BLOG 思い遥か

日々新たなり/日本語学2020

カテゴリー

2021-12-12 | 日本語学21

カテゴリーは範疇である。範疇は訳語である。原語はKategorie category、これを洪範九疇によって西周が訳した。

>「洪範」は『書経』の篇名。「九疇」は「洪範」で述べられている九つの大法のことで、天下を治めるための政治道徳をいう。
出典 『書経』「洪範」
>その大法は五行,五事,八政,五紀,皇極,三徳,稽疑,庶徴,五福・六極で,洪範九疇と称される。
世界大百科事典内の洪範九疇の言及 洪範より

アリストテレスの哲学で、命題の述語、または存在者についての言明の根本形式、とされて、カテゴリーは範疇の訳語であり、西周が訳した、となる。

さて、カテゴリーは辞書によると次のようである。
>はんちゅう 【範疇】
同一性質のものが属すべき部類。分類・認識などを支える、根本的な枠組。カテゴリー。
Oxford Languagesの定義

日本大百科全書ニッポニカに次のように見える
>最普遍的概念を示す語となった。
 ただしその性格、内容は、哲学史上多岐にわたり一義的に定めることはできない。アリストテレスによると、範疇を最初に示したのはピタゴラスの徒で、有限と無限、奇と偶、一と多、右と左、男と女、静と動、直と曲、明と暗、善と悪、正方形と長方形、の十対(つい)をあげた。さらにプラトンが、有とか同とかいくつかの概念をあげたが、やがて当のアリストテレスが詳しく範疇論を展開する。すなわち、その著『オルガノン』のなかで、実体の概念と、分量、性質、関係、場所、時間、位置、状態、能動、受動、の九つの最普遍的術語概念をあげ、これらが、あらゆる存在者がその下に包摂される最高の類であると規定した。

哲学の議論は受け継がれながら、カテゴリーのとらえ方が移り変わる。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「範疇」の解説に、次のようである。
>哲学用語としては,通常,根本的概念,最高類概念の意
日常語としては部門の意
ギリシア語の kategorein (述語する) に由来し,訳語の「範疇」は『書経』の洪範九疇に基づく。
アリストテレスの『オルガノン』では述語の形式として実体,量,性質,関係,場所,時,位置,状態,能動,受動の 10個の範疇があげられた 。
スコラ哲学では存在,質,量,運動,関係,持前 (習性) の6つの範疇が,
デカルト,ロックでは実体,状態,関係の3つの範疇があげられた。
カントでは,アリストテレスの範疇は経験的に寄せ集められた不完全なものであるとされ,判断の一切の機能をあげ,判断表との対応において4綱 12目の範疇が導出され,
さらにその先験的演繹がなされた。
フィヒテからヘーゲルにいたるドイツ観念論の哲学では,範疇は思惟の形式であるばかりではなく,絶対者の範疇として実在の論理形式として展開された。
現代では,G.ライルや L.ウィトゲンシュタインのように範疇問題を分析哲学の方向において展開する傾向や,
A.ホワイトヘッドのように 47個の形而上学的範疇をあげる立場などがある。

アリストテレスによって哲学用語として採用されたことに始まり、カテゴリーはさまざまに見える、ウイキペディアによると、このなかでカントは次のようにする。
>カントはカテゴリを以下の四つのグループに分けた。
量(単一性、多数性、全体性)
質(実在性、否定性、限界性)
関係(実体性、因果性、相互性)
様態(可能性、現実存在、必然性)

認識する行動に認知が加えられる現在の考え方ができるには、すでに経験と知識において認知し識別する脳のはたらきがあって、それを概念とすることが行われてきた。
人間行動の一般である。概念を人工知能が持つとするなら、それはどれほどの人間脳に匹敵するであろうか。


はん‐ちゅう【範疇】‥チウ
(category)(書経の洪範九疇という語から西周にしあまねがつくった訳語)ギリシア語のカテゴリア。述語の意。述語はいろいろな意味で存在(ある)を表すところから、多義的な存在の基本的構造を表す術語となった。そこからさらに認識の基本的構造を表すことにもなった。
①存在のもっとも基本的な概念(例えば実体・因果関係・量・質など)。これを存在の基本的な在り方と考えるもの(アリストテレス)、悟性の先天的概念と見るもの(カント)など、さまざまな考え方がある。
②個々の科学での基礎となる観念。数学における数の観念、自然諸科学における因果律などの観念。
③同じ種類のものの所属する部類・部門の意。
広辞苑に「範疇」で始まるの検索


精選版 日本国語大辞典「カテゴリー」の解説
カテゴリー 〘名〙 (Kategorie category)
>① 哲学で、アリストテレス以来の用語。事物を分類する際、もはやそれ以上に分けることのできない、最も根本的、一般的な基本概念(属性、量、状態、関係等)。最高の類概念。範疇(はんちゅう)。
※審美論(1892‐93)〈森鴎外〉八「是に於て、すべて官而下具感に属するものをば、しらずしらず形より引去り、僅に所観形と思議形(カテゴリイ)との領内なる抽性を留めたり」


百科事典マイペディア「カテゴリー」の解説
>ギリシア語カテゴリアに由来する哲学用語。原義は〈訴訟〉。〈範疇〉と訳す(《書経》洪範篇〈洪範九疇〉より)。認識の根本形式として人が従わなければならない最も一般的な概念群をいう。最初の定式化はアリストテレスによってなされ(《カテゴリー論》),実体,量,性質,関係,場所,時間,位置,状態,能動,所動の10種。ストア学派,スコラ学での深化・統合を経て,カントは純粋悟性概念としてとらえ,4綱12種のカテゴリーを導いた。→概念
→関連項目関係(哲学)|空間(哲学)|悟性
出典 株式会社平凡社


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。