「70億人の地球――世界人口から考える日本の未来」から、面白い発言をピックアップしてみた。
「日本人と結婚」 山田昌弘(社会学者)
大きな原因の3つに加えて、出会いの場が少なくなっているのもありそう。安定して「最低1000万円」の職場の男性と、安定した雇用と収入を求める女性が出会う場・きっかけは、まずない。
そのような職場にも、かつては派遣社員もいたが、経費削減で数が減っているし、何でもこなせるベテランでないと困るので、独身女性が少なくなっている。
社外での出会いは危険と隣り合わせ。自分がモテているのか、お金と会社・地位がモテているのかわからない。結婚した途端に「お小遣い3000円」と言い出しかねないし。
「日本人と結婚」 山田昌弘(社会学者)
少子化の原因は、きわめて明解です。結婚しない人が増えたから、生まれる子供の数も少なくなった。ではなぜ、結婚しない人が増えたのか。大きな原因は3つ。これらが絡み合った結果とみています。ひとつは、男性の収入で結婚後の生活費を賄うべきという意識が日本ではまだ強いこと。ふたつめは、その生活を担うべき若い男性の収入が、不安定、そして低下していること。3つめは、親と同居しているパラサイトシングルの女性が多く、いつまでも結婚を待つことができてしまうことですね。
日本の女性は、収入や雇用が不安定な男性と結婚したがらない。結婚できる男性の収入の分岐点をあらわす“300万の壁”“400万の壁”という言葉もあるように、少なくとも年収300万円以下の人と結婚しようという女性は少ない。昔は“最低1000万円”という女性も多くいましたが、もうそんなことは言っていられないことは理解している。それなのに、その300万、400万円の年収さえ、クリアできる男性は減っている。
日本の子供の独立心うんぬんを論じる前に、まず若い男性の収入が少ないということがすべての根源でしょう。収入が少なく、しかも非正規雇用が増えて、不安定。これでは、リスクを嫌う日本の若い女性が、結婚から遠ざかるのは当然です。
格差の壁が高くなったことと無関係ではないですね。昔は、若い頃は冒険をしても、いつか就職して出直すという選択もできた。一見、リスクフルな生き方も、ある程度ヘッジされていたのです。ところが今は、ひとたび非正規雇用の道を選んでしまえば、一生非正規雇用のまま。勝ち組と負け組の間の壁は、ますます厚くなり、安定する人はより安定し、不安定な人はより不安定になる。男女とも保守化するのは、当然のことですね。
日本の女性は、収入や雇用が不安定な男性と結婚したがらない。結婚できる男性の収入の分岐点をあらわす“300万の壁”“400万の壁”という言葉もあるように、少なくとも年収300万円以下の人と結婚しようという女性は少ない。昔は“最低1000万円”という女性も多くいましたが、もうそんなことは言っていられないことは理解している。それなのに、その300万、400万円の年収さえ、クリアできる男性は減っている。
日本の子供の独立心うんぬんを論じる前に、まず若い男性の収入が少ないということがすべての根源でしょう。収入が少なく、しかも非正規雇用が増えて、不安定。これでは、リスクを嫌う日本の若い女性が、結婚から遠ざかるのは当然です。
格差の壁が高くなったことと無関係ではないですね。昔は、若い頃は冒険をしても、いつか就職して出直すという選択もできた。一見、リスクフルな生き方も、ある程度ヘッジされていたのです。ところが今は、ひとたび非正規雇用の道を選んでしまえば、一生非正規雇用のまま。勝ち組と負け組の間の壁は、ますます厚くなり、安定する人はより安定し、不安定な人はより不安定になる。男女とも保守化するのは、当然のことですね。
大きな原因の3つに加えて、出会いの場が少なくなっているのもありそう。安定して「最低1000万円」の職場の男性と、安定した雇用と収入を求める女性が出会う場・きっかけは、まずない。
そのような職場にも、かつては派遣社員もいたが、経費削減で数が減っているし、何でもこなせるベテランでないと困るので、独身女性が少なくなっている。
社外での出会いは危険と隣り合わせ。自分がモテているのか、お金と会社・地位がモテているのかわからない。結婚した途端に「お小遣い3000円」と言い出しかねないし。