19日は財務省所管の行政事業レビュー公開プロセスに外部有識者として出席しました。
しいて言えば、地方自治体職員として、また事業仕分け先駆者としての知識・経験がある、ということらしいです。日本の各分野の有識者が集まる中、居心地はあまり良くなかったのですが。
財務省関税局の事業は、密輸事犯などを水際で防ぐための「大型X線検査装置」の整備等経費でした。
これは、密輸事犯の悪質化・巧妙化に対応した取り締まり体制を強化するために、大型X線検査装置を港湾に配備し、コンテナで輸出入される貨物の検査を、迅速、効率的に検査するものです。
不正薬物や社会悪物品、テロ関連物品などを破壊することなく検査でき、精度も高いため、貢献できるという説明でした。しかし、全国に16台配備され、1台1日当たり42万3千円、1日700万円以上、1年間で24億7千万円経費がかかっているんですね。
なんでも、いままでの検査は、港にコンテナが入ってくると、特に、要注意な国からの怪しいもの(あいまいな説明ですよね?)を抽出し、40フィートコンテナなら全量取り出し検査で、2時間もかけて行っていたそうです。
それが、導入後は、大きな大きなX線装置の中を通過するだけで、たちどころに画像解析ができるそうで、わずか10分で検査が終わるというスバラシイ装置だそうです。
なるほど、時間の大幅な短縮になり、物流の円滑化には貢献しているようです。日本の港湾のあり方を考えるとき、この時間短縮は輸出入業者にとっても、日本経済にとってもありがたいものでしょうね。
それにしても、税関のそもそもの使命は、まずは水際での取り締まり、それによって安心な社会を実現することと、適正・公平な関税の徴収です。
水際取り締まりのための、この大Xを配備しているのは、全国で13港16箇所、全国の外貿コンテナ取扱量の90%以上がこの配備港で取り扱われるので、かなりの部分はチェックできるともいえます。
その存在を否定するものではないのですが、決して安いものではないので有効に使われているか、成果はあがっているのか、などを確認したいと思っていました。
さて、当日のやり取りです。私が質問したのは、
Q1 成果実績の確認です。シートには非違発見件数しか示されていませんでした。平成12年度から導入したということなので、導入前と導入後の輸入量に対する発見件数、発見率は増加したのかどうか。 これが導入の成果であると思います。正確に答えられないとのことでした。
その理由は、装置が導入されるとそれを避けよそへ逃げていく、社会悪物品が全体の総量としてどれくらい持ち込まれているか分からないので、発見件数は増えているが、割合が増えたかどうかは測れない、という回答でした。
過去の財務省政策評価に関する取り組みがHPで公表さえていましたが、18、19年度以降数値が下がっているようです。
私からのコメントは、このレビューが公開されているため、成果が数値で具体的に示されないのはどうなのか、提示の仕方を工夫をして説明すべきだと感じました。さらに、財務省以外の他の機関、たとえば行政評価局や会計検査院などではきちんと把握されたうえで、導入してほしいですね。効果の検証ができないのに、配備が拡大されてしまったら困ります。
Q2 設置の基準
設置基準はそうなっているのでしょうか。東京湾と水島港での取扱貨物量比較では、実に17倍もの乖離があるのに、設置台数は東京2台、水島1台です。効果的な水際取り締まりを目指すなら、上位に集中配備させた方が良いとも考えられます。
また、この装置はないよりあった方がよいと思いますが、全ての港湾に設置することは困難でしょう。配備するか否かの判断は、外貿取扱量やリスク管理をしながら、今後再リースするのか、休止するのか、拡大するのか、などを決めていかないといけないと考えます。コンテナ取扱量の少ない地方港でもリスクゼロではありませんが、キリがありません。配備要求があっても断れるだけの基準を持つべきでしょう。反対に、必要な個所には、よそから持ってきてでも配備すべきかもしれません。
Q3 リース期間等
更新機器リースは一律に7年だそうです。でも、先ほど言ったように取扱量に大きな差があるため、1日あたりの検査回数にも開きがあります。自動車だって×年経過したから、あまり乗っていないけれど買い換える、なんて人は少なくて、走行距離や老朽化の程度などで買い替えを判断すると思うんです。
私がこの質問をしたら、説明の方から「良いポイントですね」と、上から目線っぽい(と、他の人が指摘してました)コメントをしてくださいました。でも、Fさん、褒めていただきありがとうございます。
評価については、「一部改善」でした。
導入効果の測定を早急に行い、明確な設置基準を設けるべき。そのうえで今後の導入計画を立てていくべき、というものでした。
しかし・・・思ったことを上手く表現するのは、とても難しいですね。
仕分けでは言いたいことの半分も言えず、毎度反省しています。
(でも、このことは、私に限ったことではないようで、皆さんもそのように仰るので、すこし気が楽になります)
続きは次回に。