リメンバー 石井紘基

故石井紘基議員の存在を過去のものにしてはならない。石井紘基の業績と遺志を伝えていくBLOG

特別会計見直し本格化

2005年05月08日 | Weblog
[http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/47/naruhodo151.htm]
◆無駄遣いにメス “連結”決算導入
 2005年度予算編成に向け、「特別会計」の見直し作業が本格化する。経済財政諮問会議は、それぞれの特別会計を所管する省庁に改革案づくりを課した。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は、民間企業の会計手法を取り入れるよう求めている。こうした見直しで、特別会計の無駄遣いを無くすことができるだろうか。(加藤 弘之)

 ■特別会計とは

 国の予算には、教育費や防衛費など政策経費を扱う一般会計のほかに、厚生保険特別会計や道路整備特別会計など計31の特別会計(特会)がある。

 予算は本来、一般会計で一体的に管理することが望ましいが、国が保険など特定の事業を行う場合、事業ごとの収支を明確にするため、財政法で例外的に、一般会計と区分した特会の設置が認められている。

 特会は、国民の「受益と負担」との関係を分かりやすくし、弾力的かつ効率的に予算執行するのが本来の趣旨だ。

 しかし、実際には、31特会の予算規模はあわせて387兆円、特会同士の重複部分などを除いても207兆円にのぼり、例外のはずの特会が、一般会計の5倍近い規模に膨らんでいる。さらに、特会の収入のうちの47兆円は、一般会計からの繰り入れでまかなわれ、一般会計歳出の6割近くを使っている。



 ■既得権益の温床

 ここまで肥大化したにもかかわらず、特会の資金はこれまであまり監視されてこなかった。

 特会の資金は一般会計からの繰り入れや独自財源、民間からの借り入れなどが入り組んで出入りが分かりにくく、国会などでも追及しにくかった。社会保険料やガソリン税など特定の財源を持つ特会では、財務省も支出だけを減らせとは言いにくい。この結果、各特会を所管する官庁が自分の財布のように自由に予算を使い、特会は各省庁や族議員の既得権益の温床になってしまった。

 厚生保険特会や国民年金特会では、巨額の予算が不採算の保養施設「グリーンピア」の建設や、特殊法人や関係団体に天下った厚生労働省OBの高額の報酬などに使われていることが判明した。「母屋(一般会計)でおかゆを食っているのに、離れ(特会)で子どもがすき焼きを食っている」(塩川前財務相)ひどい例は、他の特会にも数多い。

 今年度予算編成では、財務省が特会の事業の見直しを進め、5000億円以上の実質削減につなげた。

 ■2年目の改革

 財務省は見直し2年目となる2005年度予算編成でも、予算執行調査などで無駄遣いの洗い出しをさらに進める方針だ。

 一方、経済財政諮問会議は、関係省庁が成果目標と中期的な歳出抑制目標、達成時期を盛り込んだ改革案を年内に策定するよう求めた。特に、各種の保険事業については、廃止を含めた検討を求めている。改革案と毎年の実施状況も報告させることにした。

 各省庁には、もう1つ宿題が課せられた。財政制度等審議会は17日、省庁別に財務書類をつくるための作成基準を発表し、9月をめどに、一般会計と特別会計を合わせた2002年度分の財務諸表をつくり、来年春には、さらに特殊法人も加えた2003年度分を公表するよう求めた。

閉鎖されたグリーンピア指宿(鹿児島県指宿市)。特別会計で行われたグリーンピア建設では多くの無駄遣いが指摘された

◆「特会とばし」「隠れ借金」…あぶり出す
 ■国民の監視

 企業の決算では、グループ全体の業績を示す連結決算が主流となっている。連結決算ならば、グループ内の一部の企業に損失を隠すなどして、業績をごまかすことができないからだ。

 国もこの手法を導入し、省庁ごとに一般会計と特会をあわせて複雑な資金の流れを整理し、資産と負債の状況などをはっきりさせることにした。一般会計では予算をつけにくい案件を特会に回して、財政融資資金で手当てする「特会とばし」「財政融資とばし」や、民間からの借り入れによって不足を手当てする「隠れ借金」などをあぶり出す狙いがある。2005年度決算の連結財務諸表ができるのはまだ先だが、ずさんな実態が明らかになれば、予算編成作業にも反映できる。

 新手法は、財務省だけが予算削減を求めるのではなく、情報を透明化して、各省庁に自己改革を促す手法をとっている。財務省は「情報が明らかになれば、中途半端な改革案は世論の集中砲火をあびる」(財務省幹部)と、国民が無駄遣いを許さないよう監視の目を光らせることで、新手法が改革の突破口となることを期待している。


(2004年6月22日 読売新聞)