会社法の条文は枝番をなくした結果、実に979条もある大所帯。民法に匹敵するほどの条数ですね。
「会社法。条文なんて嫌い」って叫んでみても試験を受ける以上なんとかしなきゃいけないし…。受験指導する側もなんとかしてやんなきゃいけないわけで。
試験対策とはいえ、これを読んで覚えようというのはナンセンスです。もちろん、重要な条文は覚えなきゃいけない。民法と同じですね。
それでもある程度「理屈」で「論理」でおさえるべきところはあります。最初から、条文を読み込もうというのは無謀に近い。「この条文は読んでおいてください」なんていうのは受験指導なんてもんじゃありませんね。講師じゃなくてもできますから。(もっとも私も言いますがね)
膨大な会社法の条文であっても、法文ですから一定のルールもあるんです。他の法文も同じなんですが、「単純なルールから複雑なルールへ」という順序で構成されています。
要するに、「一般的な規定と特則」というわけです。こういう構造を理解すべきですね。体系的に理解できるようにもなります。というわけで、K&Sの会社法のテキストは「条文の構造」をとりあげ、時間を割いてコメントしました。基本講義と論点講座で。
会社法における株式会社は「4つに分類」できるわけです。①公開会社・大会社。②公開会社・中小会社。③譲渡制限会社・大会社。④譲渡制限会社・中小会社。それぞれに選択できる機関設計が定められているんですね(全部で39種も)。
その39種に共通しているのは「株主総会と取締役」。どんな株式会社にもあるわけで。このような取締役会を設けていない会社にたいして「一般的な規定」を設け、取締役会設置会社についてはその「特則」を定めているんですね。
日本の会社のほとんどである「株式譲渡制限会社(公開会社でない会社・非公開会社)」については「一般的な規定」を設け、公開会社については「特則」を定めているっていうわけで。
その公開会社。株主数多数で、所有と経営の分離が進んでいるっていう点がポイント。ここからルールをチェックします。譲渡制限会社ではそれが進んでいないっていう点がポイント。ここからルールを考えます。
条文の暗記に走ったって。それが試験に出てくれなきゃお手上げ状態ですからね。こんな理屈から考えていきましょう。
ここですべて開陳することはできませんので、詳しくは講義で。