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グーグルの中国事業が崩壊の兆し

2010-04-12 | clipping
日経ビジネスONLINE|グーグルの「決断」に暗雲  FINANCIAL TIMES|2010年4月12日(月) 
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100408/213894/?top


中国が義務づける自主検閲を拒み、本土を撤退したグーグル。香港経由で新たに検索サービスを始めたが、不具合が続く。原因は不明だが、広告主や利用者のグーグル離れが目立つ。

 インターネット検索最大手、米グーグルの中国事業が崩壊の兆しを見せている。(3月22日に香港経由で始めた中国向け専用)サイト検索サービス(*1)に不具合が発生し、広告主やユーザーからの信頼が揺らいでいるためだ。

 グーグルは3月30日、サービス遮断の原因は中国政府にあると非難した。障害は翌31日も続いた。中国当局はコメントを拒否しているが、アクセス数が減少しており、広告主は別の検索サイトへの乗り換えを検討している。

 同社の中国での広告アクセス数は、「香港経由になって30~50%減った」(北京の調査会社アイリサーチのアナリスト、カオ・ジュンボ氏)。医療機器メーカー、揚州慧科電子もグーグルサイトに載せた広告へのアクセスが激減し、掲載先を中国ネット検索最大手バイドゥ(百度)に移そうと考えている。利用者も、不安定なグーグルを避け、バイドゥを使う者が増えている。

 一方、中台問題を扱う学者やアナリスト、ジャーナリストら数人によると、彼らのヤフーメールのアカウントもこのほど攻撃された。また、中国による鉱山開発に反対するベトナム人活動家のサイトもサイバー攻撃を受けたことをグーグルが明らかにしている。

 同社の中国事業がいかに混乱を極め、制御不能に陥っているか、一連の経緯を見れば分かるとアナリストは言う。同社の中国向け検索サービスは24時間の間に障害と回復を繰り返した。利用者や顧客は不安を感じ、グーグルも事態の収拾に必死のようだ。

 グーグルは30日夜の遮断の原因を当初は自社の技術的問題としていたが、その後これを修正、中国政府が管理するファイアウオールが原因だとした。

「グーグルは思い上がった」

 31日夜、どんなに無害な検索語を入れてもエラー表示以外出ない状態が1日続いた後、グーグルの全サイト上に、24時間前に生じた「問題は解消されたようだ」との表示が掲載された。中国向け検索サービスの自主検閲中止を決断した末に招いた事態に対するこの無策ぶりに、専門家からは同社の行為が短絡的で、中国政府に挑戦状をたたきつけるよりもっと良い方法があったはずだとの批判の声が上がっている。

*1=同社は1月以降、自主検閲の撤廃を中国政府に求めていたが、交渉が決裂。その結果、中国本土の検索サイトを停止、代わりに香港で中国専用サイトを開設した

 「グーグルの行動は思い上がりから来た決断ではないか」。中国のデジタルテレビ・サービス・プロバイダーNDSのエイブ・ペレド氏は言う。

 中国のハイテク専門家は、混乱の正確な原因を部外者が知ることは不可能だが、政府の検閲官が関わっているはずだと言う。「グーグルにとって中国政府は手強い相手だ」と、あるソーシャル・ネットワーキング・サービスサイト創業者は語る。「混乱は、当局のウェブ管理官の周到な策略によることはほぼ間違いない。混乱と情報不足を招くのが目的で、彼らの目論見通りだ」。

 グーグルも22日に中国向け検索サービスを香港に移して以降、報復を覚悟していた。政府高官から一部厳しい批判はあったが、28日まではほぼ順調にサービスを提供できた。だが、グーグル幹部は慎重で、最高法務責任者のデイビッド・ドラモンド氏も「結論を出すのは時期尚早だ。グーグルの抵抗に対する当局の見方を把握するには、ある程度時間が必要だ」と警戒していた。

 同社の共同創業者セルゲイ・ブリン氏は、サイバー攻撃を受け堪忍袋の緒が切れたと言う。だが、ネットセキュリティー問題をうまく解決するには、検閲問題と切り離すべきだった、と外交専門家は言う。米国のあるセキュリティー専門家は、「検閲は受け入れ難いが、中国側はそれについて我々と話し合うつもりはない。ハッキングと戦いたければ、それについてだけ話し合うべきだ」と指摘する。

Kathrin Hille
((C)FINANCIAL TIMES Ltd,2010 Apr.1)

日経ビジネス 2010年4月12日号113ページより