、新書を買うのはちとお財布的にキツかったが、本屋で手にしたらなんか「えい、買っちゃえい♪」ていう気分に思わずなっちゃったわ。
も、笑える笑える。
役者さんて、文章書いてもこんなにお客さんを楽しませてくれるもんなのか…と感心。楽しい人生送ってらっしゃるなー。羨ましい!私ももっと積極的に生きよう!旅行先で同行人の語学力に頼りっぱなしになったりせずにな…(今にして思うと、ホントになさけねー私のコミュニケーション能力;;つ、次こそは…!)その方が絶対、おもしろい経験いろいろできるよね。このエッセイ読んでつくづく思った。
私は片桐はいりさんていう女優さんのことそんなに知ってるわけじゃないけど、読んでて、そういう風に行動してるはいりさんの様子がありありと頭の中に浮かんで、それがまたなんかおかしくて(笑)失礼かもしれませんが…。
フィンランドと日本、そりゃあ違う性格を持った国ですが、それのどっちがいい悪いっていうんじゃなくて、その違いをおもしろがれるところが素敵ですね。

●『マダムだもの』小林聡美
今度は、『かもめ食堂』で主人公サチエ役を演じた小林聡美さんの日常エッセイ。
脚本家・三谷幸喜の奥さんでもあられます。
はいりさんの場合は、本を読んで「この役者さんすげーっ」と更に思わせられたわけですが、小林聡美さんの場合は本を読んで逆にわりと身近に感じられてそこが嬉しかったですね。私の中ではなんかもっとこう、キリっ!キビっ!さばっ!とした女性って感じでかっこよくて近寄り難い雰囲気かと思ってたんですよ。そしたら、文章の書き方になんだか親しみやすいものを感じてしまいました。この人もおもしろいわ~!!三谷さんも、なんか想像通りの見たまんまの人みたいだ(笑)


関係無い話ですが、先輩の研究の手伝いで公園でアンケートをとった時に、たまたま答えてくれた女性が、初対面なのにぜんっぜん緊張せずに素で受け答えしてる感じで、なんっかこの人おもしろいな~と思っていたら、役者さんでした。割と舞台とか好きな私はミーハー心で思わず「おおおっ…!」とか思ったわけですが(折角、誘ってくれた舞台には結局行けなかったのですが)。役者さんて基本的におもしろい(魅力的な)キャラクターの人が多いのかもしれない…なんて思っちゃった。

読書の夏でした

2006-09-14 | 読書感想文
ここんとこ読んだもの。
アマゾンさんと仲良くなってみよう。

◆小説
『やさしい訴え』小川洋子
特にそそられる話ではなかったなぁ…
チェンバロという楽器に興味は湧いた。
ちっと大人の奥様向けの恋愛話みたいな感じかしら…

『貴婦人Aの蘇生』小川洋子
今回読んだ小川作品の中じゃ、一番面白かった。
どのあたりを「蘇生」とするんでしょね。アナスタシアとして、もてはやされたこと?
いつも通りの辛辣で切り口あざやかな語り口調で、剥製に埋め尽くされた館だの剥製に刺繍するだのちとグロい要素も含みつつ、ニコという普通じゃない病を持った「不完全」なキャラクターもありつつで、小川チック満載なんじゃけども、なんというか滑稽で可愛い話だったんじゃないかしら。

『凍りついた香り』小川洋子
恋人が自殺した原因を探す旅…なんかこういう話どこかで見たことあるような…。
有り得ないことに、旅先で亡くなった恋人が残したキーワードに次々と巡り会うんだな。そのへんの有り得なさとか、孔雀の番人とか、ファンタジー要素も含んだ現実と入り組んだ世界観が、亡くなった彼の幻影を追い求めてる感じを一層醸し出してるわけですね。

小川作品は、過剰なまでに「整えられた」というか、「美」を重視しているような観がある。そのへんが結構好きなんだけど、ちょっと読みすぎるといい加減うがーってなってくるね;どの作品にも共通する小川的テーマみたいなものがありますね。「完全」と「不完全」とか、「生」と「死」とか、「美」と「醜」とか。醜いものの描写も非常に事細かに、もうグロいからやめてくれってぐらいやるんですよね。そんなに(そういう描写を)入れんでもいいだろうってぐらい。場面を形作るひとつひとつの状況描写が人物の微妙な心情を表現する手段とされていて、そこんとこもっと味わって読み取ると、もっと理解が深まるんでしょけどね。まだまだ小川作品は読み込みが不十分だわー


