江戸時代のお裁きをする私たちのヒーローとして、大岡越前守や遠山左衛門尉の名裁きがありますね。書き物も残っていますし、ドラマにもなっています。しかし、これは現実の姿じゃァありません。後世の脚色です。
江戸時代、お奉行が裁判の実質的審理をやっていたわけじゃないんだそうです。実際には、江戸幕府の高級官僚である与力のうち、訴訟を担当する「吟味方与力」がその審理を行ってました。
町奉行は、最後の判決の時だけ立ち会うくらいで、形式的にしか関与していないんですね。幕末の佐久間ナニガシという与力は、その日記に「奉行と与力・同心は人形と人形遣いの関係にあり、名奉行と言われるのは人形遣いの与力・同心が奉行のために精勤した結果にすぎない」と書き残しています。
現代では、裁判官が人形でもあり人形遣いでもあるので、このへんのところがかなり違っています。
(次回に続く)