入学式 学長式辞

2019-04-06 14:36:56 | 日記

東京学芸大学入学式学長式辞                    20190404 10時体育館

☆    武藏野の面影を残す本校の桜が皆さんを迎えています。武藏小金井駅から多くの方が見えたと思いますが小金井駅はその昔、武蔵野の花見客の為の臨時駅だった。本校も武蔵野の面影を残す良さを保存したいと思っています、皆さんも協力してください。

 

さて、大学生とはこれまでの学びの形・質ともに大きく変わります。内容も高度になるでしょう。人の持つ感覚、情報処理能力は大きい。言語の習得などもそうである。しかし、視覚、聴覚以外の五感(触覚、味覚、嗅覚)を使うことによって人間が持つ特有の身体知で理解できる。

動物学ではチンパンジーは視覚、聴覚だけでは他者を認識することができない。自分自身を知ることもできない。チンパンジーの顔に赤い落書き線を引き鏡を見せると鏡越しに盛んに触れようとする。それが自分自身であると認識できていない。

 

空で書く。人差し指で空に書くのは人間の特有である。なぜ人差し指を動かすだけで覚えるのか。患者のリハビリでも直観を大切にしている。

現在の情報社会で視覚、聴覚は学びを支える有力な力になると考えるが視覚、聴覚だけでは不十分である。現場に行き匂いを嗅ぎ、雰囲気を知り、多くの人に出会い、行動してはじめて学びに厚みと深みがでると考える。

前学長の鷲山先生と人間の「創造」の創について話ししたことがある。絆創膏のそうである。創とはクリエイト。傷口、傷穴を埋めるという意味合いの働きがある。再生のちからである。生命さえ再生させる。それは人のマイナスの部分をプラスに変えていく力である。失敗や悩みに対峙してプラスに変えていく力である。大学時代のキャンパスで大いに学んでほしい。学びはキャンパス内だけではない。東京外大・農工大学。一橋大学・電機通信大学などの他の国立大学とも連携をとっている。これらの資源を有効に活用してほしい。2020年にタイのバンコクでの教師実習も検討している。実現させたいと思っている。またこの学生の間に機会があれば是非海外留学を経験することをお薦めする。大学時代は贅沢な時間です。是非この時間を活用し学生生活を充実させてほしいと願っている。