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イスラエル国家とは何か(2)

2010-06-19 | clipping
Study of History|アメリカがイスラエル建国を支持したのは、トルーマン大統領がユダヤ票を欲したため、という説 投稿者:ウエダ 投稿日:2010年 6月24日(木)12時18分59秒
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こんにちは、皆さん、植田です。

 ベギンが仕掛けたテロによってイギリスがパレスチナから撤退し、ユダヤ人問題は出来たばかりの国連に委ねられることになりました。
 その時点での国連決議の主役は、アメリカとソビエトでした。

 まず、アメリカの場合。
 アメリカはフランクリン・ルーズベルトからトルーマンに大統領が交代しました。
 ポール・ジョンソンによると、もしルーズベルトが死去せずに、大統領のままだったら、イスラエルの建国決議はなかっただろう、ということです。

 ルーズベルト大統領が死んだのは1945年4月12日でした。

 「ヤルタ会談の後、(サウジアラビアの)イブン・サウド国王と会談したルーズベルトは、亡くなるほんの数週間前に反シオニストの立場に転じた。親シオニストであった大統領補佐官デイビッド・ナイルズはのちに、『もしルーズベルトが生きていたら、イスラエルが果たして誕生したかどうか、大いに疑問だ』と断言している。」『ユダヤ人の歴史・下』p.361

 ヒトラーによって「ユダヤ人大統領」とレッテルを貼られたルーズベルト大統領でしたが、原油欲しさに、サウジのイブン・サウドと会談して、親アラブ派に転じたようです。
 しかし、ルーズベルト大統領は死んだために、イスラエル建国物語の登場人物とはなりませんでした。
 代わって主役に躍り出たのが、トルーマンです。

 「トルーマンは、前任者よりもはるかに率直にシオニズムへの支持を表明したが、それは半ば心情的なものであり、半ば政治的計算からであった。彼はユダヤ人難民に同情し、パレスチナのユダヤ人を迫害の被害者と見ていた。
 またルーズベルトに比べると、ユダヤ人票の行方について自信がなかった。来るべき1948年の選挙で勝利を収めるためには、ニューヨーク州やペンシルベニア州、それにイリノイ州などの大票田で、ユダヤ人組織からの支持表明を必要としていた。そこでイギリスがひとたびパレスチナの統治権を放棄するや、トルーマンはユダヤ人国家創設支持を表明したのである。・・
 1947年11月29日、トルーマンの断固たる支持を得て、新分割案は国連総会で可決される。賛成33票、反対13票、棄権10票が投じられた。」p.361

 アメリカがイスラエル国家の創設を支持したのは、ジョンソンによれば、単にトルーマンが大統領選でユダヤ票を欲しかったからだ、ということです。
 1948年の選挙では、実際にトルーマンは勝利したわけですから、この選挙作戦は成功だったということになるのでしょうが、はたしてユダヤ票はどれだけ当選に貢献したのでしょうか? 気になるところです。

 ジョンソンの説明では、アメリカの要因はこれだけです。
 20世紀という時代に起きたかくも重大な出来事に対して、アメリカが決定的な影響力を果たしたにもかかわらず、その動機が、アメリカ国内のユダヤ票だった、ですか?

 しかし、ジョンソンはしっかりと国際資本の陰謀説にも言及して、これを否定します。

 「のちにアラブ諸国とソ連は、イスラエル国家の創設が資本主義者と帝国主義者の陰謀だと信じるようになった。この考えは国際的左翼陣営からも全般的な支持を得ている。しかし事実は異なる。
 米国務省と英国外務省はいずれもユダヤ人国家の成立を望んでいなかった。そのような国家の誕生は西側陣営に最悪の結果をもたらすと予見したのである。英国陸軍省もユダヤ人国家の創設に強く反対したし、米国の国防省も同じ立場を採った。・・米英の石油会社による新国家建設反対は、一段と激しかった。・・米国にも英国にも、イスラエル国家創設を支援する有力な勢力が経済界にはまったく見当たらなかった。いずれの国でもイスラエルの友人の圧倒的多数は、左翼陣営に属していた。」p.362

