熊取見張り番  私も結成にかかわって、新しい「熊取町を良くする住民の会」が発足しました。あなたもご一緒にどうぞ!

会の構成員も目標も違いますが、類似点も多いです。大浦の責任で、見張り番と「住民の会」情報を区別をつけて発信します。

過去5年間の談合にる熊取町の損害賠償請求

2009年07月13日 | Weblog
請求の趣旨
1 被告熊取町長は,別紙請求一覧表相手方欄記載の各会社に対し,同一覧表損害額欄記載の額の金員及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による金員を熊取町に支払うよう請求せよ。
2 被告熊取町長は,相手方熊取建設業協同組合に対し,金8億5983万9750円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による金員を熊取町に支払うよう請求せよ。
3 被告熊取町長は,相手方・○○理事長に対し,金5000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による金員を熊取町に支払うよう請求せよ。
4 被告熊取町長は,相手方・△△専務理事に対し,金4000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による金員を熊取町に支払うよう請求せよ。
5 訴訟費用は,被告熊取町長の負担とする。
との判決を求める。
請求の原因
第1 本件の概要
 平成19年10月,熊取町において,町営住宅建替え工事の入札につき談合があったとして,地元業者で組織される熊取建設業協同組合の代表理事をはじめ同組合幹部,建設業者らが大阪府警察により逮捕された。
 この事件の捜査を端緒として,同町においては,町発注の公共工事について上記組合に加盟する業者が中心となり,長年にわたり組合主導により恒常的に談合行為を行ってきたことが発覚した。
 ところが,被告熊取町長は,上記刑事事件で起訴された事件については,業者に対して損害賠償請求を行ったものの,上記刑事事件の捜査や裁判の過程を通じて発覚した恒常的な談合行為については,同行為によって町に損害が生じているにも関わらず何ら損害賠償を求めず,現在,これを放置している。
 本件訴訟は,住民である原告らが,平成15年から19年までの町発注の157件の公共工事において行われた談合により町に生じた損害につき,熊取町長が23の建設業者,熊取建設業協同組合,その関与者らに対して賠償請求を行うことの義務付けを求めるものである。
第2 当事者
1 原告らは,いずれも熊取町の住民である。
2 被告は,熊取町の町長である。
3 別紙一覧表相手方欄記載の会社らは,建設業者であり,熊取町の公共工事の入札手続きにおいて談合を行い落札した業者である。【今勝建設など23社の別紙一覧表は省略】
4 相手方熊取建設業協同組合は(以下「相手方組合」という)は,昭和59年,中小企業協同組合法に基づき設立された事業協同組合であり,その構成員は,熊取町内の建設業者である。なお,相手方組合は平成20年3月22日,総会の議決により解散したとされ,現在,清算手続が開始されている。
5 相手方○○理事長は,昭和61年から平成21年3月まで相手方組合の代表理事であったものであり,また,長男××が代表者である今勝建設株式会社(以下「今勝建設」という)の実質的経営者である。
6 相手方△△専務理事は,本件各談合行為の当時,相手方組合の専務理事であったものである。
第3 本件談合行為
1 談合行為の発覚
(1)熊取町営大原住宅建替工事(第2期)の入札談合事件【以下は事実は判決文による】
相手方○○,同△△,相手方組合の事務職員であった××及び今勝建設の代表者である××らは,熊取町が平成18年8月22日を入札日として行った「熊取町営大原住宅建替工事(第2期)」の指名競争入札に関して,指名通知を受けた今勝建設に落札させようとして,他の指名を受けた業者らと共謀の上,公正な価格を害する目的で,今勝建設に同工事を落札させることに合意するとともに,他の指名を受けた業者らの入札金額を今勝建設の入札金額を超える金額とする旨協定するという談合行為を行った。
平成19年10月,大阪府警は,上記談合行為を被疑事実として,相手方○○,同△△,××及び××を逮捕し,同年11月,大阪地方検察庁は,同人らを同事実で起訴した。
平成20年3月28日,大阪地方裁判所(第13刑事部)は,上記犯罪事実を認定し,相手方○○を懲役
1年6月(執行猶予4年間),相手方△△を懲役1年2月(執行猶予2年間),××及び××をそれぞれ
懲役10月(執行猶予3年間)に処する旨の判決を言い渡し,控訴期間経過により同判決は確定した。
(2)恒常的談合行為の発覚【以下で事実は判決文と組合幹部の供述証書による】
 判決確定後,熊取町住民である原告らが,上記刑事事件の判決書や確定記録を入手したところ,熊取町の公共工事の入札において,相手方組合が,昭和61年の設立当初から,恒常的に自ら率先主導して談合行為を行ってきたことが発覚した。
すなわち,相手方組合では,熊取町発注の建設工事を,あらかじめ定めた順番に従って順次落札し,2巡目からは落札金額が低かった業者から順次落札するというルールを定め,組合員が均等に落札できるようにする一方,チャンピオンと呼ばれる落札予定業者は,ボーリングと称して町役場の担当部署に行き,積算書類等を示しながらその示唆を得て設計金額を探り出し,これを基に予想される入札予定価格に近い入札金額を決め,他の指名業者にはこれよりも高額の入札金額を決めてこれで入札するように指示,あるいは,各指名業者が提出する参考内訳書の原案を渡すという方法での談合を繰り返してきていたのである。

