明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

提言型政策仕分け実況解説 その1 原子力

2011-11-25 | 事業仕分け

20~23日の提言型政策仕分け実況解説のご報告をしたい、と思っているのですが・・・
(PHP総研とユーストリームが共同で実施、こちらから)
http://www.ustream.tv/channel/phpinstitute-tv

 先送りした会議や、溜まった仕事を片付けるのに時間がかかっています。せっかくこのブログを見に来ていただいたのに、みなさま申し訳ありません。

 
さて、提言型政策仕分け実況解説は、私にとっては歴史に残る大事件となりました。16日の衆議院決算行政監視委員会の「行政監視に関する小委員会(新藤義孝小委員長)」への参考人出席と並び、この1週間は一生に二度とはないであろう出来事の連続でした。

 
ところで、私は学者でも政治家でもないので、提言型政策仕分けについて、意義があるとかないとか、その手法がダメだとか、述べるつもりはありません。むしろ、当日交わされた議論に解説を加えながら、「伝えること」が大事だと思っています。4日間ずっと張り付いて聞いていたのは、そのためですから。

 
それでは、Cチーム(政府の仕分けA・Bチームではないので)のコメントをお伝えします。
まず1日目のAチーム、原子力・エネルギー(の一部)を整理しました。
大きなアジェンダのあるものについては、プレセッションが設定されています。(以下には基本理念とエネルギー特別会計の構造が示されています。)

【リンク1】

http://sasshin.go.jp/shiwake/document/d97ffe9e-f5d0-c829-ff85-4ec76c0fffd6.pdf
 

この原子力・エネルギー政策は、エネルギー・環境会議が、23年7月に決定した「革新的エネルギー・環境戦略」具体化に向けた戦略の基本理念に、その方向が示されています。それは、新たなベストミックス(いろんなエネルギーをよりよく組み合わせる)が基本理念の1つ目、
1 原発への依存度を低減する。再生可能エネルギーの比率を高める。
 原子力政策の徹底検証をする。特に核燃料サイクルの終末過程など

しかも、基本理念3には、
1 客観的なデータの検証に基づき戦略を検討する。
2 国民各層との対話を続ける。
とのこと、私たち解説者は、深い議論になることを大いに期待しました。

 
まず、論点の1つ目は原子力関係研究開発予算です。(以下は、エネルギー関係予算における原子力の割合など)

【リンク2】http://sasshin.go.jp/shiwake/document/7f8c95e9-8995-9d71-cd4f-4ec7069549ae.pdf

 
エネルギー関連研究開発予算の各国政府予算の比較からは、日本とアメリカが断トツで高く、しかも日本は圧倒的に原子力予算、再生可能エネルギーはとても少なく、原子力への偏りがよくわかります。
さらに、その大半(21年度決算で76%)は、(独)日本原子力研究開発機構(JAEA)などに支出されるなど硬直した構造です。さらにさらに、JAEAの24年度要求額2,097億円のうち、65%、1,363億円は研究ではなく、施設の維持管理、人件費、事務所賃借などなど「その他、共通経費」で占められています。残り35%が研究開発費、もんじゅ215億円、ITER(イーター)計画226億円など。(リンク2のポンチ絵)多額な予算がきちんと研究費として使われているようには思えない、運営主体(原研)の見直しも指摘されました。特殊施設を保持するためには莫大な経費が掛かるということです。

 
もんじゅは1980年の着工から既に30年が経過し、約9,200億円も投入しましたが、過去の事故により実験は足踏みです。2,050年の実用化を目指していますが、今後、更に1兆円以上もかかるとか。見通しは甘くないです。

 
国内で高速増殖炉の実験を行い、他方で、国際的な研究である、ITER(イーター国際熱核融合実験炉)計画にも参加しているため、負担金も増加する一方です。しかも、どちらもいつ完成するのかわからず、完成するまでにあといくらかかるのかも正確には捕捉しきれません。(場外のCチームでは、まるでマネーイーターだとコメントしました。うまい!)

 
また、核燃料サイクルやバックエンド問題も論点に挙げられました。
現在は、軽水炉サイクル(プルサーマル)で、輸入したMOX燃料を軽水炉で利用し、使用済燃料は海外へ再処理を委託しているそうです。資源節約効果は12割とか。その処理したゴミはガラスで固められ、貯蔵管理センターにしまってあるけれど、これが満杯になりそうなので、地中深く掘って埋設したいのだそうです。使用済核燃料の処理については、ごみは出るけれど最終処分地がない、といった私たちに身近なごみ問題と同様の問題に直面しています。高レベル放射性廃棄物最終処分場の候補地は未定。ガラス固化以外の方法や、安定した地盤探しなども課題です。
また、処分事業を行う
原子力発電環境整備機構(NUMO)の最終処分積立金は電気料金が原資なので、私たちの見えないところで電気料金は嵩を増していると問題視されました。

 
将来の核燃料サイクルは、高速増殖炉サイクルを目指していて、原子力発電所(高速増殖炉)の使用済燃料を再処理し、取り出したウランとプルトニウムを混合燃料にして、10割以上の資源節約できる(だから、増殖)のだそうです。

 
そんなことを30年研究しているうちに、もんじゅは古くなっていきます。この大震災でも、原発施設の設計の古さに加えて、老朽化が大問題に。

 
Cチームは、画面に向かって様々な提言をしました。
1 実施のめどが立たないもんじゅ、並行してITER計画に参加するなど、先が見えない高速増殖炉などの開発に、毎年700800億円投入している。このまま両者をやり続ける合理性はあるのか?廃炉にすべき。
2 使用済核燃料というゴミ問題は、もうゴミ箱がいっぱいなのに、最終処分場所が決まらない。超迷惑施設?の国民理解はどうするのか。NUMOの積立金も透明に。
3 燃料を輸入してまで、巨額の費用を投じプルサーマルで核燃料サイクルを回すことについての疑問。しかも節約効果は1~2割程度である。プルサーマルからの撤退も視野に。再生可能な代替エネルギーに転換すべき。
4 文科省、経産省、環境省など関係する機関の調整に手間取っている時間的余裕はない。いますぐに取り組まないと、税金の無駄以上に生命の危機がある。

 

だいたい、このようなコメントになりました。
Aチームでは、もんじゅを廃炉にして別の道も検討すべき。抜本的見直しでした。

さて、だいぶ長くなってしまいました。次回は電源立地交付金や再生可能エネルギーについて報告したいと思います。


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