加計学園の獣医学部新設をめぐり、与党は、柳瀬唯夫・元首相秘書官が2015年4月に首相官邸で学園関係者らと面会したことを認めることで国会の正常化を図る検討に入った。大型連休明けに柳瀬氏の国会招致を立憲民主党など野党6党に提案して審議復帰を呼びかける考えだ。

 柳瀬氏が学園関係者との面会を認めれば、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学園の獣医学部新設計画を首相側近が早くから知っていた可能性が出てくる。学園の計画を初めて知ったのは17年1月20日としてきた首相のこれまでの答弁も揺らぎかねず、「加計ありき」との批判が再燃することは避けられない。

 政府・与党の複数の幹部が2日、柳瀬氏と学園関係者が面会したことは認めざるを得ないと判断した。自民党幹部は「柳瀬氏が加計学園の関係者と会った際、愛媛県今治市の職員が同席していた可能性はある。過去の答弁とは矛盾しない」と説明した。実際、県、市の職員が官邸を訪れた際、学園関係者が同行していたとされる。

 柳瀬氏が県職員らと面会した際に「首相案件」と述べたと記した文書を愛媛県が作成していたことが判明した直後の先月10日、柳瀬氏は「記憶の限りでは、愛媛県今治市の方にお会いしたことはない」とのコメントを発表した。

 

 

柳瀬元首相秘書官、加計学園との面会認める意向 来週にも国会で 野党は審議復帰の見通し 

 これまで「記憶の限りでは会ったことはない」としてきた答弁を事実上修正することになり、野党は7日に国対委員長会談を開き、衆参両院の予算委員会で柳瀬氏を参考人招致する方向で調整する。柳瀬氏は与党幹部に発言を修正する意向を示しているという。

 立憲民主党の辻元清美国対委員長は2日、自民党の森山裕国対委員長と電話で協議し、働き方改革関連法案の野党の対案について、衆院本会議で趣旨説明を行う機会を設けるよう要求した。辻元氏は記者団に「柳瀬氏を早く追及をした方がいいという気持ちもある。どこで折り合えるか他の野党と相談したい」と述べた。