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ムゲンツヅリ

もはやジーザス日記。

「死ぬことと見つけたり」著:隆慶一郎

2012-04-01 | 読書感想文
『死ぬことと 見つけたり』 隆 慶一郎

私が佐賀出身ということで、年配の方が貸してくれました。
でもこのタイトルとこのカバー絵で、「うーん固そうだな・・・」となかなか
手が伸びなかったのですが、以前この方から借りた『天地明察』が
やはり最初は手が伸びなかったけど試しに読んでみると
みるみるうちにハマってしまった!ということがあったので
今回も騙されたと思って読んでみたのですが・・・

久しぶりに萌えました!!!
こんな萌え、本当に久方ぶり!ありがとう!!(笑)

歴史小説なのに、びっくりするくらい読みやすい!全然固くなかったです。
そしてなんていうか、“痛快活劇”っていう感じで、
いかにもフィクションっぽいなーていう部分があるんだけど
ちゃんと楽しませてくれるから嘘っぽくても別にそれでいい!
この作者さんは、映画やドラマの脚本も書かれていた方なのですね。
人を楽しませる術を知ってる方なんだなー。

しかし、未完の作品だったとは・・・。
うーん、最後まで読みたかったなー。
杢之助の最期を見届けたかった。

キャラクター作りが巧いんですね!
どいつもこいつも愛着が湧いてしまいます。
トンデモ“死人”な杢之助どんは何しでかすのかわかんないけど
絶対うまいことやってくれる安心感があって、かっこ良過ぎだ。
佐賀鍋島藩のことをいつも第一に考えてくれてるのが、佐賀県民としてなんだか嬉しい(笑)
正確には、私の地元は鍋島藩じゃなかったんだけどね(^^;
この杢之助どんと中野求馬やら牛島萬右衛門やらとの絡みが
すごいツボをくすぐるんですな~~~
求馬との、立場は違えどもお互いを認め合った同志関係!
萬右衛門との、表にはただつるんでいるだけのようで底に確固として存在している主従関係!!

そして、男女のイロコイ関係もすごいそそります。
ずっと想い続けている女が親友の妻とか!王道!
でも、お勇さんと杢之助の関係もさっぱりしててイイ。
未完の部分のシノプシス?(ってなんだ?)に、
どうも杢之助がお勇さんに「お前に一番惚れてた」的なことを言うシーンがあったらしくて、
あ~~~ちゃんと読みたかったー…。
杢之助の娘・静香と求馬の息子・数馬の関係がまた可愛らしくてツボります。
静香のキャラクターが、父親譲りで剣は強いし芯もしっかりしてるのに、
数馬にずっと秘かに恋してるっていうのが、とっても私好み…vv
下巻の祝言の前の果し合いの話はすごく良かったーv

これ、未完なのが問題ですが
映画とか漫画とかアニメとか(笑)なったら、すごい人気出そうだけどなー。
キャラ萌えが、あると思います(・_・)

そーすっと、きっと佐賀への観光客も増えて地域起こしにもなってまー素晴らしいじゃん☆
(でも、実はあんまり佐賀が舞台になってなかったような・・・長崎とか江戸とかが多かったような;)

なんにしても「佐賀の武士ってかっこよかやんね!!」て思えて
私には嬉しい作品でした(^^)v

『てるてるあした』

2008-03-02 | 読書感想文
『てるてるあした』加納朋子 /幻冬舎文庫

そもそもこの人の作品はファンタジーちっくなのだけど、今回は主人公が十六歳であることもあって、ミステリー文庫というよりももはや児童文学だなーと思った。いい意味で、多感なお年頃の方達にいいんじゃないかしらと思える作品でした。年はともかく、私も常に情緒不安定で多感な人ですからな。しかし、「子供向け」と侮ることなかれ、これが大人の目線から見てもぐさっとくることを結構いっぱい言ってくれるんですな。加納さんには毎度こんな感じでやられている。改めて、加納さんの作品はホームドラマ向きですねぇ。私は文庫派なので、原作読むまではドラマもなんだか見る気しなかったのでドラマ版の『てるてるあした』には全く無関心だったのですが、原作読み終えた今となってはちょっと見てみたかったぞ!今、ドラマ版の公式サイトを覗き見してきたのですが、うーん…サヤさんはちょっとイメージ違ったかも…(あの女優さんは結構好きなんだけど)。照子ちゃんは別に容姿にコンプレックスを抱かなくてよさそうですが…。

人の死を扱った作品は、それだけで重い。その事実だけで容赦ない。これはまさしく少女の成長物語なんだけど、この年であれだけのことを経験して、あれだけのものを得たら、そりゃーしっかりした人間になれるだろう。私も今更ながら、いろいろ経験しなくてわ…なんて思っちゃった。しかしこれもトシなんでしょうか、最初から久代婆ちゃんの言葉の一つ一つに「この人、自分がいなくなったあとのことを心配してるんだなー…」と感じ取ってしまった。ん?小説なんてそんなもんだろう、誰でもわかるわい!って?まぁそうかもしれんが(^^;自分にないものを持ってる妬みからいろんな人のことを「大嫌い」って思う気持ちを誤摩化さない主人公の態度は、なんだか逆に清々しいというか、どっか眩しいものを感じた。あれです、紺野キタさんの『Cotton』で主人公の奈月が高校生の理子ちゃんに感じたような、何と言うか“青さ”(^^;への羨ましさというかなんというか。明らかに自分は、そういうものだんだんだんと、昔と比べると驚くくらい失くしてきてるなー…とふと思う今日この頃。あるとめんどくさいからなんだけどね。特にいらないものだしね。でもなんで眩しく見えるんだろかね。

