こ ゆ る り お も ふ

感動を絵と文でお届けするイラストライターこゆりの
体験レポート&日々のひとりごち。
こゆるりとお楽しみください

ゆばの手

2009-07-04 00:31:02 | Weblog
こゆりのおばあちゃんは90歳です。
体中の皮がうすく、やわらかく、しわがれてます。

手の甲や腕の皮もしわしわしょぼしょぼで
おばあちゃんの手、ゆばみたいやな
と言うと、おばあちゃんはそうかと言い
よく分からないといった顔をしてました。

仕事は忙しいか?と聞いてくれました。
ぼちぼち忙しいと言うと
お前の仕事は特殊やのに、忙しいとはありがたいな
と言ってくれました。

昨日はお父さんが夢に出て来たと言いました。
死んだおじいちゃんのことです

戦争中におじいちゃんは満州に行ってて
おばあちゃんが慰問袋に「でっちようかん」を入れて送ったのに
また、慰問袋に「でっちようかん」を入れて送り返して来たと言いました。

ちゃんとおじいちゃんのところに届かなかったの?
と聞くと、届くのはちゃんと届いたと言いました。

ほな、おじいちゃんが、おばあちゃんに食べって送ってくれたんや
と、母が言いました。

おばあちゃんは、せっかく送ったのに
他の人たちと一緒に食べたらいいのにと
ちょっとふてくされたように言いました。

わたしはおじいちゃんが、自分は大丈夫だから
おばあちゃんや子供たちが食べるようにと
送ってくれたんだと思いました。

夢の話だけどね

おじいちゃんは戦争から帰って来て
その後は、よく働き、老後はゲートボールを楽しみ
78歳で死にました

みんなに人気者で、おしゃれで、新しいものが大好きで
やさしいやさしいおじいちゃんでした。

おばあちゃんは、おじいちゃんが戦争に行っていたおかげで
自分はこうして不自由なく暮らしているんだと
何度も何度も言っていました。

おばあちゃんの体中のしわには
今の私たちには想像もできない
いろんなものが刻まれているんだなあと思いました。

おばあちゃんは、どんどん赤ちゃんになっていきます。
赤ちゃんは、誰からもかわいがられて、
愛情注いで世話されなくては生きて行けません。

おじいちゃんもおばあちゃんも、全ての人にかわいがられて
世話されなくてはならないと思いました。

私もあと50年もしたら、ゆばみたいな手になるんだろうなあ
きっと、あっという間だろうな

みんな年とっていつかは死んで行くんだ
それが普通のことなんだ

大好きなわたしのまわりの人たちみんな
死んでから、その人の前で泣くより
元気で生きてるあいだに、
たくさん一緒に笑っていたい

おばあちゃん、元気でまだまだ長生きしてね

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