明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

沼津市 公共施設の維持管理

2011-08-05 | 事業仕分け

今週末の沼津市の事業仕分けは、「箱物」事業が半数ほどを占めていました。
老朽化した施設をどうするか、市民の皆さんに難しい判断をしていただくことになります。

公共施設は、 “知的要求に応える図書館”、“作家の作品とその成立にまつわる資料を収集、展示する文学館”、“勤労青少年の福祉と健全な育成(!なんという上から目線!)のための会館”、“高齢者等の教養・文化・福祉の向上を図る(こちらも上から目線!)ための会館”などなど、ある1つの行政目的のために、それぞれ独立した建物を作ってきました。
同じ市内の中に、類似したサービス内容の施設があり、さらに、県や国でも同様の施設が提供されているケースも、本当に良見受けられ、来館者もほぼ一致しているようです。

仕分けの議論でも、再三、重複や類似施設の問題を指摘してきましたが、なかなか30分では住民の方にその本当の恐ろしさは伝わりにくいです。もちろん、それぞれの自治体が説明責任を果たすことが一番大事なのですが。

その恐ろしさとは・・・
老朽化や地震による破損・倒壊、公共投資予算の減額、未来への巨額のツケだと考えています。

まず、地震による倒壊多発がありましたね。さらに耐震未対応の問題も解決されていません。
津波による建築物への被害は甚大でしたが、津波がないにもかかわらず損壊した建築物が続出しました。
たとえば、東京では有名になってしまった九段会館のホールの天井の一部が落下し2人死亡26人が重軽傷を負った事件。同会館は建築後77年の国有施設でした。
東北以外の各地で、このような事故=橋(築43年)が崩落して1人死亡。福島県庁(築57年)、郡山市役所(同43年)、水戸市役所(同39年)、高萩市役所(同53年)、佐野市議会棟(同48年)などは倒壊の危険が生じ使用停止にして機能を別に移したそうです。
このほかにも、事故が起きたり、倒壊の危険が認識されたりする事例が多く発生しました。現行の建築基準法では震度7に耐える強度(S56年以前の物は旧法適用震度6)であっても、老朽化を引き金に壊れたものが多かったようです。

まだ、それほど古くないのになぜ?と思われるでしょうが、それは、公共投資予算の減額が響いているのではないでしょうか。
新規
建設が予算のかなりの部分を占めた時代から、ある時期を境に、更新・メンテナンスに掛かる費用が新設経費を上回っていきました。「維持に予算を食われ、何も新しく建てられない」などの不満からもわかるように、維持に多額のコスト投入することへの理解が十分でなかったようです。
古くなればなるほど修繕等の経費がかさみます。
今後、建物寿命にあわせて、今より少なくとも3割以上多くの予算を確保する必要があるといわれています。
この大震災で公共施設建物の重要性も認識されましたので、財源捻出のためには、聖域といわれる福祉や教育などの予算も、見直す必要に迫られるかもしれません。

仕分けでは、改善策として、
1施設の統廃合(市内、国・県を含めた他の自治体)
2複数目的の施設にシフトする多機能化
3長寿命化のための予算措置
4不動産の有効活用(行政財産の民間貸付等)
5資産マネジメント部署による戦略的経営(公共調達、資金調達、FMなど)

などをご提案しています。

これらについては、PHP総研の公共経営セミナー 地方議員のための政策力アップ講座 「想定外を想定する自治体改革」のなかで、私も8月12日(金)に、「事業の複合化・統合化による効率化と経費削減」をテーマに、講座を持たせていただきます。http://research.php.co.jp/event/2011/07/20.php//research.php.co.jp/etc/060/

もちろん議員さんだけではなく、地方自治体の職員の皆さんでもそなたでも、関心のある方はご参加いただけます。

今後は建設費以上にかかるであろう維持管理経費や建替えコストが、未来への巨額なツケにならないよう、まずは、しっかり現状把握をしていく必要がありますね。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。