『月曜日の水玉模様』加納朋子
小川作品とはうってかわって、明るく読める推理小説。ちょっと甘っちょろくて、「へ、そんな理由…?」とちょっと納得しがたいような謎の解明もあるけども、この人の作品の魅力はそこじゃないのでまぁよいです。特に、新幹線でお母さんと会う話はそれだけの理由でお母さんと断定するのは無理があるねぃ(^^;でも、楽しい。なんといっても、ほのぼのと日常の中の謎解きを楽しめるのがよい。あと、ちょっと時代遅れな恋愛模様とか(これくらいが私にはちょうどいいようだ(^^;)。推理小説というよりかは普通に現代小説として、ハっとさせられることやドキっとさせられる描写があって、面白いです。

『うつくしい子ども』石田衣良
人から借りて読んだので、明らかに普段私が読むタイプの本と毛色が違います。
でも、読み応えあった。結構、この人の書き方は好きかも。さっぱりと冷静でありつつ、さまざまな表現方法により、ありありとその時の感覚が伝わってくる。「実話かな?」って思っちゃったくらい、オーバーでもなく安易に解った風でもなく真摯な態度でこういう難しい事件のことを扱ってると思う。
タイトルの「うつくしい」って、タレントとかやって容姿に恵まれてた殺人犯の弟のこととかけつつ、実は何よりも「うつくしい」強い心を持った、主人公のジャガ君のことを指してんだろね。


◆漫画
『Dark Seed』(1)紺野キタ
この作品をきっかけに紺野ブームがきたりしないかなぁ(笑)ハマるなぁコレ。
「ロミオ」とか「ハリポタ」とか「指輪」とか、紺野さんのお好きな作品の要素がここあそこに見られて楽しい。2巻で終わる予定らしいけど、もっとながーく続けてほしいなぁ。

『さんさん録』(2)こうの史代
アイヤーなんとまぁ…こうのさんは引き出しをいっぱい持ってらっしゃることだなぁ…。
ファミリードラマかと思いきや、なんと切ねぇ。そして夫婦の描き方がなんてリアル。
そして参さんが、私が思ってたよりずっと若い人だったわ。なんか「おじいさん」ていうイメージが強いから違和感があるのよね;

『チキン☆パーティー』(3)金田一蓮十郎
トリ~!
やっぱおもしれぃ。終わっちゃってざんねん☆

沈黙博物館

2005-12-19 | 読書感想文
『沈黙博物館』小川洋子 ちくま文庫


「この博物館の欠点は、自分の形見を見学できないっていうことだわね」

「何も兄さんがいなくなったっていうわけじゃない。間違いなく技師さんにお兄さんはいる。だけど、記憶の中にいる人に、手紙が届かないのと同じなんだ。」
「もう後戻りはできないんだ。昨日まで辛いと思っていたことが、ある日気付いたら何でもなくなってる。そういうものさ。」

「私たちの居場所はもう、他にはないのよ。さあ、一緒に帰りましょう。沈黙博物館へ。」




※ネタバレしまくり※
老婆の死は自然なこととしても、少女(主人公が慕う人物)が死んで形見を決める時に改めて主人公がこの博物館の意味を知るとか、そんな終わり方かな~と読みながら思ってたんですが…自覚して逃げ出すまでじゃ終わらない話でしたねー。逃げられなかった。庭師が、焚き火の中に手紙と卵細工を何気なく放り込むシーンが一番ゾクっとして身震いするほど恐かったです。庭師が、というよりはその光景と台詞が。庭師が殺人犯だって気付くの、私は結構遅かったです;冷静に考えるとすぐピンときそうなもんなのにな~。そういう恐い展開はあんまり予想したくなかったのね。なんだか不気味な村だし、数少ない主人公の身辺者がそんな人だなんて…と。でも、そんなところこそがこの物語の見せ場で、切迫した環境をひしひしと感じさせられます。
恐れも、疑いも、真実も、すべてを沈黙のなかに。
なぜ、穏やかで小さな村に沈黙の伝道師という存在が必要なのか。思いも叫びも、降り積もる雪のような沈黙のなかに埋めるしかない。それしか術が無い。泣くことだけが祭りという機会を通して許される。
…解説にも書いてあったけど、「アンネの日記」というキーワードから考えると、やっぱりこの作品も『密やかな結晶』と同じように、いわゆる“夜と霧”の寓意が含まれてるんでしょうね。そう考えるとテーマから何まで納得が行くし、読み返すとまたいろいろ発見がありそうです。が、寓意性があるのはそれはそれでいいとしても、どの物語もとりあえず寓意は関係無く単独で一つの物語としてもちゃんと成り立っててほしいと個人的には思います。興味深い内容で惹き付けられ、読後も不満は無く読んでよかったと思える好きな話でしたが、まだ私は寓意無しでこの話の持つ意味をちゃんと実感できてないと思います。沈黙、形見、脱出不可能な村…死ぬということとか、残すということとか、なんかそのへんモヤモヤと…またいつか読み深めたいものです。

