14/07/2006
【写真:街中のあちこちにあるサミットの横断幕。市民には全く無縁なのだが...(08/07撮影)】
明日からペテルブルクでサミット(先進国首脳会議)が開催される。ロシアが議長国をつとめる初めてのサミットとして注目されているが、各国の首脳が集まる開催地は厳戒態勢。
7月11日付The St. Petersburg Timesはこう報じている
「サミットは外国人による旅行ブームなど後で効果をもたらすと期待されているが、逆に交通機関から裁判、バレーボールの試合から葬式に至るまで、市民生活の多くの側面に悪影響を及ぼしている。」
その市民生活への「悪影響」のほんの一部を同記事から紹介してみよう。
・バスやマルシュなど交通機関の運休、経路変更
・空港は一般向けのサービスを全面停止(専用機発着のため)
・運河クルーズ中止
・外交官、報道関係者、居住者は訪問客を制限しなければならない
・国際ビーチバレーボール大会延期
・高速道路沿いの葬儀場閉鎖
・被告人の警備ができないため裁判延期
などなど、多くの不便を強いられる3日間が明日から始まる。
空港が閉鎖されるため、その前に帰国を急いだ知り合いもいる。
ペテルブルクにやって来るのは先進国首脳だけではない。アンチグローバリストなどよく分からぬ集団がデモなどを計画しているほか、国境が厳しくなっているとはいえテロリストが入ってこないとも限らない。ペテルブルクではないが、ロシア国内でサミット中のテロを計画したとして、首謀者が暗殺されたという報道も先日目にした。
サミット中の治安維持のため、ペテルブルクにはモスクワやプスコフなど、周辺から応援の警備要員が続々到着し、街中には異様なほど多くの警官がいる。ネフスキー大通りにも監視カメラが設置され、警戒が強化されているが、どちらかといえばこれらは何か事件が起こった後に役に立つ可能性があるに過ぎない。
例えばテロリストに狙われやすいとされるメトロ。入り口に空港のようなセキュリティゲートがあるわけでもなく、警備が厳しくても警官の隣を堂々と通過し、誰にも分からずに爆発物や拳銃などを持ちこむことが可能だ。世界一深いペテルブルクのメトロでテロでも起こったらと思うとぞっとするが、それもあり得ないとは言い切れない。現に昨年のロンドンの実例がある。
このように何かと不便や不安が多いサミット期間。中にはペテルブルクを離れて旅行に出かけたり、ロシアから出国したりという選択をする人もいる。その選択も悪くないと思うが、私には特にペテルブルクから離れる予定はない。
当地の総領事館から滞在している日本人向けに「サミット期間中はなるべく外出を避け」るよう安全対策が記された一斉送信のメールが来たが、まさかずっと引きこもっているわけにもいかないので、自分の安全は自分で守りながら行動するほかない。少なくともサミット期間中は大衆が集まりそうな場所や、メトロなどを極力避けた方が良さそうだ。
そういえば、私のメトロのカードは今日でちょうど期限が切れる。
サミットというと響きは良いかもしれないが、単なる政治パフォーマンス。私達のように、開催地に住む一般市民にとって良いことは皆無。市民に大迷惑を強い、膨大な税金をかけてまでこんな会議を開催する意味がどこにあるのか理解しかねる。一堂に会して話し合おうなんて、まるでウェストファリアやヴェルサイユの時代のようだ。どうしても会議が必要なら主要国を結んでテレビ会談をするとか、もっと現代に即したやり方で時間もコストも削減できるはず。そんなことが議題になったらサミットも進歩したなと思える。
サミットの成否など私達には関係ない。明日からの3日間、ペテルブルクの市民生活を脅かすことが起きないことだけを祈っている。
【写真:街中のあちこちにあるサミットの横断幕。市民には全く無縁なのだが...(08/07撮影)】
明日からペテルブルクでサミット(先進国首脳会議)が開催される。ロシアが議長国をつとめる初めてのサミットとして注目されているが、各国の首脳が集まる開催地は厳戒態勢。
7月11日付The St. Petersburg Timesはこう報じている
「サミットは外国人による旅行ブームなど後で効果をもたらすと期待されているが、逆に交通機関から裁判、バレーボールの試合から葬式に至るまで、市民生活の多くの側面に悪影響を及ぼしている。」
その市民生活への「悪影響」のほんの一部を同記事から紹介してみよう。
・バスやマルシュなど交通機関の運休、経路変更
・空港は一般向けのサービスを全面停止(専用機発着のため)
・運河クルーズ中止
・外交官、報道関係者、居住者は訪問客を制限しなければならない
・国際ビーチバレーボール大会延期
・高速道路沿いの葬儀場閉鎖
・被告人の警備ができないため裁判延期
などなど、多くの不便を強いられる3日間が明日から始まる。
空港が閉鎖されるため、その前に帰国を急いだ知り合いもいる。
ペテルブルクにやって来るのは先進国首脳だけではない。アンチグローバリストなどよく分からぬ集団がデモなどを計画しているほか、国境が厳しくなっているとはいえテロリストが入ってこないとも限らない。ペテルブルクではないが、ロシア国内でサミット中のテロを計画したとして、首謀者が暗殺されたという報道も先日目にした。
サミット中の治安維持のため、ペテルブルクにはモスクワやプスコフなど、周辺から応援の警備要員が続々到着し、街中には異様なほど多くの警官がいる。ネフスキー大通りにも監視カメラが設置され、警戒が強化されているが、どちらかといえばこれらは何か事件が起こった後に役に立つ可能性があるに過ぎない。
例えばテロリストに狙われやすいとされるメトロ。入り口に空港のようなセキュリティゲートがあるわけでもなく、警備が厳しくても警官の隣を堂々と通過し、誰にも分からずに爆発物や拳銃などを持ちこむことが可能だ。世界一深いペテルブルクのメトロでテロでも起こったらと思うとぞっとするが、それもあり得ないとは言い切れない。現に昨年のロンドンの実例がある。
このように何かと不便や不安が多いサミット期間。中にはペテルブルクを離れて旅行に出かけたり、ロシアから出国したりという選択をする人もいる。その選択も悪くないと思うが、私には特にペテルブルクから離れる予定はない。
当地の総領事館から滞在している日本人向けに「サミット期間中はなるべく外出を避け」るよう安全対策が記された一斉送信のメールが来たが、まさかずっと引きこもっているわけにもいかないので、自分の安全は自分で守りながら行動するほかない。少なくともサミット期間中は大衆が集まりそうな場所や、メトロなどを極力避けた方が良さそうだ。
そういえば、私のメトロのカードは今日でちょうど期限が切れる。
サミットというと響きは良いかもしれないが、単なる政治パフォーマンス。私達のように、開催地に住む一般市民にとって良いことは皆無。市民に大迷惑を強い、膨大な税金をかけてまでこんな会議を開催する意味がどこにあるのか理解しかねる。一堂に会して話し合おうなんて、まるでウェストファリアやヴェルサイユの時代のようだ。どうしても会議が必要なら主要国を結んでテレビ会談をするとか、もっと現代に即したやり方で時間もコストも削減できるはず。そんなことが議題になったらサミットも進歩したなと思える。
サミットの成否など私達には関係ない。明日からの3日間、ペテルブルクの市民生活を脅かすことが起きないことだけを祈っている。