コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

惜しみなく愛は赦す。

2009-07-12 21:43:34 | 
観てきたよ~。
『愛のむきだし』
上映時間237分。予告編、休憩10分を入れるともう……。

ちょっと前なら観なかったと思うのだけれど、
『転校生』→『自殺サークル』という関係があって、そこから色々情報収集。
飴屋法水とつながる人脈の関わりというのにも興味あるし……。
しかも、他の映画を観た時に予告編を見てしまい……。
しかも、『劔岳』を観た時に、新作『ちゃんと伝える』の予告編を見てしまい……。

もうこれは観ないわけに行かないだろうと。

実際、評判はかなり良いです。

実際、4時間、飽きません。
それだけでもう、立派。

何だろうねぇ。
盗撮、カルト教団、罪、そして、愛。
新約聖書が重要な位置にあるので、何だ、キリスト教的人道的解決か? と思わなくもないし、そんな馬鹿な、と言う場面も、甘あまな展開も、数え上げたらきりがない。
そして、余りにもベタなエンディング。


それでも私は、赦す


主要な役者たちがみんなすごい。
何だろね、この人たち。
主役のふたりはバンド小僧だったりアイドルグループのひとりだったりするらしい。
そういえば、『ちゃんと伝える』の主人公もEXILEの人だ、と言うのにはちょっとびっくり。
居るとこにはいるのね。


余りにもベタなテーマの出し方がすごい。
普通だったら恥ずかしいっしょ。

「勃起を恥じるな! 愛を恥じるな!」という、ユウ君の“気づき”。
無垢な少女によるヨーコの気づき。

む~。

実際、言葉にしようとすればするほど、無茶な映画なんだと思う。
しかも、『自殺サークル』『紀子の食卓』からの流れがあるらしい。

“家族”という主題とか。


“現代的な「知識人」”である私は、“愛”だの“神”だの“罪”だのを“制度”としてしか認識できない。
不幸な家庭に育ったとは全く思わないけれど、“家族”もまた、虚構だ。

新興宗教は、「新しく興った」という“だけ”で問題にされるのならおかしな話だ。詐欺的で、場合によっては排他的、暴力的な現れ方をするのは、既成の宗教でも同じ。これらもみんな“虚構”。

虚構の世界の中で、「恥じるな」と自分に言い聞かせて“むき出し”で生きることの困難さ。結局のところ、ユウとヨーコは、キリスト教への帰依があって救済されたようにも見えてしまう。
我々は、自分の外にすがるべき何かを必要としているのか。




恐ろしく暴力的でグロテスクな何かを予想し、救いようのない結末を“期待”していた私としては、この、恐ろしくヒューマンな物語に、幾ばくかの疑問を抱きつつ、それでも涙を流してしまうのであるよ。

ところで、この感覚は最近あったよね。

「暴力が現に存在しているにもかかわらず書き、そして愛しつづけ、希望をもちつづけようと思ったら、それを避けて通ることはできない」

そう。
これは、日本の若者たちにとっての『ブラスティッド』
そういえば、爆弾も出てきたし。

そして私は、やっぱり、イアンにもユウ君にもなれないのであるよ。

語りたいことがたくさん出てくる映画でした。
特典付きDVD出るらしい。
さて、どうしたものか……。


……参考にしました……

「自殺サークル」「紀子の食卓」からの流れを押さえ「ゼロ教会」への考察を含む非常に詳しい批評(個人ブログ)
その2
コリントの信徒への手紙 13章の引用を含む批評(個人ブログ)
主演女優インタビュー( MSNムービー)

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2 コメント

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Unknown (I.M)
2009-07-13 18:14:31
ああ!!
ブラスティッドのラストと、むきだしのラスト、なるほど!
ああ、逆にブラスティッドがすとんと腑に落ちた感じです。

キリスト教の位置づけは微妙に思いました。教会批判もありましたし。キリスト教への帰依で救出された印象はありません。
教会組織や牧師という既存のものを超えた「愛」…? それこそがキリストの愛だといえばまたそれまでですが。
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そうですねぇ (こにた)
2009-07-13 23:36:14
教会批判はあるけど、「キリストは最高にかっこいい」のかもしれない。

宗教と言うより哲学?

ん~、そういう「言葉」にするなよ、って話か。
返信する

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