見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

石柱モニュメント1億円の価値

2007-02-01 23:37:03 | 政治・社会
駅前広場に、石柱の時計台を1千万円かけて建造するという起案が提出された。時計一つに1千万円をかけるのはいかがなものかと発言すると、その場の全員が沈黙してしまった。
時計は必要だろうが、予算折衝の中で削られていくソフト事業が少なくない中、1千万円あれば、知恵の活かせる事業のいくつかが生き、救われる市民が少なくない。実用的な時計台であればその半額でも十分できるのではないか、と。

しかし、担当者は諦めず、そして賢かった。
しばらくして、来訪した担当者が手にしていたペーパーには、市内で起工された時計台や石柱モニュメントがいくつかリストアップされていた。リストには施工年度や形体と共に施工費が掲載されている。並んだ数字を見て、思わず仰け反りそうになった。
今回1千万円の施工費は、リスト上で最も安い。もちろん意図して1千万以上の構造物をリストアップしたとしても、街中でよく目にする各モニュメントの施工費は尋常ではない。
いや、しかし、モニュメントというものは、コストを気にせず芸術的価値をもたせるべきものなのだと認識できない私に問題があるのかもしれない。

県が建設した文化施設の表広場に立つ9mの石柱モニュメント。施工費1億円!シンプルな御影石の柱(何と芸術性に欠ける表現だろう)に1億円。そこを訪れる県民のどれほどが、その価値を知っているのだろうか。少なくとも、私は無知だった。
「この文化施設の表玄関にはそのくらいの荘厳なシンボルは必要」と皆は思っているのかもしれない。あるいは、建物の価値を高めるものとしてその存在に十分満足しているのかもしれない。

当然、議会承認を経ているのだから、間接的に県民が了承したということだ。

私の反応をじっと見ていた担当者は、真摯な表情で「いかがでしょうか・・・」と言葉を切った。
石柱時計台のデザイン画を目の前にしながら、県の施設前に建つ1億円の石柱がいつまでも頭の中をぐるぐると回り、気持ちを奮い起こすエネルギーをどんどん奪っていった。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-02-03 14:26:34
一市民の感覚からすると、1000万というのは、一生に一度家を建てるときにイメージできる大金。
部署の取り合いではなく、本当に必要なところにお金を回せる行政であってほしいと思います。
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