大学時代の僕は、夢中で談志を追っかけました。
テレビ「笑点」や「まんが学校」の司会者としてしか知らなかった子供が、大学生になって、『現代落語論』(三一書房)を繰り返し読み、紀伊国屋ホールの「談志ひとり会」には欠かさずに足を運びました。子供時代の馬の助ファンは、それとはある意味対極にいるような、強烈な個性派の談志という噺家に惹きつけられたのです。
なかでも『らくだ』、『芝浜』、『ねずみ穴』、『紺屋高尾』、『お化け長屋』、『野ざらし』、『雑俳』などは、諳んじられるくらいに聴き込んだものです。
永遠のライバル、談志と志ん朝。
『立川談志遺言大全集』14巻に「志ん朝へ」と題する一章があり、この二人の関係を、次の会話で端的に紹介しています。
談「志ん生になれよ」
志「兄さん、口上を言ってくれるかい」
談「喜んで言うよ。だけど、もう少し上手くなれよな」
(完)
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