コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

たべもの

2008-02-02 18:03:52 | 
餃子の問題は深刻だ。

ただ、「中国産餃子」というラベルを貼って話をまとめて、状況を見えなくしてしまうのは危険だ。

「チャイナフリー」は何も解決しない。

我々は何を食べているんだろう。

餃子の原材料はキャベツ・白菜・韮などの葉物野菜、大蒜・生姜と言ったスパイス、それに豚肉や海老などの肉類、そして調味料。
植物にしても動物にしても、人の手で育てられたモノは、どこかで薬物と関わる可能性がある(現実には、天然自然のモノを狩猟・採集した場合でもゼロではないだろう)。
そこには危険性の濃淡があるし、食べる段階で安全なら構わない、と言うのが日本の一般的な考え方。生産現場は見えないし。

それらの材料は、輸送され、工場で製品化される。
今回のことでは、中国の一つの企業が日本の複数の大手企業の食品加工を受注していた、と言うことに、まず驚かされる。
レシピは発注側が作るのかもしれないけれど、我々は何を選択しているんだろう。

製品は包装され、冷凍された状態で日本に運ばれ、しかるべきルートを経由して販売され、消費される。
これだけの輸送コスト(そして、CO2排出)があって、なお、「地産地消」よりも安価であることにも改めて驚くべきだ。これを当然の常識にしてはいけない。

もう一つ判ったことは、農産物を輸入する場合には残留農薬や細菌などの厳しい検疫があるのに、加工品になると農薬の検査はしていない、と言うこと。
それなら、農薬まみれの農作物を低コストで作って加工場送り、と言うことは可能だ。

加工品の産地表記に個別材料の生産地までは書かれているはずもなく、追跡不能なモノも多いのではないか。

今回の薬物混入が、どういう事情で起こったのか、と言うことをひとまず棚上げしたとしても、我々の手元に届くまでのすべての段階が安全だ、などとは誰も言えない現実があることは、しっかり認識するべきだろう。


更に、今回は、中国で労使関係のいざこざがあったらしいこと(従業員として証言している人は既に辞職した人らしい)も報じられているし、日本の役所・保健所・警察などの対応にも沢山の問題があった。

そして何より、JTのインサイダー疑惑。

我々は、こういう社会に生きているんだ、と言うことをまずしっかりあたまにいれておくこと。


餃子の陰で見えにくくなっているアメリカ食肉問題。

ヤフー経由 1月31日11時1分配信 時事通信
へたり牛処理の疑い浮上=米農務省が調査着手
【ワシントン30日時事】米カリフォルニア州にある牛肉処理施設が自力歩行できないへたり牛を食肉処理していた疑いが強まり、米農務省が30日、調査に乗り出した。BSE(牛海綿状脳症)感染牛は歩行困難の症状を示すことが多く、同省はへたり牛の食肉処理を禁止している。
 今回の事例はこの規制の実効性に懸念を抱かせるもので、この問題を指摘した米動物愛護団体、米国の人道社会(HSUS)は、動物虐待に加え「BSEとの関連でも問題だ」と批判した。
 HSUSが同日ホームページで公開した告発ビデオには、電気ショックを与える棒を使ったり、高水圧のホースで「水責め」にしたりして、うずくまっている牛を無理やり施設に運び込む様子が収められている。昨年秋の撮影という。


ここで話題になっている「告発ビデオ」はひどい。


日本はあっという間にアメリカ牛の輸入を解禁した。
こういう牛のすべてがBSE、と言うことではないにしても、全頭検査不能のアメリカ牛肉は、恒常的な危険因子であり続けている。

不確かな情報だけれど、アメリカは豚も問題があるのかもしれない。

豚の脳吸い込み神経障害か、米で食肉処理作業員が発症
これもヤフー経由 2月2日14時39分配信 読売新聞
 【ワシントン=増満浩志】米国の豚肉処理場2か所で、作業員たちが原因不明の神経障害を相次ぎ発症したことが分かった。

 2社とも、豚の頭部から脳を高圧空気で吹き飛ばす装置を使用、患者の多くがその近くで働いていた。米疾病対策センター(CDC)は「脳組織が微粒子となって空中に飛散し、作業員が吸入、または粘膜から吸収した可能性がある」と推定。疫学週報(電子版)に発表し、「似た症例があれば報告を」と呼びかけた。

 患者はまず、ミネソタ州の工場で見つかった。21~51歳の男女12人が2006年11月から07年11月にかけ、筋力の低下やまひ、知覚異常などの症状に襲われた。症状は最長で7か月間続き、2人が入院した。



なぜ、こんな「処理」が必要なんだろう。

ダーウィンを否定するほどの「敬虔な」キリスト教徒たるアメリカ人たちは、たとえば肉骨粉を草食獣である牛に喰わせると言うことが、神の意志に反すると言うことに思い至らないのだろうか。


「中国餃子」に関しては、アンチ中国食品運動が起きるのに、アメリカ牛はもう忘れられているように見える。


なぜ中国産は安いのか。
なぜアメリカ産は安いのか。

理由は全く違う。
しかし、両方とも、「安全」よりも効率・生産性を重視していることに変わりはない。


かといって日本産なら安全、と言うのもあり得ない話だから事態は更に深刻だ。


日本の農産物は、農薬にまみれている。
たとえばEUの基準を通ったお茶は、は特別扱いされる。

上の方に書いたが、日本では、農薬の種類や使用時期について、非常に細かな規定があって、消費者に届くまでに影響が無くなることが確認できれば薬品を使うことに関しては甘い。従って、理論上は「食の安全」は確保できているのだ。

