
とね@Wikiを開設 (数式入力のために)
岡部先生の量子力学のサイトのように数式を使った論文サイトを作るためには、通常TeXという無料の組版ソフトを使う。EMANの物理学に感化されてしまったのかもしれないが、数式の混じった文章を簡単に公開する方法を探してみた。
以前エイチバー(ディラック定数)の入力方法という記事でOpenOfficeの数式エディタを使って数式を入力する方法を紹介したことがある。これは簡単な方法なのだが数式の部分の画像ファイルを変更しようとすると、その部分のソースとなるOpenOfficeのファイルを再編集し、さらに画像に変換しなければならないのでメンテナンス性が悪い。僕の場合、本格的な論文を書くわけでなないのだからTeXを1から勉強するのも大げさだ。(そのうちマスターしたいところだが。)
ブログで直接TeX形式の数式タグを入力できればいいのだが、残念ながらそのような機能をサポートしているブログサービスはまだない。
なんとかいい方法はないものかと探したところ、無料のWikiサービスを使う方法を見つけた。「ウィキペディア」で一躍有名になったWikiという情報共有のしくみであるが、TeX形式の数式入力のプラグイン(追加機能)をサポートしているのが「@Wiki」だった。
さっそく「とね@Wiki」なるページを開設。数式を入力してみた。以下は表示された数式の例だ。数式の画像をクリックすると「とね@Wiki内の数式入力テストの記事」にジャンプする。

これらの数式を表示させるためには、それぞれ次のようなTeX形式の数式タグを入力する。
<math>
int_{0}^{infty} frac{sin x}{sqrt{x}} dx = sqrt{frac{pi}{2}}
</math>
<math>
A = begin{pmatrix}
a_{11} & ldots & a_{1n}
vdots & ddots & vdots
a_{m1} & ldots & a_{mn}
end{pmatrix}
</math>
<math>
frac{pi}{2} =
left( int_{0}^{infty} frac{sin x}{sqrt{x}} dx right)^2 =
sum_{k=0}^{infty} frac{(2k)!}{2^{2k}(k!)^2} frac{1}{2k+1} =
prod_{k=1}^{infty} frac{4k^2}{4k^2 - 1}
</math>
例をもうひとつ。アインシュタインの統一場理論に出てくる「n-バイン場」の場の方程式だ。

<math>
displaystyle frac {partial ^2 k_{betaalpha}}{(partial x^{mu})^2}-
frac {partial ^2 k_{mualpha}}{partial x^{mu} partial x^{beta}} +
frac {partial ^2 k_{alphamu}}{partial x^{mu} partial x^{beta}} -
frac {partial ^2 k_{betamu}}{partial x^{mu} partial x^{alpha}} = 0
</math>
このWikiの数式入力機能を使って入力しておくと、ソースとなる数式タグをネット上で管理できるようになるのでメンテナンス性が向上する。またタグに慣れてしまえば、今後TeXを本格的に使うときにもハードルが低くなるだろう。無料の数式処理ソフトのMaximaもTeX形式による出力をサポートしているのが心強い。
@Wikiのサービスで数式入力機能を使うためにの設定手順はこのページに書いてある
実際に活用できるかはまだわからないが、とりあえずこのような方法もあるのだということを今日は紹介させていただいた。今回の方法のよい点をまとめると次のようになる。
- Web上のTeX形式で数式を管理できるのでメンテナンス性がよい。
- 手軽に数式の混じった文章をインターネットに公開できる。
- ソフトをパソコンにインストールする必要がない。
- TeXをマスターする上でのウォーミングアップになる。
- TeX形式の文書への移植性が向上する。
関連ページ:
@Wiki
http://atwiki.jp/
とね@Wiki
http://www33.atwiki.jp/ktonegaw/
TeXとは(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/TeX
TeXの総合情報(TeX Wiki)
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/
TeXでの数式入力
http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/kumazawa/texindex3.html#formula
@Wiki内で数式を使ったWikiページの例:
工学メモ@Wiki
http://www34.atwiki.jp/june1st/pages/27.html
m次元ユークリッド幾何学スレまとめ@ウィキ
http://www7.atwiki.jp/neetubot/
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でがんばっている者です。このようなレベルの高い
サイトに私が始めたサイトを取り上げていただき
真に恐縮ですが、大変ありがとうございます。
私も学生時代はLaTeX+EPS→PDFでしたが、
今は公開して共同開発するために@Wiki+PNGを
選びました。将来的には下記サイトにあるMathML
やSVGおよびCSSやデータベースを用い、最小
要素の細切れの同じデータからプレゼンやWebや
印刷など様々な出力を作れるWYSIWYGなシステ
ムがいいなぁーと漠然と思てます。(OpenOfficeは最近試してますがうーん…)
http://www.w3.org/2005/Talks/1122-orf-cdf/demo/hybrid.xhtml (Firefox3で見れました)
なお、このとねさんのブログは私の興味ある話題
についていろいろ論理的にまとめられており、
これからもこっそり勉強させていたたきたく思って
おります。これからも何卒よろしくお願いしますー
はじめまして。コメントありがとうございます!
というより私の方こそことわりもなくneetubotさんのWikiを紹介してしまってすみませんでした。
好意的にとっていただいて感謝しております。
私は一応大学で数学を専攻していましたが、neetubotさんのWikiは(難しくて)ついていけませんでした。(恥)大学時代にもう少し真面目に勉強しておけばよかったかと今更ながらに後悔しています。
neetubotさんは学生時代にもTeXやPDFが使えていたのですね。(私の学生時代はMS-DOSで動く一太郎と花子くらいしか。)昨今の学生に与えられている環境は僕の世代からすると羨ましいです。
neetubotさんは面白そうなシステムを計画していらっしゃいますね。ぜひ実現させてください!(確かにOpenOfficeはneetubotさんや私のような目的には向きませんね。エンドユーザーツールとしても動作が鈍い気がしますし。)
> これからもこっそり勉強させていたたきたく
> 思って
私は性格が大雑把なものですから、記事の内容も曖昧だと思いますが、楽しみながら読んでいただければとても光栄です。ありがとうございます!
おります。