BLOG 思い遥か

日々新たなり/日本語学2020

意義素は

2021-12-06 | 日本語学21

意義素は音素、形態素に並び説明されることがある。記号素、字素などの術語に、果たして
>音素(phoneme)や形態素 (morpheme)に準じて意義素(sememe)が立てられた
というふうに、見えるのは、文の意味、語の意義をとらえてのことであるから、わかりよい。
しかし、有力な分析法であることは間違いないとするのは、その内容が意味構成の要素分析にほかならないと見えるので、その記述にあるように未だしのことである。
意義素を唱えたのは日本の言語学者、服部四郎氏がその一人である。
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/gengo1939/1964/45/1964_45_12/_pdf
 意義素の構造と機能  服部 四郎
そしてその系列に国広哲弥氏が意味論を言う。
サイトでわかりよく、コトバンクにニッポニカに項目説明を記述している。
が、はやくに意義素を解説して、意味の周縁を説明しているためか、意義素そのものの捉え方は十分ではない。

英語numberの意義素
1964-04 一般 言語研究 = Journal of the Linguistic

広辞苑の語釈に次のようである。
>いぎ‐そ【意義素】〔言〕
①(sememe)形態素がもつ意味。もとブルームフィールドの用語。形態意味素ともいう。
②(sémantème フランス)ポティエ(B. Pottier1924〜)によれば、形態素の意味を構成する意味的特徴の集合。
広辞苑 ページ 940


Sememe, semanteme, irreducible unit of meaning



語義素と意義素と
2014-10-01 | 語と語彙
語彙素と連想して形態素なら文法と語彙の関係を見ることになるが、語義素となるとどうか、また意義素なるものがあって、質問あでるようなことだ。意義素 sememeとは何か。語の意義を構成する要素に、その単位において、音素 phoneme や、形態素  morpheme に準じて、意義素 sememe が立てられた、というように説明が加えられるようであるが、横並びの並ぶようなものでもなかろう。意味素の言いかえもあり、意義素というのを、語の意味を扱う言語学の一分野、個々の語には一回ごとの具体的な用法の制約を離れても一定の基本的意味がある、とする立場があるようである。意味成分のことでもある。



https://home.soka.ac.jp › ~hkaneko › lecture › sememe
>」terms sememe 意義素 単語の意味を構成する単位。 ... 言語学において、「文の意味」と「語の意義」と呼び慣わして、「意味」と「意義」を分けて使っているのもその一つである。 そうした語の「意義」を構成する要素として、音素(phoneme)や形態素 (morpheme)に準じて意義素(sememe)が立てられた。
terms sememe 意義素

意義素
いぎそ
>ある語の典型的用法と感じられるものだけを取り出し、場面や文脈の影響で変容したと考えられる部分を取り除いたあとに残る、その語固有の意味。これは、語の使用者の大部分が、共通して社会習慣的に結び付けている心的内容ということもできる。意義素は、さらに小さい要素である意味特徴に分析されうる。意義素を規定する条件は、第一は体系的なもので、他の語との区別に必要な要素は最小限度含まれる。第二は用法上のもので、場面や文脈上の使用制約が含まれる。具体的な事物をさす名詞などの場合には、これでは不十分なことがあり、社会・文化的知識の形で意味要素が加えられることがある。その外縁ははっきりとはしておらず、徐々に共通性が落ちていくという形をとる。意義素を構成する意味特徴相互の間では重要度が異なることがあり、主要なものと周辺的なものが区別される。具体的使用に際しては、一部の意味特徴が抑圧されて用いられないことがあるが、ここにも程度差が認められる。意義素の概念は、最初、服部(はっとり)四郎により1953年(昭和28)に提唱され、最近になって外国でも似たような考え方がなされるようになった。
[国広哲弥]
『服部四郎著『言語学の方法』(1960・岩波書店)』▽『国広哲弥著『意味論の方法』(1982・大修館書店)』
[参照項目] | 意味論
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

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意味論は言語によって意味が伝えられるのはどのような仕組みによるのかということを、経験科学的に研究する言語学の一部門。重要な部門であるにもかかわらず、意味が本質的には心的なものであって、直接に観察できないために、その発達は遅れている。意味論は大別すると、語を中心とするものと、発話を中心とするものに分けられ、さらに応用部門として一般意味論がある。
 語の意味論は語彙(ごい)論ともよばれ、その第一の研究課題は、語の意味の本質は何かということである。概念であるとする説、語の用法そのものであるとする説、具体的に観察される意味とは別個に固有の意義素があるとする説、他の語と区別するのに必要にして十分な部分だけを語の言語的意味と認めるという説などがある。そのほかの研究課題として、語義の内部構造、語の用法の記述、多義語の内部構造、語と語の間の意味関係(類義語、対義語、上下関係、部分全体関係など)、語の集合体である語彙の構造、語義の歴史的変化とその型、語義分析の方法論などがある。「発話の意味論」では、まずその内部構造の解明がなされる。発話意図、統語的意味、言外の意味、比喩(ひゆ)的意味などが問題となる。発話意味の理解を成立させる要素としては、言語表現ばかりでなく、場面の状況、話し手の表情や身ぶりなどの非言語行動、共有する予備知識などがある。予備知識は百科的知識を含んでいるので、意味論は結局、宇宙についての知識につながっている。言語表現の骨格として論理的意味があり、この方面だけを扱う論理的意味論がある。意味理解は推論に頼る部分が多いところから、推測意味論という分野も生まれている。「一般意味論」は、言語で表現されることと現実は食い違うことが多いことを警告し、間違いの少ない社会生活が営めるように指導する実践的部門である。アメリカでコージブスキーにより提唱され、S・I・ハヤカワらにより広められている。
[国広哲弥]
『川本茂雄・国広哲弥・林大編『日本の言語学第5巻 意味・語彙』(1979・大修館書店)』▽『大野晋・柴田武編『岩波講座 日本語9 語彙と意味』(1977・岩波書店)』▽『国広哲弥著『意味論の方法』(1982・大修館書店)』

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意義素再考
―イェルムスレウの「基本的意味」との比較考察―
“Sememe” as Compared with “Fundamental Signication”


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