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「米軍再編」のおさらい

2010-04-24 | clipping
All About|「米軍再編」なにがどう変わる?| 2006年07月04日 辻 雅之
http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20060704A/index.htm


世界的に進む「米軍再編」。いったい何を行うのか。その目的は何なのか。日本にはどのような影響があるのか。「世界の保安官」アメリカ軍が進める再編(トランスゴーメーション)についての基本情報を解説します。

1ページ目 【なぜアメリカ軍は大規模な再編をするのか?】
2ページ目 【冷戦時代が終わって注目される「不安定の弧」とは?】
3ページ目 【日本での米軍再編、なにがどうなっているのか?】

【なぜアメリカ軍は大規模な再編をするのか?】

単に「軍事費を削減しよう」「もう冷戦はないから過剰な兵力をリストラしよう」というだけで、アメリカは米軍再編をしようとしているわけではありません。

アメリカは、いま軍事や世界情勢の中で起こっているさまざまな変化に対応するため、米軍を再構築、そしてトランスフォーメーションしようとしているのです。

その「変化」とはなにか、具体的にあげてみましょう。

(1)戦争は「産業化社会の戦争」から「情報化社会の戦争」へと変化
(2)戦争は「消耗戦」から「麻痺(まひ)戦」へと変化
(3)対応すべきは「冷戦の壁」から「不安定の弧」へ移動
(4)対称型の戦いから「非対称型の戦い」への対応が求められている

では、それぞれがいったい何を意味し、アメリカはそれに対してどう対応しようとしているのか、見ていきましょう。

「産業化社会の戦争」から「情報化社会の戦争」へ
少なくとも第2次世界大戦までの戦争は、その国の産業の優劣が結果を大きく左右するものでした。

つまり、ナチス政権の下で国家統制産業を構築し、軍事力を増したドイツは、世界恐慌の不安から立ち直れないフランスを撃破しました。そして、そのドイツや、日本を圧倒的な工業力による兵器の物量で叩きのめしたのがアメリカでした。

産業大国、工業大国が戦争を制する、これが従来の戦争のパターンでした。

しかし、ベトナム戦争はその観念を覆しました。まったく近代的産業が起こっていないベトナムのゲリラたちが、アメリカに「勝利」したのです。神出鬼没なゲリラの前に、アメリカの近代兵器は無力でした。アメリカが物量にまかせて行った盲目的な北ベトナムへの大爆撃や、枯れ葉剤の大量散布も、結果的にはアメリカを勝利に導くことができませんでした。

そして、情報化社会は戦争にあらたな要素を加えました。国民の戦争への反発です。新聞やテレビで苦戦するアメリカ軍、アメリカ兵士の残虐な行為を見聞きした国民は、ベトナム戦争への嫌悪感を強め、「戦争のもと国民は団結する」という定式を打ち破りました。

さらに情報化社会が進んだ今日において、アメリカ軍は、戦争は兵器・物資の量よりも次のようなことが重要であると考えるようになったのです。

・ハイテクや情報技術(IT)を利用した迅速かつ正確でムダのない攻撃
・国民に不安を抱かせない早期の戦争の決着と犠牲を極小化すること

これを実現するため、 1980年代後半から進められてきたのがRMA=軍事における革命だったわけです。RMAについては、また後ほど詳しくみていきます。

戦争は「消耗戦」から「麻痺(まひ)戦」へ
消耗戦と麻痺戦
アメリカ軍は消耗戦作戦を捨て、いきなり敵の心臓部を叩く麻痺戦へと戦争概念を転換することで、湾岸戦争以降勝利を収めてきた
アメリカ軍は同時に、戦争の考えを、これまでの「消耗戦」から「麻痺戦」へと転換しました。

消耗戦は、中心的な戦力と戦力がぶつかり合い、先に消耗し尽くした方が負け、という戦争です。極めて伝統的な戦争観ですが、これでは戦争の長期化を招いてしまう危険性があります。

アメリカは、戦争の概念を消耗戦から麻痺戦へと移しました。大きな戦力がぶつかる前に、さまざまな手段で敵を「麻痺」させ、敵を混乱させ、あるいは戦意を喪失させてから、大きな戦力を投入して勝利を目指す、という考えです。湾岸戦争は、この作戦で成功しました。

