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事業仕分け 議論の向こうに明日がある

提言型政策仕分け実況解説 その2

2011-12-06 | 事業仕分け

提言型政策仕分け実況解説の続きです。

提言型政策仕分けについては、様々なご意見をいただきました。
いくつかのご意見から、個々の事業をチェックする従来の事業仕分けと、その上位方針や政策を議論するこの政策仕分けの役割が混乱されているような気がしました。

そのため、政策問題の構造から整理し、それぞれの「仕分け」の役割分担を考えていかないといけないのでは、と思うようになりました。……とは言っても、所詮、現場の役人が帰納法的に考えるものですから、学者や専門家から見ればお笑いかもしれませんが、そこは寛容にお許しを。

原子力政策というテーマは、大変難しい問題があります。
問題」とは、望ましいと思われる社会の状況と、現在の社会の状況とのギャップであり、それを埋めるのが公共政策となるといわれています。

いま、日本で原発という社会問題が生じ、公共政策によって解決すべきアジェンダとして設定されたわけですが、しかし、それによって解決案が容易に策定されるわけではないのですね。

まず、問題といってもその要因は多岐にわたりますし、その要因分析や検証などにたいへんな時間も要しますね。さらに、それぞれの要因の関係からみると、ある要因を解決しようとするとほかの要因がマイナスとなってしまう、いわゆるトレードオフとして指摘できるでしょう。問題と認識する対象が人によって異なるのも、難しくさせる要因なのでしょうね。

政策問題には悪構造性があるそうですね。

問題の要素を、1意思決定者、2代替案、3目標・価値、4結果、5確率の5項目に分類してみると、政策問題が良い構造であるためには、意思決定者が少数で代替案も明確で限定的、目標・価値も明確単一しかもコンセンサスがある、結果は確実で確率も計算可能、既知であることだそうです。
これなら個々の事業をチェックする事業仕分けで十分に議論ができるのでしょう。最近力を入れている「参加型事業仕分け」にも応用が可能だと思います。

対極にある、悪構造では、意思決定者は多数、代替案も多数で無限定的、不明確、目標・価値も不明確・複数でコンフリクト、結果は不確実、確率は計算不可能、未知とされています。―もちろん実際の問題は、すべての項目で白か黒か、のような極端な区分ではなく、その間を行きつ戻りつしているんだと思いますが。

提言型政策仕分けの実況解説をしていて、「原子力・エネルギー等政策」はまさにこの構造なのだと感じました。

どのような状態が望ましいのかという点についてでさえ不明確ですから、原発で行くのか再生可能な新エネルギーにシフトするのか、必ずしも合意が得られているわけではありません。

代替案も無制限にあるようですし、電源立地交付金という地域の利害、更に国家を超えた利害を勘案し、捕捉が困難な環境影響や景気状況も、目標設定の足かせになっているようでした。

このような複雑性と悪構造性のある政策問題に直面したこの原子力は、それぞれの価値観を確認し議論することによって、「このへんなら合意できる」レベルまで、大筋の枠を作り直すことが可能になってくるようです。

総論賛成・各論反対という問題は残るもののある程度の方向は示されるようになるのでしょう。原子力への提言では、まさにこういった大筋の合意が、大臣参加の場で成し得ました。

総論賛成…を担うのが提言型政策仕分けで、政策の方向が定まれば、各論は事業仕分けで自ずと判断できるのではないか、と思っているこのごろです。


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