 したがって、アングロ・アメリカンの国際資本、帝国主義者による陰謀の結果としてイスラエル国家は創設されたのではない、とジョンソンが断定しています。
 アメリカ要因は、トルーマンのユダヤ票です。

 となると、以後、世界は、アメリカ国内のユダヤ票が国際社会を動かす、ということになるでしょう。アメリカ大統領がその当選をユダヤ票に依存している限り。

 整理してみると、アメリカの場合は国務省も国防総省もイスラエル建国には反対だったし、石油業界も反対だった、と。
 しかし、トルーマンがユダヤ票が欲しいので、この一点で、イスラエル建国が決まった、と。

いや、この説は、本当でしょうか?

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Study of History|ハザール・ユダヤ人は、ユダヤ人なのか? 投稿者:ウエダ 投稿日:2010年 6月25日(金)17時04分10秒


こんにちは、皆さん、植田です。

 イスラエル国家とは何か。
 シュロモ・サンドから始めてポール・ジョンソンを経て、今、ジョン・コールマンの『石油の戦争とパレスチナの闇』を読んでいます。
 コールマンは陰謀論者として知られていますが、極端な箇所を無視すれば、なかなか面白い読み物です。

 『パレスチナの闇』は2003年に出た本ですが、-英語版は2002年ー、内容は、ほとんどが「バルフォア宣言」の批判です。

 で、彼ら西洋文明諸国の事情は今は省略させてもらって、ユダヤ人問題にはとんと縁がなかった日本人の一人としての私の、今の感想です。

 イスラエル国家とは何か。
 これはキリスト以前に中東地域に存在した旧約聖書の民とはまったく関係ない、東ヨーロッパに出現したハザール・ユダヤ人と呼ばれる人たちが建国した国である、と。この人たちは、人種的には、キリスト以前の中東のユダヤ人とはまったく関係がなく、政治的事情からユダヤ教に改宗したことから、自称・ユダヤ人となりました。

 「混同されやすいが、現代のシオニスト運動は主に非正統派ユダヤ教徒によるものだ。彼らはハザール地方を源流とするインド・トルコ系の民族であり、パレスチナとは何のつながりもない。現在のロシアの黒海からカスピ海にかけて分布し、8世紀にプラン王がユダヤ教を採用して改宗したのである。」『石油の戦争とパレスチナの闇』p.270

 19世紀になってシオニスト運動を始めたユダヤ人は、イエス以前の中東に存在したユダヤ人とは何の関係もありませんでした。
 関係がない、というのは、身体的なつながりはない、ということです。
 ユダヤ人を、ユダヤ教の信者と定義すれば、ハザール・ユダヤ人、シオニスト・ユダヤ人も、立派にユダヤ人です。

 しかし、ユダヤ人の定義に「血」の要因を入れると、ハザール・ユダヤ人はユダヤ人ではない、ということになります。
 コールマンは、血の要因を重視しているので、読んでいると、混乱してきます。
 つまり、コールマンは、ユダヤ人は信仰によってユダヤ人となるのではない、という立場です。

 で、私は、これらの事情を日本に引き寄せて考えると、こういうことではないか、と思いました。
 日本人は、すべて天皇の臣民である、としてみます。

 で、列島の外のどこかの地域で、ある集団が、アマテラス神話を信じる、という決定をしたとしてみます。
 アマテラス大神を、私たちの神とする、と。
 したがって私たちも天皇の臣民であり、日本人である、と。

 さて、このように自称する列島の外で勝手に改宗した「日本人」を、列島に住む日本人は、はたして「日本人」と認定できるか?
 彼らが、「私たちは神武天皇以降の皇統を尊重し、平成天皇を信じる。だから私たちは日本人である」と主張するとき、列島人は、彼らを日本人と公認できるか。

 これが、現在のイスラエルで起きているユダヤ問題である、ということがわかりました。