さらにイラク戦争では、アメリカは敵を麻痺させるだけで、大きな戦闘がないまま、容易にフセイン政権を倒し、イラクの占領に成功しています。

敵を動けない状態に陥れて、一気に勝利を決める。この麻痺戦にアメリカが対応することによって、アメリカは確実に、そして短期間で勝利を収めることができると考えているわけです。

この麻痺戦の考え方は、むかしからなかったわけではありません。しかし、麻痺戦を徹底的に行うことを可能にしたのが、さきほども少し述べた「RMA=軍事における革命」なのです。

RMA(軍事における革命)とはなにか
RMAの成果
アメリカ軍はRMAの進行によって兵器のIT化・ハイテク化が急速にすすみ、今では複数の目標を1つの爆弾で正確に破壊できるほどになっている。
アメリカが進めているRMAは、兵器、そして軍事システムそのものをハイテク化、IT化していこうとするものです。

兵器のハイテク化・IT化は以前からかなり進んでいます。今では、26個のGPS衛星によって誘導される精密な誘導攻撃兵器が誕生し、まさにピンポイントで敵の心臓部を一撃できるようになっています。

兵器のハイテク化は「地形を利用すれば有利」という概念そのものも打ち砕きました。「デイジーカッター」とよばれる爆弾は爆心地の酸素をすべて吸い上げ、複数のほら穴に潜んでいる敵の兵士も根こそぎ窒息死させてしまいます。

そして数多くの偵察衛星や、すでに実用化から多用化の段階に入っている無人偵察機、そして特殊部隊が送ってくる情報などを総合して、陸・海・空の3つの軍隊が的確に目標を定め迅速な共同作戦をとることが、いま目指されているのです。

こうしたRMAの進展により、アメリカは情報化社会の戦争、そして麻痺戦を戦う能力を向上させているのです。

【冷戦時代が終わって注目される「不安定の弧」とは?】

「冷戦の壁」からの米軍撤退
従来のアメリカ軍の世界における配置は、冷戦に対応したものでした。冷戦の最前線、つまり西ヨーロッパや韓国、日本などに軍を配置し、ソ連など共産勢力に備えようとするものでした。

しかし、冷戦が終わった今となっては、冷戦の「壁」であった地域に大きな兵力、特に人が多い陸上兵力を置く必要性が薄くなりました。

特に旧東欧諸国がEUやNATO(北大西洋条約機構、アメリカ・西欧の軍事機構)に加入するようになったなか、ヨーロッパに大きな兵力を置いておくことに意味がなくなってきたのはいうまでもありません。

また、アメリカは韓国の米軍も削減しようとしています。

貧困にあえぐ北朝鮮が、もはや朝鮮戦争の時のように大規模な兵力を南下させることはないだろうとアメリカは考えています。北朝鮮が行う軍事行動は、生物・化学兵器の使用によるテロ的なものか、ミサイル攻撃であろうと考えられています。

また、冷戦が終わったいま、第2次朝鮮戦争が始まったとしても北朝鮮を直接支援する国は皆無でしょう。

このようなことから、アメリカは韓国に大規模な兵力を置く必要性もないと考えているのです。

「不安定の弧」への対応
不安定の弧
冷戦は終わった今、アメリカ軍は冷戦対応型軍隊から、テロの温床となっている「不安定の弧」への対応軍へと移行しようとしている
代わりに国際テロが活発になってきた地域があります。それは主に東南アジア・中央アジア・中東でさかんになっているわけです。

アメリカは、これらの地域を「不安定の弧」と呼び、この地域における国際テロの封じ込め・せん滅を新たな課題と考えるようになりました。

国際テロに対して重要なのは、大きな兵力よりも、効果的な兵器と、兵力展開の迅速さです。そこで、アメリカは海外に展開している大規模兵力を小規模な「ストライカー旅団」に転換しようとしています。