『ふたつのスピカ』(12)

2007-03-31 | 読書感想文
わわわわわわわわ
うををををををを


ちょっとちょっと、どーすれば…
余りの展開に思わず書き込みにきてしまった。
(ところでこれはカテゴリ「をたくもの」に入れるべきなんだろーか。ちっとも快適にカテゴリってやつを使いこなせてません)


↓そんなわけで思いっきし核心に触れるネタバレ感想です。読んでない方はパスしましょう↓

その…最後の電話のシーンの前までで、「やっぱこの作品凄ぇや…(涙)好きだぜっ(親指立て)」という感じだったのです。眩しいもの、温かいもの、綺麗なものをたくさん見せてくれました。切なさや寂しさすら、綺麗なものに見えた。そして、この巻では、それぞれ一人ずつが自分自身の深い奥の心と向き合っていて、いくつもの独立した話をいっぺんに読んだような、そんな盛り沢山な内容でした。それぞれのキャラにとって核となるような場面では、台詞もモノローグもなく、どれもシーンとして印象に強く残りました。なんかもう全てがキラキラしてるぜ…唯ヶ浜行きたいー…
そんで突然のシュウの訃報は、もうあわあわするしか。あの前振りはこうきたか。うはー…ますます青空の下のシュウのシーンがまぶしい…。一足先に、宇宙に、行っちゃったんだねぇ。うわーうわー。
きっと、いろんな人の想いを抱えて、アスミちゃんは宇宙へ行くことになるんだね。

加納二作品

2007-01-20 | 読書感想文
だいぶ前に読んだので記憶がおぼろげですが…

●『レインレイン・ボウ』加納朋子
加納朋子さんの作品は、女性に共感できるところが多いんじゃないかと思う。
これは“青春群像劇”だそうだから(笑)特にそう思った。
この作品は一人の元ソフトボールメンバーが亡くなったことを軸として、七人の女性の七つのお話がそれぞれ一人称で語られる。凄いのは、それぞれのキャラクター作りが本当にしっかりとされていること。七人の女性は、性格も立場もとる行動も実にさまざま。普通、小説で一人称で語ると作者の性格を反映してなのか、たいていどの主人公も似たりよったりな思考パターンになりそうな気がするんだけど、この作品では一人一人の人格がきちっと確立していて、リアリティがわいた。実生活での友達の語りを、こっそり覗き見させてもらってるような感じがした。いろんな子がいて、いろんな人生送ってて、いろんな対人関係があって…そんな全く違う人生が、時々絡み合うのが面白いよね。
渦中の人物は敢えて見えない存在のままで、という構成は基本的に好き。
うまいよねぇ、加納朋子。
やっぱりこの人は読み続けるわ。

●『コッペリア』加納朋子
基本的に温かい作風の加納さんが、ダーク路線…わりかしダーク読みの(なんだそりゃ)私からすると、まぁ多少甘っちょろく感じてもしょうがないよね、とあんまり期待せずに読み始めたら、ありゃー!
すいません。私はまだまだ加納朋子さんをみくびっていましたわ。むしろ甘っちょろいのは私だった!
終わり方は、やっぱりいつもの加納朋子さんな感じなんだけど、一文一文の情景描写や台詞から醸し出される雰囲気がいつになく硬質で、そのギャップのせいもあってか、なかなかしびれましたわ。
途中のあの、いわゆるこの作品での一番大きな“トリック”が明かされた時にはちょっと拍子抜け。名前ね…。
まゆらと創也の二人が、加納作品では新鮮なキャラクターだった気がするな。

ときめくおはなし

2006-11-29 | 読書感想文
●『魔法使いとリリス』シャロン・シン
ハウルがはやってた時期に、なんとなく買って序盤で止まってた本を、最近なんとなく読み返してみたら意外におもしろかった。結構、お気に入りです。
文の書き方がさらっとしていてしつこくなくて、それでいて情緒的なところが私好み(笑)
ファンタジーを装った純愛小説じゃないですかこりゃ~素敵だなぁ。ときめいたなぁ。
ラストがね、いいよね。哀しくて、キレイだよね。(誰に語りかけてるんだ)
(カバー絵でネタバレしちゃってるよ!)

●『虹の家のアリス』加納朋子
不本意ながら、一作目の『螺旋階段のアリス』を読まずにこっちを読んじまった。しゃあねえ。
トリックの種明かしは、いくつか「…(・・?」て感じでイマイチ腑に落ちないものもあったけど、ま、気にしない(笑)加納さんの作品には、そんなこと以上に惹かれる部分があるからね。でも、「鏡の家のアリス」ではかんっっっぺきに騙された!ヤラレタ。私の受けたショックも仁木順平並に大きかったですよ…しかもトリックに引っかかっただけじゃなくて、人を見る目とか物事を捉える目とかまで試されちゃったようで、もう本当に恐れ入りましたよ加納朋子さん…。
そしてそして、最後の最後、「夢の家のアリス」でなんだかときめく展開が見られたじゃないですかい!なんですかそれ、しっかり者で美人の女の子×ちょっと厄介者で意地っ張りな男の子だなんて私好みのカップリングの登場は!?いつの間にー!!(このへん、私の迂闊さには一作目を読んでいないことを考慮していただきたい。あ、どうでもいい?)私立探偵・仁木順平の洞察力はサスガですな。これには安梨沙ちゃんも適いやっせん(そんな所長と助手の関係も好きだー)。