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仏教ファン、瞑想バカのフリーライター森竹ひろこ(コマメ)の仏系ブログ。最弱なので、おてやわらかに!

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【報告】正田大観先生の現代語訳「小部経典」が発売!記念祝賀会のご報告です

2015-04-08 | (報告・感想)気になるイベント、講演会



 本日4月8日は花祭り(北伝仏教的には、お釈迦様の誕生日)。それにあわせるかのように正田大観先生が現代語翻訳された「小部経典」全十巻が、Kindle版で発売開始されました。

 小部経典の名前は冒頭の「小誦経」に由来しますが、その名前に反して圧倒的な文字量を有し、パーリ語経典の経蔵「五部」のなかで半分近い分量を占めています。その全訳には多大な労力を注がれたことと、敬服いたします。

 小部経典には「スッタニパータ」や「ダンマパダ」などメジャーな経典もふくまれますが、それでも全10巻中、6巻が初の現代語訳になります。正田先生に初の現代語訳のなかであえてお勧めをうかがったところ、スッタニパータの注釈書である第八巻の「マハー・ニッデーサ(大義釈)」と、第九巻「チューラ・ニッデーサ(小義釈)」をあげられました。
 また、ブッダゴーサの「清浄道論」の原型であるといわれる、サーリプッタ長老が修行方法を説いた第10巻の「無礙解道(パティサンビダー・マッガ)」も初の現代語訳の目玉といえそうです。

 五世紀前半の学匠ブッダゴーサは、現在の上座仏教の思想的な原型をつくりあげたとされる人物で、その思想形成には大小の「義釈」と「無礙解道」から多大な影響を受けたといわれています。そういった意味でも今回の現代語訳は、上座仏教を学ぶ人にも、瞑想の実践者にも、広く恩恵をもたらすことでしょう。





 翻訳の原本には、現在では最高水準のパーリ三蔵テキストといわれる、1954年の第6結集版を改訂した「ワールド・ティピタカ」を使用され、その縁もあり、タイに本拠地を置くワールド・ティピタカ財団の主催による出版記念祝賀会が4月4日に開かれました。
 現在、正田先生は関西を拠点に活動されていますが、祝賀会は東京で行われました。そこで、学びのガイドを務められる「みんなの仏教教室」の学人のみなさんをはじめ、ご縁のある方々に先生の晴れの姿(!)が少しでも伝わればと、写真をまじえながらレポートいたします。





 祝賀会はワンギーサ長老がご参加されたこともあり、まずは三帰依、そして「五戒文」、「仏陀の九徳」「法の六徳」、「僧伽の九徳」、「三宝に対する懺悔」などを全員で唱えることから始まりました。特に文言の書かれた紙などの用意はありませんでしたが、ほとんどの参加者が空で唱えられていたのは、さすがです。
 その後、出版元Evolvingの糸賀社長が書籍の概要を紹介されました。




 続いてワンギーサ長老が、正田先生の功績を祝福されました。長老は仏法ブログ「困った時はダンマパダ、スッタニパータで悟りを開く」で、毎日法施をされていることでも知られていますね。
「正田先生のパーリ語は本当に忠実です。私たちが辞書をひきながら原文を読むときに併読すると、深く理解できます。
 南伝大蔵経には文語体の訳がありますが、現代文はないものも多いので、パーリ経典を勉強する方には大きな助けとなるでしょう」





 ワールド・ティピタカ財団の副理事長も来日し、その偉業を讃えられました。副理事長はタイ王室の親戚筋にあたるそうで、物腰や話し方が洗練され、しかもとても気さくな方でした。(右の女性は日本担当役員で、通訳をされていました)
 「7年ほどで、個人でこのような大役をみごとに成されたのは、並大抵のことではないと思います。
 正田先生の現代語訳により、若い人たちでも、仏教の知識のない人でも、ブッダの教えに触れることができるようになりました。これはたいへんなお布施、ダンマ・ダーナです」




星さんのスピーチ中、贈呈された「サンガジャパン別冊2 タイ・ミャンマー人物名鑑」を
熱心に見入る副理事長


 その後、書籍化の実現に奔走された著述家の星飛雄馬さんによる経緯の説明を兼ねた祝辞、そしてパーリ語の先生でもある小野道雄さんの心のこもった祝辞がありました。





そして正田先生ご本人のスピーチです。(抜粋)
 「私は15年前に日本テーラワーダ仏教協会に入会して、皆さんとのおつき合いが始まりました。いつも皆さんにはお世話になってばかりです。そこで何かお役に立てればと、大学でパーリ語を勉強していたので、10年以上前に教えることを始めました。
 そして2008年、タイ王室から協会に『ワールド・ティピタカ』が贈与されましたので、宝の持ち腐れにならないように、協会の皆さんへの恩返しになればと翻訳に取り組むことにしました。翻訳するにあたって、ニーズが高いセクションは何かを考えたら、それは「小部経典」ではないかと思い至りました。
 おかげさまで翻訳が完成できましたが、完成といっても本当に完成ではないのですね。おそらく十回ぐらいは、出来たものを見直したり、手を加えたりしていました。それでも今も見たら、赤を入れて訂正するようになるはずですよ。
 だから、厳密には完成とは言えないのですけれど、でも、いつまでも関わっているわけにもいきません。まず「清浄道論」の下書きができているので、それを完成させて、そして残りの人生を「増支部」の翻訳をがんばってやっていきます。そして、幸いにしてまだ命がありましたら、「相応部」をしようかなと思っています。
 今日は、本当にありがとうございました」




その後、ワールド・ティピタカ財団から活動の紹介がありました。
 財団は現在、文字だけでなく、お釈迦様の言葉を正確な発音で再現するプロジェクトを展開されているそうです。
 また、贈呈した「別冊サンガジャパン2」を手に、表紙のロゴを指し「Samgha」の m を西洋では n と書くことが正しいとされているが、鼻に抜ける発音なのに、 n を使うとそうではなくなってしまうため、 m が正しい。西洋人が正しいと信じている n ではなくて、 m を使っているのは勇気があることだと、絶賛されていました。音声プロジェクトを進められているだけに、発音にはこだわりがおありですね。
 でも、別冊の内容については一言も触れられませんでした。登場するタイの僧侶は森林派が中心ですが、タイ王室と縁の深い一派であるタマユットニカーイの僧侶や、経典研究で業績を残した学僧がほとんど取り上げられていなかったためでしょうか。タイの人から見てもマニアックな一冊のようです……


 途中、昼食をはさみ、終始温かい雰囲気のなか、祝賀会は3時間ほどでお開きとなりました。
 正田先生の偉業を随喜させていただくとともに、心に残るよき会を主催されたワールド・ティピタカ財団にお礼を申し上げます。




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