だから、「農薬まみれ=危険」という図式は成り立たない。
むしろ、無農薬で育てるのは容易ではないし、虫食いがあれば、それはそれで不衛生だとクレームを付ける消費者がいる。

あぁ、急に思いだした。学生の頃、居酒屋のキャベツにモンシロチョウらしい幼虫が生きたまま入っていた事があって、みんなが騒いだのだけれど、そしてもちろん、洗い方の問題はあるはずだけれど、この野菜が育った畑を思い浮かべて楽しいな、と思ったのだった。
その葉を食べずに虫の付かないような野菜を食う方が良いのかどうか。



そもそも、純国産の農作物などあるのかどうか。
飼料・肥料・農薬、あるいは光熱費など、農業は自立できない仕組みができあがっている。日本の農業の病。

このことについては、我らがヒーロー、スンプブラックケニアの茶農場視察に絡めてコメントしているので、長くなるが引用しておく。

ちなみに、この農場では病害虫がまったく無いため農薬散布はしないとのこと。

茶工場で使うエネルギー源は農場内に計画的植林されたユーカリの木に限定しており、茶工場の排水処理用の施設もしっかりしています。植民地経営で基礎を築いた管理システムにのっとった経営ですので、茶工場はISO9000シリーズと同等に管理され、HCCAP対応になっています。 さらには過去の植民地経営に批判的な団体からの攻撃を避けるために外部第三者機関に農場内の自然環境、労働環境についてコンサルタント契約をして常に改善していますので ISO14000シリーズ、有機農産物認証、フェアトレードオーガニゼーションの認証もその気になればすぐに取得可能です。

日本の農業は今更ながら、困ったものだ!
 翻ってみて、日本の農業は占領軍によって農地解放させられ、その後も共産主義計画経済へ進んでゆき、JA経済連という肥大した無責任官僚組織が族議員を使って農林水産省から引き出した補助金によって、農家を生かさず殺さず支配しているため、本来の農産物や農産加工品の生産や販売の分野にプロが存在しません。
 最近ようやく、プロの農業経営者として企業が農業分野に参入できるようになりましたが、地主が農場経営していた時代から、そのまま地主と小作人の関係を経営者と雇用労働者の関係にかえて、企業化できていればずいぶん楽だっただろうと思います。戦後日本の農産物は補助金(税金)を使うことが基本だったので、生産設備が世界一コスト高になっています。肥料や農薬の販売が経営の柱であるJA経済連の指導によって農産物は世界一農薬に汚染され、過剰な肥料は土壌と水源を汚染しています。農林水産省は海外農産物が危険だというキャンペーンを展開していますが、実態とは逆です。 日本は世界第二位の農薬消費国で、世界の農薬消費の12%を占めています。第1位はアメリカ、第3位フランス、第4位ブラジル、第5位ドイツとなり、日本に比べるとはるかに農地面積の広いところが並びます。国土が狭い上に山や住宅地が多い日本では農地面積はかなり少ないことは誰にでもわかります。
 日本の農産物が農薬まみれで危険だと言いたいのでは有りません、高コストだと言いたいのです。農薬は安全性が確認された上で散布されているはずですから、健康上有害ではないでしょう。現金を畑に撒く人はいませんが、肥料や農薬を大量に蒔くということは、お金を畑に撒いているのといっしょでしょう。また、EU地域では日本と残留農薬の規準が異なるために、日本で栽培された茶葉を原料にしようと思うと、無農薬栽培の原料に限定されてしまいます。そのため、EU地域で流通している日本茶(と呼ばれている)は、農薬汚染の心配のない中国産が9割を超えています。日本の製茶問屋は現在のところ、ほとんどが日本の農家から原料を仕入れていますが、将来を考えると早く海外のちゃんとしたプロの農場から原料を仕入れて製品を作って販売できるようにしたいものです。(1970年に山本山さんがブラジルの日系茶園と組んだのが最初ですが、今年からは伊藤園さんがオーストラリアの自社農場から原料調達し始めます。)
 味噌、しょうゆ、納豆、豆腐など大豆を原料とする農産加工品はすでに海外原料が当り前になっていますが、産地ブランドの表示は加工地である日本国内の産地になっています。お茶も一昨年まではJAS法で最終仕上げ加工地を産地表示していましたが、JA経済連の度重なる産地偽証の影響で、どういうわけか産地の定義が最終加工地ではなく、原料である荒茶加工地になってしまいました。最終商品の品質を決定する仕上げ加工地が産地ではなく、嘘つきJA経済連の傘下にある荒茶加工地が産地になってしまいました。つまり、産地ブランドは仕上げ加工技術に依存しないので、消費者が購入する商品の品質を保証するものではなくなってしまいました。 今後予想されることは、産地ブランドの崩壊とともに袋詰めの日本茶が日本国内で売れなくなっていくことでしょう。


長い歴史があって、今がある。



乳製品が値上がりしている。
カップ麺が値上がりしている。
百円ショップはもたなくなりつつある。

バイオエタノールは、「農業」の意味を書き換えてしまう。



自分が食べているものが、どうやって、ここまで来たのか、そのためにどんなエネルギーが使われているのか、本気で考えて行動しないと。



映画、「いのちの食べかた」の上映会が色んなところで行われている。


今夜はBSで「BSドキュメンタリー 穀物高騰の衝撃」という番組を放送するそうだ。

まず知ること。

多くの人が、素性の判るものを消費するようになれば、生産者も動かないわけにいかない(はず)。
フェアトレードを含め、消費者が対価を払う仕組みを作らないと。

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