精神科医山内の心の相談室

日常の臨床経験から得た心の悩みに役にたつことをわかりやすく説明します

エディプス・コンプレックス

2013-08-08 | 日記
過去のブログに、エディプス葛藤やそれに関連したことをいくつか書きました。
現在も、エディプスコンプレックスは、臨床に役立つ概念と思われる体験をしているので、
(過去のブログも参考にして頂きながら)
説明してみたいと思います。

エディプス・コンプレックスとは、精神分析辞典から引用しますと、
「子供は、異性の親との性的な結合を夢みて、同性の親が死んだりいなくなることを願う」
既にこのあたりから、拒絶反応を持たれる方は多いと思います。
しかも専門家の間でも異論反論の多い概念です。

それでも私が臨床で役に立つと思う、
そのことをわかりやすく説明するために、症例を創作して書いてみます。

まず子にとって母親は最初に出会う女性で、
最初から愛してくれるのが前提の女性です(ここまでは通常の母子関係)。
毎日近くにいる母親が、子にとって寂しそうにみえる。
父親は帰りが遅く、帰ってきても不機嫌であり、
母親も楽しそうには見えない。
母親は、父親のことを、頼れない、とよく言っている。
そういう例があるとき、
子は、大事な母親を守りたいと思う。
即ち自分が、父の代わりの立場になろうと思う。
これは同時に葛藤を生む。
自分は父の代わりにはなれても、あくまで子供、
異性としての父ではない。
子が息子なら、男性らしくなりたいには、ブレーキがかかる。
娘なら、女性らしくない自分であるほうが、母親は喜ぶ。
つまり子は母親が寂しそうにみえればみえるほど、
子は、親から離れて大人に向かう成長の方向の欲を抑える
(不安パニックなど症状を出して家にいる、
身内以外の仲間の交流を避ける、
恋愛など、親密な関係が大事な相手と、親密でない関係でいる、
例えば大事な話はしない、相談は恋愛対象より親が多い、など)。

エディプス・コンプレックスといえばフロイト、フロイトと言えば、欲動論ですが、
この欲動論も、性欲を言ってると、一般にも、専門家の間でも異論反論が多いです。
しかし、欲、心的エネルギーがどちらに向いているか、向きすぎているか、
そう捉えると、その人の何が問題で症状を出しているかが見えやすいことは多いです。
例えば、母親に心的エネルギーが向きすぎてしまう、その背景に父親不在がある、
母父との三角関係の葛藤の反復が現在にもあると思われる、などです。

エディプス・コンプレックスや欲動論などを言って、説明したいのは、
心のエネルギーが向かう方向を、現在の仕事や家庭における自分の立場に向きを変えることが大事ということです。
それが不安から希望に向きが代わる方向になります。
臨床経験からは大事と思うことですが、説明不十分かな。
次回以降に。
コメント
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