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悲観論を抹殺するメディアの情報操作

2009-05-31 | clipping
アメリカ経済ニュースBlog|悲観論を抹殺するメディアの情報操作 2009年05月29日
http://ryuzaburo.seesaa.net/article/120438255.html


ピーター・シフ(Peter Schiff)は、2006年から住宅・信用バブルを正確に予測、見事的中させた貴重な人物です.

今日ご紹介するのは Youtubeで136万回も再生された動画で、2006年から2007年までシフ氏がメディアで発言した内容がまとめられています.

Peter Schiff Was Right 2006 - 2007 (2nd Edition)
http://www.youtube.com/watch?v=2I0QN-FYkpw&feature=player_embedded

シフ氏が恐ろしいほど正確に金融危機を見抜いていた同時に、メディアに出演した反論者らが同氏をあざ笑い・バカにしたか注目して観てください.

ピーター・シフ(Peter Schiff) 反論者

2006 年8月28日
CNBC
アメリカ経済の問題は、過剰借金による、過剰消費、過小貯蓄.

不動産・株式など紙の価値 が増やされた偽りの富.

不動産バブルがはじけえれば、偽りの富は消え、借金が残るだけだ. 過小貯蓄というが、富(資産)は急増している.

今後の増税はなく、最良の金融政策、自由化された貿易のアメリカ経済は健全.


あなたが間違っているとサインすることになると1セント賭ける.
2006 年12月31日
Fox News 現在の住宅価格は、Option ARMなどによる「人工的に上昇させられた価格」.

偽りのオプションARMはResetされ、支払い額が上昇、過熱した住宅バブルは崩壊する.

住宅ローンで儲けた企業は2000年バブルのように崩壊、住宅在庫は6ヶ月あら10ヶ月に急増.過熱した価格は暴落する. 来年、住宅価格は10%上がる.

「偽りの融資基準」とは、なにを言っているのか?

僕らはあなたの主張を聞きましたよ.
2007年8月18日
Fox Nes 今から危機の始まりだ.これはサブプライムだけの問題ではない.住宅ローン全体の問題.

アメリカは過剰に借金をして、車、住宅、家具などを消費した.

融資した外国は返済不可能とさとり、アメリカは重大な信用危機となるだろう.

金融株は避けるべき.PEは安いというが、巨大損失をだす.けして信じるな. 金融危機は過剰反応しすぎサブプライムは限定的な問題.

金融株は歴史的に超割安で、今が買いどきだ.

サブプライムはごく小さい.あなたは間違っている.

最悪な事態は脱した(3人)

株式は超割安、これから上がる.
金融、メリルリンチは買い.ベアースターンズはリスクは高いが、最も割安.

なんでそんなに悲観するの?
2007年12月29日
Fox News 経済・景気後退は大きな問題になるだろう.減税より、財政支出を減らさなければ、金利上昇、インフレが起きる.


株式は避けなさい.来年も景気は悪い.金(GLD)を買ったほうがいいだろう.金価格は1000ドルを超えるでしょう.


来年も株は下がる.サブプライム問題により金融は、信用収縮がおき借金で住宅、車など買えなくなる.来年に、大きな損失がでるだろう.
2008年前半は難しいが、後半は景気回復する.

金利引下げ効果があらわれ、住宅,雇用環境、自動車は回復する.

Washington Mutualは買い.

ダウ平均は来年16000ドルに回復.


住宅バブル時の悲観論者は、めちゃくちゃマイナーな存在でした.メディアに登場しても、悲観論者は、複数の楽観論者に否定され、誤っているような印象を視聴者に与えます.


2005 年、CNBCの番組”How to Profit from the Real Estate Boom"にロバート・シラー(Robeert Shiller)氏が出演したときも同じでした.たまたま僕はこの番組を見ていましたが、「住宅はバブルだ」と警鐘をならすシラー氏1名に対して、住宅はバブルでないと反論する楽観論者は3名の出演でした(悲観論者1名 VS 楽観論者3名).

当時、Fortune誌が「アメリカは住宅バブルである」という記事を出していましたから、住宅バブルという悲観論者もほどほどにはいたはずです.それでも、CNBCは、楽観論者3名を出演させを悲観論をつぶしていたといえます.


住宅・信用バブルを正確に予言したシフ氏.本来なら持てはやされるべき人物なのに、Time誌インタビューよると今年にはっていからテレビ出演は75~85%減少、バブル崩壊前の楽観主義反論者は、シフ氏よりも依然メディアに出演しているそうです.


自身いわく「メディアは『我々は悲観論になってはならない』というコンセプトにおちいっている」と批判してます.


Time誌 Schiff氏インタビュー動画



■ 新築住宅販売数 0.3%増加 VS 34%減少?

(1)2009 年4月の新築一戸建て住宅販売件数は前年比で34%減少した.
(2)2009年4月の新築一戸建て住宅販売件数は前月比で0.3%増加した.
日経新聞: 4月の米住宅販売、前月比0.3%増 新築戸建て

データをみる上ではどちらも正しい表現にみえます.


Barry Ritholtz氏は、統計学上の誤差範囲を考えれば、(1)の表現が正しく、(2)は間違っていると非難しています.

(1) 34%減少 誤差範囲 ±11% = 統計的有意(Statistically Significant) ○
(2) 0.3%増加 誤差範囲 ±14.5% = 統計誤差(Statistical Error) ×

052809 2003-2009年4月月別新築住宅販売戸数グラフ.jpg
Source: Calculated Risk

上のグラフをみればよくわかります.新築住宅販売戸数の推移は、月毎ばらつきがあります.

2003年(水色): 4月大幅減少 → その後2005年まで販売戸数は増加
2007年(オレンジ): 4月若干増加 → その後2009年まで販売戸数は減少
2009年(赤):4月 0.3%増加 → ???


月毎にバラツキが多いため、前月比で増減をみてみ全く意味のないことがわかります.しかし、ほとんどの大手メディアの報道は前月比0.3%増加したと報道.

Bloomberg : New-Home Sales in U.S. Climbed 0.3% to 352,000 Pace
Marketwatch : Home sales up a paltry 0.3%
Reuters : US new home sales rose 0.3 percent in April
Associated Press : April new home sales inch upward
WSJ : New-Home Sales Rise as Prices Tumble

あたかも住宅販売戸数が増え、住宅市場が回復しているかのような報道です.こちらも、本来前年比であるべき数字(34%減少)を、信頼性のない前月比(0.3%増加)と楽観論を前面に打ち出している典型的な例といえます.


Source: The Big Picture New Home Sales Fall 34%


楽観論者をもてなし、楽観データを前面にうちだすメディア.常にメディアの情報は偏りがあると認識して、正しく情報を取らないといけませんね.

メディアリテラシーの大切さ思い知らされます.