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すみれ色の貴婦人 ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝

2019年10月08日 | ヴァイオレット・エヴァーガーデン
この映画のラストで、モネの『日傘の淑女』と同じアングルで捉えられたエミリーは、日傘を落としてしまい、一人称も「わたくし」から「僕」に戻ってしまっている。このときエミリーが着ているドレスはすみれ色。エンディングでは、舞踏会で着ていた白いドレスだ。エミリーは、ヴァイオレットに本当に恋をしていたんだなぁと思う。

 エンディングの日傘を差したヴァイオレットは、エイミーに会いに行く途中かと思ったのだが、カモメも飛んでいるし、エンドロールで流れる本編劇場版の予告編と同じ海岸沿いかもしれない。エイミーの住む屋敷は、海からは離れた山の方にありそうだ。

 「デビュタント」って、社交界デビューということか。学園は女の園だから、あくまでもその予行演習という位置づけだろうか。

 エイミーの学業や成績、評価は、思わしいものでなかっただろう(挙手せず、そっぽを向くエイミーを見る隣の席の生徒のまなざしは、孤児院でテイラーについて聞かれた年長の少女の表情を思わせる)。学園からヨーク家に連絡が行き、ヴァイオレットが「家庭教師」として着任することになったということだろうか。

 ヨーク家には、最初からお目付役兼家庭教師して侍女をつけるという発想はなかったのか。しかし、ヴァイオレット以外に、クラスに最低1人はいる他の「侍女」も、お嬢様と年の近い少女のようである。日本の貴族でいう「乳母子」(めのとご)のような赤ん坊の頃からの固い絆がないと、全寮制の学園で主従の共同生活を送るのはむずかしいだろう(『かぐや様は告らせたい』のかぐやとハーサカが、まさにこの乳母子の関係の典型である)。ヨーク家では、エイミーと年の近い侍女候補を見つけることができず、王家を通じて、ヴァイオレットに白羽の矢を立てたということか。彼女は年齢も近く、養女とはいえ貴族のエヴァーガーデン家の令嬢であり、さらに守秘義務のある郵便社で働く民間の職業婦人でもある。

 デビュタントの冒頭、純白のドレスに身を包んだエイミーとヴァイオレットは、まさに新郎新婦ご入場である。二人の門出を祝福するかのように、鳩まで飛び立っている。ヴァイオレットの斜めになった足のポジションが、女性らしくありながら凛としていて好きだ。そして、ヴァイオレットと一緒に踊って、幸せいっぱいのエイミーは、本当にかわいらしい。土曜、日曜、月曜と観続けたが、ちっとも飽きることがなく、また新しい発見があった。

 姉妹揃って熊好きなバートレット姉妹(三週目特典表紙)。



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