ストライカー旅団とは、大型輸送機に搭載可能な装甲車を中心とした陸上部隊のことです。すでにアメリカ本土に多く設置されています。

ストライカー旅団は、従来の戦車を中心とした陸上部隊と違い、遠くにいても輸送機ですぐ「現地」に向かうことができます。この「機動性」に加え、ストライカー旅団に特殊作戦能力の技術を兼ね備えさせることにより、より迅速な行動と効果的な攻撃を行おうとしています。

アメリカは、「9・11」のあと、本土防衛を重視し、陸上部隊の多くをアメリカ本土に引き上げようとしています。しかし、代わりに「質」の面で向上した陸上部隊、ストライカ-旅団を海外に置き、アメリカに挑戦する国際テロに対応しようとしているのです。

対称型の戦いから「非対称型」の戦いへ
非対称型の戦い
アメリカ軍は非対称型の戦いに備えるため特殊攻撃部隊の養成にも力を入れている。沖縄にいる海兵隊の役割も増大しつつあるといえる
従来の近代兵器VS近代兵器の戦争は「対称型」の戦いです。従来の軍隊は、これを想定して軍備を整えてきました。

しかし、現代型軍隊であるアメリカ軍の敵が、近代兵器を備えた正規軍から、そうではなく自爆テロやその他の手段で襲いかかるテロリスト・ゲリラなどへと移ってくるに従い、この想定を見直さざるを得なくなりました。

「非対称型の戦い」とは、このような、一方は近代兵器を使うものの、一方は自爆テロやその他のゲリラ的戦法を使って戦われる戦争のことをいいます。イラク戦争で勝利したはずのアメリカは、占領をはじめたとたん、このテロ攻撃という非対称型の攻撃になかなか対応できず、多くの犠牲者を出しているわけです。

非対称型の戦いでは、往々にして敵は兵器よりも人的資源そのものを利用しようとします。その究極のものが自爆テロです。神出鬼没なこのテロ攻撃を、RMA化された軍隊で対処しようとしても、なかなか難しいものがあります。

そのためアメリカは、一方でハイテク化などのRMAを進めながら、一方でテロやゲリラに対応するための「人的資源」の養成を余念なく進めています。沖縄にいる海兵隊は、一般の陸上戦力と違い、このような特殊訓練を受けている精鋭部隊として構成されているもので、イラク戦争にも送り込まれました。

RMAでは、この海兵隊などの精鋭部隊も「デジタル化」し、指令部とネットワークで直接結んで情報をやりとりし、より正確で効果的な攻撃ができるよう目指しています。

将来的には、一般的な陸上部隊はアメリカの本土防衛のために使用され、テロやゲリラとの戦いのための陸上部隊として、海兵隊やその他の特殊部隊が使用されるようになると思われます。

【日本での米軍再編、なにがどうなっているのか?】

アメリカ軍再編の概要
日本の米軍再編
韓国・ドイツの米軍は大幅に削減されるが、在日米軍の削減は少なく、指令部の移転など、むしろ機能強化の動きが見られる
アメリカは、今回の再編=トランスフォーメーションによって、軍人・文官含めて17万人ほどをアメリカに帰還させ、アメリカが使っている海外の施設も30%削減しようとしています。

そのことにより、コストは今後20年間で154億ドル削減できると考えています。冷戦で膨れ上がった軍事力はRMAの進展によって過剰になってしまいました。これを大きくスリム化しようというのが、アメリカの戦略です。

そのため、ヨーロッパにいる人員は40%削減します。特にドイツにいる陸軍は大幅に削減し、代わりにストライカー部隊を設置します。

韓国にいるアメリカ軍も 13000人ほど削減します。韓国への軍事的援助はむしろ強化しますが、アメリカ軍の在韓国指令部はソウルから南下し、いままでアメリカ軍が多くを担ってきた国境防衛機能は基本的に韓国に委ねられることになります。

しかし、日本でのアメリカ軍の削減は小幅です。アメリカからやってくる組織もあります。その大きなものが指令部の日本移転です。アメリカ本土にあった陸軍第1指令部は、在韓指令部と在日指令部を統合する形で再編されて日本のキャンブ座間に置かれることになります。

また、沖縄からは、第3海兵隊指令部が海兵隊8000人とともにグアムに移り、南部の基地は返還されていきますが、問題となっている普天間基地の機能は同じ沖縄・名護市のキャンプ・シュワブに作られる代替施設に移行。沖縄北部の基地や演習場はそのまま残ります。