2 本件各談合行為
(1)熊取町は,平成15年4月1日以降,平成20年3月31日までに,別紙談合一覧表記載のとおりの建設工事,道路工事,下水道工事等について,指名競争入札の方法により合計157件【町作成資料全289件より抽出】の入札を行い,入札の結果,同一覧表記載のとおり合計23社が落札し,熊取町とそれぞれ契約を締結した。熊取町は,上記契約に基づき,入札価格欄記載の額に消費税を加算した額を代金としてそれぞれ支払った。
(2)同一覧表記載の各工事は,平成15年4月1日から平成20年3月31日までの間の熊取町発注の289件の公共工事のうち,相手方組合の構成員である会社が落札した工事のうち落札率(入札価格に対する落札価格の割合)が95%を超えるもの及び落札率が95%以下でも,前記熊取町営大原住宅建替工事(第2期)の談合事件の捜査の過程において相手方○○,相手方××らが,談合行為をあったものと認めた工事である。
 これらの各工事において,談合行為が行われたことは明らかである。
なぜなら,前記のとおり,熊取町の建設工事の入札においては,組合加盟業者が恒常的に談合行為を行ってきたことは明らかであるが,その中でも,落札率95%を超える入札については談合行為が強く推認されること,相手方△△が,捜査段階の供述において,設計金額から7%くらいを引いた額が,予定価格の95%以上となり,その価格がチャンピオンの入札価格となると説明しており,談合行為があったことは確実であるからである。
 また,落札率が95%未満の工事であっても,談合を主導してきた相手方○○,相手方△△らが,談合があったことを認めていることから,これらの各工事についてもまた談合行為があったことは確実である。
(3)また,本件各談合行為は相手方組合が主導してきたものであり,相手方○○及び相手方△△は,それぞれ相手方組合の理事長,専務理事として,いわゆる星取り表を作成するなどして,持ち回りでチャンピオンを決める談合システムを運営してきた。
3 相手方らの責任
(1)相手方会社欄記載の各会社は,いわゆるチャンピオンとして,他の指名業者との間で談合し,自らは入札予定価格に近い高額で入札し,他の業者にはそれを超える価格で落札させたのであり,自由な競争を違法に害して,不当に工事価格を吊り上げて,熊取町に対して本来自由競争が行われていれば形成されたであろう価格と契約価格との差額の損害を与えたものである。この行為が,不法行為(民法709条)に該当することは明らかであり,各相手方会社が,各談合行為により熊取町に生じた損害について賠償する義務を負うことは,明らかである。
(2)相手方組合は,その組合の行為として,談合行為を主導してきたのであるから,組合の行為は談合を行った各会社の行為と同様に熊取町に対する不法行為(民法709条)に該当し,各談合行為により熊取町に生じた損害について賠償する義務を負うことは,明らかである。また,組合独自の行為と言えなくても,代表者であった相手方○○の職務上の行為であるので,民法44条に基づき,相手方組合は損害賠償責任を負う。
相手方○○及び相手方△△は,それぞれ相手方組合の理事長,専務理事として,いわゆる星取り表を作成するなどして,持ち回りでチャンピオンを決める談合システムを運営してきたのであり,これらの行為なくしては,前記の各談合行為は成立しない。したがって,相手方○○及び相手方△△の行為は,談合を行った各会社の行為と同様に熊取町に対する不法行為(民法709条)に該当し,各談合行為により熊取町に生じた損害について賠償する義務を負うことは,明らかである。
4 町に生じた損害
(1)上記談合行為により,熊取町に生じた損害は,入札価格(消費税抜)から最低制限価格(消費税抜)を差し引いた額に消費税を加算したものである。
すなわち,談合行為がなければ想定される落札価格は,最低制限価格である。その理由は,熊取町の公共工事の入札においては,事前に最低制限価格が公表されており,このように事前に最低制限価格が公表されていれば,自由競争を行うのであれば,最低制限価格に入札が集中することは,経験則上明らかであるからである。
なお,熊取町営大原住宅建替工事(第2期)談合事件の関係者のうち3社が,自由競争によれば,最低制限価格となる可能性が高いことを供述している。
(2)同一覧表損害額欄記載の各金額は,各談合行為があった工事の入札価格(消費税抜き)から最低制限価格(消費税抜き)差し引いた額に消費税を加算したものであり,各工事により熊取町に生じた損害である。
また,これらを各業者ごとにまとめたものが,別紙談合行為一覧2である。
5 小括―熊取町の有する損害賠償請求権―
(1)以上により,熊取町が,別紙請求一覧表記載の相手方に対して同一覧表損害額欄記載の損害賠償請求権を有することは明らかである。
なお,別紙談合一覧表,同2記載の森田建設株式会社は,商号変更により,株式会社西貫社となっている。
(2)また,熊取町が,談合行為を主導した相手方組合,組合の幹部である相手方○○,相手方△△に対して,談合行為により生じた損害の合計額金8億5983万9750円の損害賠償請求権を有していることは明らかである。
6 違法に財産管理を怠っている
 被告は,上記違法な事実があることを知り,かつ,熊取町が上記請求権を有していることをわかりながら,これを行使せずに放置している。これは,違法に財産権管理を怠っているものと言わなければならない。
7 住民監査請求
 原告らを含む熊取町住民らは,平成21年3月3日,熊取町監査委員に対し,上記損害賠償請求権を行使するよう,監査請求を行ったが,同年5月1日,同監査委員はこれを棄却した。
第4 結論
以上のとおり,熊取町は,別紙一覧表相手方欄記載の各会社に対し,同一覧表損害額欄記載の額の損害賠償請求権を有している。また,熊取町は,相手方組合,同○○及び同△△に対して,それぞれ金8億5983万9750円の損害賠償請求権を有している(なお,請求の趣旨と金額が齟齬しているのは,損害賠償の一部請求を求める趣旨である)。
よって,被告熊取町長は,同請求権を行使する義務があるので,原告らは,被告熊取町長に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,請求の趣旨記載のとおりの請求を行う。