新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

大津のアウラ 荒城の月にあこがれて

2024年04月30日 | おでかけ
昨日、摩耶山から地元に帰ると、土日祝は休日のいつものお母さんのお店に、電気がついていました。シャッターは降りていて、「本日定休日」の看板も出ていましたから、身内の集まりだったのでしょう。

自宅に戻り、日曜に採ってきた蕗を届けることにしました。

シャッターをノックすると、お母さんは不在で、お孫さんとおぼしき男性が対応してくれました。おばあちゃんに豪華食材を用意してもらって、友だちと鉄板パーティを楽しんでいたようです。蕗もご存じなかったようです。ちょっと残念な気がしましたが、私だって、彼と同年代のころは、野菜より肉が圧倒的に好きでした。

今日、仕事帰りにお母さんのお店に訪ねると、お孫さんがとりあえず冷蔵庫に入れておいた蕗を届けたのは私だったことは、お母さんにはお見通しだったようです。とりあえず、湯がいてアク抜きして、味付けはこれからとか。

お母さんは、お貸しした宮島未央『成瀬は天下を取りにいく』を読んでいるところなのだそうです。たまたま、女の子のお孫さんのお名前が、「成瀬」と同じ「あかり」なんだとか。

大阪のあかりちゃんは、当面、就活で小説を読むひまもゆとりもなさそうですが、希望通りの会社に行けるかどう別に、秋には白黒つくでしょう。そのころ、ぜひあかりちゃんに、大津のあかりちゃんの物語を読んでくださいとお願いしました。

シリーズ第二巻、『成瀬は信じた道をいく』を4月26日の金曜に買い求めました。

翌日土曜は摩耶山の予定だったのに、午前三時すぎまで、最後まで読みふけってしまいました。お神酒も過ごしてしまったので、予定は変更です。


滋賀愛あふれる『成瀬』シリーズにすっかりハマってしまった私ですが、大阪に30年近く住みながら、滋賀県に行ったのは両手で数えるほどしかありません

営業時代、大津には得意先もあったのですが、電話とファックスと宅急便で用が足りてしまい、なかなかお近づきのチャンスがありませんでした。

若いころ、考古学の道をめざしたのも、水中考古学の先駆的な入門書でもある『琵琶湖水底の謎』に出会ったことでした。大津まで新快速で40分の大阪に移り住めたことは、私にとってもラッキーでした。今はさすがに考古学探求の情熱は薄れています。しかし、労組の日帰りバスツアーで、琵琶湖水族館に行ったり、『成瀬』に出てくるミシガンに乗ったり、近江八幡のラ コリーナーに行ったのは、楽しい思い出です。

私と滋賀とのファーストコンタクト(?)は、今の会社に入ったころです。

当時は北摂住民でした。新快速で座れたのに安堵して、寝過ごしてしまったのですね。気がついたら、京都も大津もとっくに通り過ぎており、栗東(りっとう)でした。

「困ったなあ」と思いながら、路線図を眺めていると、「安土」という駅名が目に入りました。


「安土城!」


なぜか急に元歴史少年の血が騒いで、安土で下車することにしたのでした。


秋でした。そして夜空には雲ひとつなく、月見にもってこいです。

駅前のコンビニで酒を買って、安土城跡で、「荒城の月」と洒落込もうかと思ったのです。

現在の新快速は安土には停車しません。新快速だったのは私の勘違いで、実は快速だったのかもしれません、しかし、30年近く前のダイヤ編成では、安土にも停まったような気がします。

ところが、あのころ、安土駅の駅前にはコンビニなんかありませんでした(今も?)。

それでも、とりあえず安土城址をめざして歩きました。

スマホなんかない時代です。
街灯の少ない田舎道を歩いていても、安土城への行き方はわかりません。安土城に行くのはあきらめ、となり駅の近江八幡をめざすことにしました。

小一時間かけて近江八幡駅の駅前たどり着くと、マイカル近江八幡(現在のイオン近江八幡)が、まだ営業時間中でした。フードコートでスガキヤのラーメンを食べて、北摂に戻ったものです。

ここからは、歴史オタクめいた記事になります。

『近世大坂の都市社会』という名著のある歴史学者の塚田孝が、都市大阪について、こんなことをいっていました。都市の起源としては、古代の城市(都)、門前町、湊町、宿場町、近世の城下町などがあるけれど、都市大阪のユニークな点は、そのすべてを兼ね備えていることだというのです。

しかし、大津だって大津京があり、三井寺(園城寺)や石山寺の「門前町」であり、琵琶湖水運の「港町」であり、東海道五十三次の「宿場町」であり、大津藩・膳所藩が存在した城下町でもあります。松尾芭蕉も膳所藩に弟子がいて、大津によく身を寄せています。

雑なまとめ方になってしまいますが、大津には独特の土地のアウラ(土地のたましい)がありますね。

シリーズ第二作、『成瀬は信じた道をいく』の感想はまた改めて。



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