見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

誉め言葉の力

2006-12-28 23:01:00 | 生き方・生活
庁舎内の廊下を毎日モップ掃除している男性がいる。
主だった庁内清掃は外部業者に委託しているので、その会社の人である。年は50代後半か。1日中、作業着でてきぱきとモップをかけているおかげで廊下はいつもぴかぴかで気持ちがいい。

彼は「ご苦労様です」と声をかけると、必ず顔を上げてにこっと笑顔になり「どうもォ」と言葉を返してくる。

庁舎内の清掃場所は各所あり、担当に分かれて何人も掃除をしてくれているが、声をかけたときに顔を上げて笑顔を返す人は限れている。

その彼が手を止めて「おや?」というとき、私はやや緊張する。「どうもォ」ではなく「おや?」と言うときは、服装についてのコメントが加わる時だ。
マオタイのパンツスーツを着ていたときは、「チャイニーズですね。よく似合っていますよ」と。

最初、私はそういう彼のコメントに面食らい、返す言葉を探した。そんな風に仕事場で男性にほめられたことなどない。
女性はさすがに敏感で、時おり服装についてコメントする職員はいるが、男性に言われることは皆無だ。
にもかかわらず、モップ掃除担当の彼は時おり、決して大げさではなく、ごく自然に服装をほめる。

今日は、黒のタイトスカートに黒のブイネックセーターにショートジャケットだった。彼と3階の踊り場ですれ違う際に「ご苦労さまです」と声をかけると「おや」ときた。「今日は、びしっと引き締まって素敵ですねぇ」

笑顔で何の衒いもなく言う彼に、私はようやく慣れてきつつあるが、とても照れくさい。でも、彼の言葉に、背筋が伸びて気が引き締まるのはなぜだろう。

ほんの些細な言葉が人にエネルギーを与える。
見習わなければ。


にほんブログ村 その他生活ブログへ にほんブログ村 サラリーマン日記ブログへ
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ネパールのクリスマス | トップ | 師走の風景<しめ飾りの露店> »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

生き方・生活」カテゴリの最新記事