山荘雑記  

 定年退職後 信州白馬の里山に小さな丸太小屋を建て、
その生活の様子や山や旅の思い出など、気ままに書き綴っています。

高齢者と登山

2006年10月31日 | 山登り

 「百名山」が有名になって以来、特に高齢者の山登りが盛んになったようだ。最近,山で出会う人も、若者よりも中高年、それも女性たちの方が多い気がする。かく言う私も間もなく70才、十分高齢者に属し、同年代や更に年輩の方々と毎年夏と秋に山に登っている。2年前の夏、昔の同僚数名(平均72ー3才位)で、大雪渓から白馬岳に登り、栂池に下山したが、途中ですれ違う人には我々が異様に見えたのか、「冥土のみやげに頑張って下さい」と声を掛けられたのには参った。 先週末は、別の職場の昔の同僚たち(平均70歳位)と奈良の額井岳(812m)と曽爾高原に行ってきた。天候に恵まれ、頂上から大和の山々が見渡せ、久しぶりに故郷の山を楽しんだのだが、下り始めた時脚が攣り出し、途中何度も立ち止り、痛さを堪えて下りてきた。今までにも時々起こったが、こんなにひどいのは初めてだった。自宅から近い低山ということで、舐めてかかり、準備運動もせず、いきなり1時間もの急登をした精で、明らかに自分の過失であった。 年齢を取ると当然身体の柔軟性が欠け、脚力も衰え、若い頃のようにダッシュしたり、駆け下ることができなくなっていることをもっと自覚すべきであった。幸い低山で大事に至らなかったが、日頃運動不足の高齢者は特に気をつけなければならないと反省する。


登山と死(2) <白馬岳の遭難>

2006年10月22日 | 山登り

 

今月初めから約2週間、白馬の山小屋に行っていた。私の属する山の会が来年50周年になり、その前祝いの集いが白馬で行われ、それに参加するのためでもあった。ところが、実施当日までの数日間、街でも雨風の悪天続きで、県北部に大雨洪水警報も出ていて実施が心配される程だった。ましてや、山はみぞれ混じりの強風が荒れ狂う冬山だったと思われる。そんな中、高齢者ばかりの登山グループが白馬岳山頂直下の山荘を目指し、不幸にも遭難し7名中4名が亡くなるという悲惨な結果になってしまった。登山パーテイの事情や現場の状況など分からずに、安易に評することは差し控えたいが、何故もう1日下部の安全な場所で待機できなかったのかと悔やまれる。皮肉にも遭難の2日後は快晴になり、遭難がまるでウソのように白馬岳は純白の新雪に耀き、遺体収容に飛ぶヘリが疎ましく見えた。入山は黒部の祖母谷温泉からの長い清水岳コースだったようで、一般登山者としては力のあるパーテイだったと思われるだけに残念である。というのは、かつて山岳部顧問時代に生徒たちを率れてこのコースを登り始めたが、あまりもの長いコースに先の不安を感じ、途中から引き返し別の唐松岳ルートに変更したことがあったからである。10月の山は静かで素晴らしいが、同時に夏と冬の両季節を併せ持つ惑わされ易い時期でもある。亡くなられた方々のご冥福を祈りたい。<写真は遭難2日後(10/9)の白馬岳(右)>