システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に。最近、歩き旅の話題も。

『バカと無知:人間、この不都合な生きもの』(新潮新書、2022)

2024-04-09 22:00:13 | 本の紹介
『バカと無知:人間、この不都合な生きもの』(新潮新書、2022)
ISBN:978-4106109683

こういった類いの本はあまり読まないのですが、こちらのブログで紹介されていて、読んでみることに。
http://blog.livedoor.jp/amiur0358/archives/1081239372.html
まぁ確かに、他の人を見て、なぜそんな思考や行動をするのかと、不可解なことも割とありますし。

僕なんかは、「平和と民主主義」を信望して、科学的・客観的な思考は大事だと信じて、教育の価値も信じる類いの人間ですが、違う視点/異なる見方というか、社会の実態というか、そういう気付きや刺激が得られたようには思います。
(論証が適切か、要検討かもしれませんが)

個人的に興味深いと感じた部分をメモしておきます。
 *不快な言葉が混じりますが、失礼。

●「バカは自分がバカであることに気づいていない」(p.42~)
うーん、実際そういうことがあるような気はします。

精査していないので「あとで見る」的なサイト。
・ダニング・クルーガー効果 ~自分を高く評価していたら危険?!~
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/10267/
・知ったかぶりをする人が知らないこと。
https://note.com/prokofiev/n/n6ee13903df0e

●三人寄っても文殊の知恵にならないこともある。(p.54~)
「賢い者がバカの過大評価に引きづられる…」(p.58)

著者の私見ながら「集合知を実現するには、一定以上の能力をもつ者だけで話し合う」、「それが無理な場合は…優秀な個人の判断に従った方がよい選択ができること」(p.58)

著者もこれが良いと主張しているわけではないようですが、僕もこれまでのいくつかの場面を思い出すと、実際「なぜそんな理由を…」とか、「なぜそんな結論を…」ということもあったり・・・

民主主義や議論の正当性(正統性)は、独裁者に何かを強制されない(結果の内容はともかく)、ということも含まれるのでしょうか。

●「政治的無知」(p.86)
政治学でそのような議論があるそうですが、実際のところ、多くの論点を有権者がきちんと知る/吟味することって可能なのか、という疑問はあります。
(だから行政学?で言われるように、議会以外にナントカ委員会が作られたりするんじゃなかったでしたっけ)

例えば、
・税金は安い方がいい?(税金の使われ方は? 消費税率が上がる一方で、法人税率が下がっていたのは、僕は最近まで知りませんでした)
・公務員の数は少ない方がいい?(日本の公務員数の人口比、国際比較は?)
・都道府県庁の所在地では、都道府県と市は一緒にしないと無駄?(地方自治体の規模と効率性は、色々議論あり。各県庁所在地でも二重行政?)
などなど、色々あるかと思います。

マジョリティ集団で、地位の高い(自尊心の高い)人は、自集団への否定的な評価に、あまり影響されないが、
逆に、マイノリティ集団で、地位の高い(自尊心の高い)人は、自集団への否定的な評価に、強く反発 (p.116~)

この辺は少し整理しきれないので、これくらいで・・・

●愛や共感は、汎用的に戦争や差別などの問題を(必ずしも)解決するわけではない (p.232~)
内集団に対しては優しさとして作用するが、外集団に対して排他的になることもあると。

著者も、共感について「否定するつもりは毛頭ない」と書いています。
ただ、確かに、友人・知人がいたり、報道によって具体的な状況が伝わると、ある出来事をより身近に感じるということはあるかと思います。
それが過度に作用すると、別の集団に対して排他的な印象を持ってしまうことがあるか・・・
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