
昨今の国会でのやり取りを見ていると嫌気がつのる一方だ。
震災復興、原発・エネルギー問題、年金問題、社会保障、財政赤字、少子高齢化、消費税、外交、どれをとっても政局中心で動いているようにしか思えないし、野党は相変わらず揚げ足取りの責任追及ばかり。与党も内部に問題を抱えて求心力がなく当初のマニフェストでの約束はいったいどこへ行ったやら。。。
期待の持てない政治の現状に暗澹たる思いを抱いている人は多いに違いない。これから先この国に希望は持てるのだろうか?
せめて空想の中だけでも日本から独立してスッキリしたい。そんな思いで30年ぶりにこの「吉里吉里人」を読み直しているところだ。
1981年に出版されたベストセラー。抱腹絶倒なこの小説は高校時代に通学電車の中で何度も吹き出してしまったことを覚えている。
吉里吉里国という「外国」からの視点で当時の日本が抱えていたさまざまな問題がユーモアたっぷりに浮き彫りにされている。30年たった今、この国は何が変わったのだろうか?
閉塞感に満ちている今だからこそ、この本を読む価値が再浮上してきているのだと僕は思う。(と大仰なことを書いているが、実のところ笑い転げながら日曜の夜に再読しているわけである。)
この数週間、身の回りの若い友人たちにも紹介している。文庫本で3冊なのでぜひお読みいただきたい。



「吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)」(Kindle版)
「吉里吉里人 (中巻) (新潮文庫)」(Kindle版)
「吉里吉里人 (下巻) (新潮文庫)」(Kindle版)
「吉里吉里人 (1981年、単行本) 」(Kindle合本版)
ある六月上旬の早朝、上野発青森行急行「十和田3号」を一ノ関近くの赤壁で緊急停車させた男たちがいた。「あんだ旅券ば持って居だが」。実にこの日午前六時、東北の一寒村吉里吉里国は突如日本からの分離独立を宣言したのだった。政治に、経済に、農業に医学に言語に……大国日本のかかえる問題を鮮やかに撃つおかしくも感動的な新国家。
吉里吉里国の独立に日本国政府は仰天、自衛隊が出動し、国民の眼はテレビに釘付けとなった。防衛同好会が陸と空から不法侵入者を監視する吉里吉里国では、木炭バスを改造した「国会議事堂車」が国内を巡回、人々は吉里吉里語を話し、経済は金本位制にして完全な自給自足体制。独立を認めない日本国政府の妨害に対し、彼らは奇想天外な切札を駆使して次々に難局を切り抜けていく。
独立二日目、吉里吉里国の通貨イエンのレートは日本円に対して刻々上昇、世界中の大企業が進出した。だが国外から侵入した殺し屋や刑事らも徘徊、ついに初の犠牲者が出る。さらに日本国自衛隊も吉里吉里国最大の切り札四万トンの金の奪取に乗り出した。SF、パロディ、ブラックユーモア、コミック仕立て……小説のあらゆる面白さ、言葉の魅力を満載した記念碑的巨編。
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