そして、厚木基地から空母艦載機部隊を岩国基地に移転。横田基地に日米共同使用のミサイル防衛指令拠点を作り、航空自衛隊の基地である築城(福岡県)、新田原(宮崎県)には、アメリカの緊急輸送機の駐機場や兵舎を建築することになっています。

なぜ、日本だけアメリカ軍の機能が強化されていくのでしょうか。

「不安定の弧」対策の重要拠点と考えられている日本
不安定の弧
東部が手薄な「不安定の弧」に対して、この地域をカバーする日本・沖縄のアメリカにとっての重要度は増しているのだろうか
「不安定の弧」の中には、アメリカの基地がいくつかあります。中央アジアにはキルギスに、中東にはカタールに、そしてインド洋に浮かぶイギリス領のディエゴガルシア島もアメリカが借用しています。

特にディエゴガルシア島はアフガン戦争の主要基地として、大きな役割を果たしています。

しかし、これらは不安定の弧のうち西方ばかり。東方で、アメリカ軍が恒久的に基地として使える場所が必要です。それに対して、日本は場所的に非常に効果的、というわけです。

特に沖縄は、東南アジアに近く、また朝鮮半島の有事もカバーできる対応距離にある地理的な要衝。また、東南アジアの気候に近い(ジャングルに近い土壌・地形も多い)沖縄は、「非対称型の戦い」への対応を進めるアメリカ軍の最重要部隊・海兵隊の演習場としても格好の場所と考えられているようです。

アメリカ軍は、外国に軍隊を置くことによって生じる経費の削減を進めてはいますが、戦略的要所を手放すことはしないつもりのようです。ですから、もっとも要所であるといえる日本、とりわけ沖縄の軍事機能を強化こそすれ、全く放棄してしまう考えはないはずです。

日本は「もっとも信頼できる同盟国」
日本がアメリカに信頼されていることも、アメリカ軍が日本に多くの基地を置く理由の1つでしょう。

他国に軍隊を駐留させると、どうしても摩擦が起こります。そして、基地返還へと移っていきます。フィリピンは90年代はじめにアメリカの基地を返還させましたし、韓国でもアメリカ軍に対する反発はそうとう強くあります。

日本では、そういったことがあまりありません。たまに米兵の不祥事などが大きなニュースになりますが、喉元過ぎれば……なのか、深刻な政治的問題に発展することがありません。沖縄以外で、大規模な反米集会やデモが行われることもありません。

そして日本政府は、なるべくアメリカ側の意見を尊重し、実行してきました。アメリカにとって、これほどありがたい、言葉をかえれば「都合のいい」同盟国はありません。

こうしたことから、アメリカは日本をこれからも重要な大平洋地域の安全保障の軸足として利用しようと考えているでしょう。

米軍再編の「負担」をさせられる日本
海兵隊移転負担
沖縄海兵隊のグアム移転費用を、日本はアメリカよりも20億ドル多く拠出する。アメリカにとって「もっとも信頼できる同盟国」といえるのだろう
そして、日本の負担です。

日本は、米軍再編によってもっとも大きく負担を求められている同盟国でもあります。たとえば名護・キャンプシュワブにつくる飛行場建設や、岩国基地機能の拡大などで、地元に大きな負担がのしかかることが懸念されています。

さらに、日本は米軍再編にあたって60.9億ドル(約6820億円)の負担をしなければなりません。これは、沖縄海兵隊のグアム移転負担です。海兵隊の兵舎や家族の学校の建築・整備、日米共同出資の兵士住宅会社への拠出や融資などが主な内容です。

アメリカはお望みのとおり兵力をグアムに移すから、その費用は出してね、というアメリカの主張です。これを、日本は受け入れることになっています。

ちなみに、グアム移転負担費用のアメリカの負担は41.8億ドル。日本よりも20億ドル少なくなっています。

この拠出や、その他さまざまな日本の負担をアメリカに「ありがたい」と思わせることができるか、それとも「日本はちょろいな」と思わせてしまうのか……これからの日本の姿勢が問われるところです。

