明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

三重県事業仕分け 説明がよかった浄化槽 

2011-09-22 | 事業仕分け

三重県の事業仕分けで、わかりやすい説明&資料として印象に残ったものの1つに、「浄化槽設置促進事業補助金」があります。これは、水質改善室、水質改善グループの事業です。
  
あえて他の所管を擁護するなら、もともとこの事業は説明しやすいのだと思います。
 
事業目的は、生活排水の水質改善を図る実施する、と明快であり、手段も合併・単独浄化槽、下水道、農業集落排水などハ-ドの整備が解決の大きなファクターなので、数値化しやすいうえ、水質改善の成果はBODやCODで計ることができるからです。

 
それでも、過去のいくつかの浄化槽設置事業のなかでは、一番わかりやすかったです。それは

1 事業シートが精査されていたこと

対象が箇条書きになっていたり、事業内容が図表化されていたり、

補足資料も、それぞれの浄化槽による汚濁負荷の比較など、定性的なコメントだけではわかりにくい内容を、イメージしやすく、わかりやすく記載されていました。

たとえば、浄化槽の設置に際しての補助を模式図で示し、個人設置型では個人負担が60%、市町村整備だと10%、など、国や地方自治体、個人の負担割合がグラフになっているので、どっちがお徳なのかイッパツでわかります。これを示せば、住民のみなさんにも、個人設置から市町村型共同設置のほうが良いのかも・・・と思っていただけたのではないでしょうか。

住民の協力も促進されることでしょうね。

2 端的な説明だったこと
 5分という時間の配分をよく考えられていました。現状の問題や解決するための方策など具体的に話していただけました。
・具体的な問題として、地形的な特徴から浄化槽の設置割合は全国的に高いこと。
・単独から合併処理へ転換する必要な基数は14万基もあり、その促進のための方策は、補助率の引き上げに求めていること。
・そのため、合併処理の補助額を削減し、単独からの転換補助を引き上げたい。
・しかし、下水道処理にかかる個人負担に比較して、浄化槽が高額なため、不公平感があり、合併処理の補助額を削減には、慎重意見があること。
など、現状分析がよくできていて、具体的でした。

班の結論は、要改善。ダメだから改善、ではなく、より良くするための改善です。
評価コメントは、
・単独から合併処理へ転換するインセンティブはきちんと示すべきである。
・また、土地利用の状況や人口の推移を視野に、下水道と浄化槽とのゾーニングの見直しも必要。
・下水道が安いと考えられているのは、下水道設置費や下水道料金に設備にかかる将来負担が加算されていないためであり、浄化槽は設置した時点で全額払う(ランニングコストは別として)ので、まるで50年リースか一括買い取か、ほどの違いがありますからね。下水道料金も議論すべき。
など、良い議論ができました。

良い説明をいただけると、議論も濃く深くなります。コーディネーターとしては、とても進めやすかったですね。

 事業仕分けでは、実施事業の点検だけでなく、住民の皆さんの事業の理解が進むことが重要な目的です。単独から合併へ、さらに、個人設置より市町村共同型へと、環境にも個人のサイフにも優しい手法への理解が進むことだろうと、期待できた1コマでした。

 
さて、三重県に限らず概して役人の説明は具体性に欠け総花的だといわれますね。
説明は、まず法律や条令から始まり、制度があるから実施するのだ、と大上段のところからその目的や必要性を述べる傾向のように思います。

 
しかし、その目的のためには、具体的にどんな手段があり、それぞれの手段はどのような課題に効果があるのか、実施する必然性みたいなものが実感としてつかめる説明は、薄いと感じてしまいます。1班仕分け終了後の講評の際にも、仕分け人みなさんから、同様のご指摘がありました。

 
私は、このように、事業実施の必要性を制度面から説得する方法を、「予算的説明」と呼んでいます。
大事なのは、その税金が使うべき手段に、必要な量が過不足なく投入され、効果的に終わったのか、を確認するのことです。
だから、「決算的説明」を心がけてほしいと思っているのです。


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