のち
国が地方をコントロールする制度や基準は、本当にたくさんあります。その1例の「道路構造令の補助基準」 道路を作るときにもいろいろと規制があるんです。
【事例】長野県のある町で、道路構造令第3条に定められた3種5級道路(山地部の市町村道で計画交通量500台未満)を補助金をもらって整備しようと考えました。ところが、その地形が急勾配なので、道路を延長して緩やかにしないと、補助基準は満たせないのです。人が住んでいない不要な地点まで道路を延ばすなどという計画に、理解が得られずはずもなく、建設を断念したということでした。
この補助基準は、曲線の半径や縦断の勾配などの線形に関する規定、歩道から路肩、植樹帯までの幅員に関する規定など細部に渡る制限があるのです。現状にそぐわない基準も多くて、使いにくいと指摘されています。全国一律的な技術基準を設けることには、やはり限界があるようです。
もちろん、緩和規定や特例規定も設けられているのですが、あまり知られていないというアンケート結果も出ています。
その一方で、かなりの自治体が、オーバースペックな道路とわかっていても、補助金獲得と起債という財源が保証され、さらに償還金の交付税措置まで用意されている補助制度を頼り、補助基準どおりの建設を行っています。 市町村単独事業として実施すれば、はるかに安く作れるのに、その価格差は補助金&起債&交付税で穴埋めできてしまい、地方自治体の自主財源ベースでは違いがないのに、できあがった道路に明らかな違いが出てしまうからなのでしょう。だから、無駄であっても補助金施工を採択してしまう傾向になってしまうのかもしれません。
このような規制などについては、これまでも、政府の規制改革会議で話し合われてきました。今後は後継組織である行政刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」で取り上げていくのでしょう。
そのためにも、行政職員や現場で携わっている人が、もっと声を上げていかないといけませんね。