さて、ジョーおねいさん、読んだよー!おねいさんの感想はどこにあるのですかー♪(ごめんなさい、見つけきれてないです;でも凄く読みたいんですがっ)

完璧な病室

2005-10-28 | 読書感想文
『完璧な病室』小川洋子 中公文庫

…グロかったです。グロい四部作。て言うと語弊があるかもしれませんね。もちろん、そんな低級な作品じゃないですよ。緻密で繊細である意味半端じゃないグロさ…おおお食事中はくれぐれもお避けくださいませ。うう。
どの作品も“朽ちていくもの”がテーマだったというか。腐蝕とか侵蝕とかそーいったものが、小川さんの関心どころなのだろーか…。
「生きてるのって、なんか、キモチワルイよね。」(少女革命ウテナ)ていう台詞を思い出した。

<完璧な病室>
四作品のなかじゃこれが一番好きだったかも。生活の匂いのしない、真っ白いシーツのぴんと張られた病室を好む主人公。弱りゆく弟を見ながら、立派な筋肉の男の胸を求める。彼女が好む完璧さは、生とは逆のところにある。でもそれは、死とも遠いところにあるのかもしれない。生きているから、腐っていく。生きているから、死に近づく。

<揚羽蝶が壊れる時>
これを26歳で書いたってか~;;当時の作者とたいして年の違わない私には読み解くことすら困難よ…。

<冷めない紅茶>
これも、謎が多い作品。“死”の話だよねぇ…K君とその奥さんも死んでるの…?そしてこの主人公は、その境界みたいなところに入っちゃってるのかな…?うーむ。薬屋での描写がグロい。“冷めない紅茶”というアイテムがまた、その不自然さが、“生”とか“死”とかそんなものを特徴づけてるよーななんかそんな感じっていうかあーもうよくわからんよ。

<ダイヴィング・プール>
比較的おとなしめの話かな?と思いきや、ところがどっこいこれまた書いてあることをありありと思い描くと大変なことになります。黴って…(ううう;)。清潔さや清廉さそのものだと思ってた人に、誰も知らない自分のひどく残酷な部分を気付かれていたと解った時、どんな気持ちになるでしょう、というお話(…!?)。自分の中の暗闇と、光と、切り離して生きてくことはできないってことですかね。

スリーピング・マーダー

2005-10-08 | 読書感想文
「スリーピング・マーダー」アガサ・クリスティ ハヤカワ・ミステリ文庫

実家帰った時に暇つぶしにと、久しぶりにクリスティなど手に取ってみたのですよ。
ミス・マープル最後の事件と銘打たれるぐらいだから、まぁ面白くないわけなかろうと。

ぶっちゃけた話、あ、あんまし面白くなかった…。(だって犯人最初からアヤし過ぎやねん。)
中学の頃初めて読んで、あれだけ感銘を受けたクリスティに、しかもその代表的作品をつまらなく感じたことに少なからずショックを受けたのですよ。そんで母に(クリスティを集めてたのは母)「面白くなかったよー!!」と文句を言ったところ、「ああ、それ面白くないわよ(・_・)」とさらっと言われ、「ええー;話が違うー( ̄□ ̄;;」と拍子抜けしたとともにちょっとホッとしたのでした。単にミス・マープルさんの話の中では最後に書かれたものであって、ミス・マープルシリーズの代表作というわけではなかったらしい、母曰く。
しかし、久しぶりであるにも関わらず、話の展開にマンネリを感じてしまったなぁ。あれだけ作品書いてれば仕方無いことかぁ…。マープルさん、解ってんならそんな勿体ぶらずにさっさと教えてやりゃいいのにな。最終的に、いつも危機一髪過ぎるっちゅーねん!!何分、体の弱いお年寄りだけにひやひやします(ひどい)
他の作品読んで「いやいや、やっぱりクリスティは天才だ!」と思わせてほしいところですが、『カーテン』読むにはちょっとまだ心構えが。やっぱあれはポアロさん全部読んでからかなと!いつになるのかしら!
今まで読んだなかじゃ、『予告殺人』が一番「すげーーーーっっ!!」って思わせられた(と言っても中学の頃の話ですがね)。『鏡は横にひびわれて』もそこそこ。灯台下暗しというか←基本クリスティってそんなのだけど。『そして誰もいなくなった』は恐かったなぁぁ。