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All About|海兵隊のグアム移転費用は必要か?| 2009年05月18日 鳥羽 賢
http://allabout.co.jp/career/worldnews/closeup/CU20090517A/


沖縄に長年駐留していたアメリカ海兵隊8000名が、グアムへ移転することが決定しました。しかしその費用の半分以上を日本政府が持つという協定があり、莫大な費用を日本が払う必要があるのか疑問が残ります。

【CONTENTS】
在日米軍再編の一環として海兵隊がグアムに移転(1P目)
2800億円の支援を国会で承認(1P目)
103億ドルの使い道(2P目)
1戸あたり70万ドルの住宅、必要?(2P目)

在日米軍再編の一環として海兵隊がグアムに移転

長年沖縄に駐留してきた海兵隊が、グアムに移転する。
海兵隊のグアム移転は、在日米軍再編の一環として行われることになっています。2014年までに、現在沖縄に駐留している第3海兵遠征軍司令部、第3海兵師団司令部、第3海兵役務支援群司令部、第1海兵航空団司令部、第12海兵連隊司令部等所属の海兵隊約8000人と、その家族約9000人をグアムに移転します。

移転業務のために2006年に「ロードマップ(在日米軍再編行程表)」が日米間で合意、作成されました。ロードマップには、普天間飛行場を日本に返還、そのために2014年までにキャンプ・シュワブ海岸線陸上部と大浦湾海域周辺に新飛行場を建設すること、キャンプ桑江の返還、キャンプ瑞慶覧の一部返還、牧港補給地区の返還など、日米間の軍事施設に関する今後の取り決めが記載されています。

2800 億円の支援を国会で承認

ロードマップでは、グアム移転にかかる費用を103億ドル(約1兆3000億円)と試算。その約60%にもあたる61億ドル(約6100億円)ものお金を、日本政府が負担することで合意しています。

61億ドルの半分近くにあたる28億ドル(約2800億円)は、日本政府からアメリカ政府に直接提供されることに決められています。日米政府はこの支払いを法制化するために、グアム移転協定を締結しました。

グアム移転協定は4月14日に衆議院で可決されましたが、野党が多数派を占める参議院では5月13日に否決。しかし衆議院優先の原則のために、参議院で否決されてもこのまま可決されて承認されました。

103億ドルの使い道

グアム移転にかかる103億ドルとは、何にかかる費用なのでしょうか? 今回承認された協定で決められた28億ドルは、司令部の庁舎、牧場、学校などに使われます。

日本政府が負担するとロードマップで決められた61億ドルの内、残りの33億ドル(約3300億円)は、出資や融資という形でアメリカに提供されます。これらは将来的には回収することを見越している資金ですが、どこまで回収できるのかは未知数です。この資金はグアムにおける海兵隊員の住宅建設などに使用されます。

総費用と言われていた103億ドルの内、日本政府負担分の61億ドルを除いた42億ドル(約4200億円)は、海兵隊の軍事基地建設などに使われます。

1戸あたり70万ドルの住宅、必要?

グアムに米兵用の住宅が大量に建設される。
ところでグアムに建設されるアメリカ兵用の住宅は、1戸あたり70万ドル(約7000万円)もする贅沢な家になる予定です。グアムで平均的な4部屋(日本でいう4LDK程度)の住宅の価格は、 20万ドル(約2000万円)程度です。70万ドルといったらその3.5倍になり、これは現地ではかなりの豪邸になります。

このクラスの豪邸を3500戸以上も建てるのが、グアム移転計画の実態です。そうなると単純計算でも、その総費用は24億5000万ドル(約2450億円)にもなります。

これらは全てアメリカ兵のための住宅であり、日本人には関係ありません。また、司令部の庁舎、牧場、学校などの建設に使われる28億ドルは、日本政府が無条件で負担する金額で、将来的に回収できるものではありません。

日本も他国と同様に戦後最悪の不況で苦しんでいる状況で、このような大金を本当に出す必要があるのでしょうか? 日本政府も国民も、改めて考えてみる必要があるでしょう。

参考サイト
しんぶん赤旗(2009/4/17)
西日本新聞(2009/2/8)