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ACTAの危険性

2010-09-07 | clipping
アシスト|コラム(Our World) 題名:No.931 ACTAの危険性 From : ビル・トッテン Date : 2010年08月30日
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1193956_629.html


今、インターネットに関連して私が気になっていることがある。「模倣品・海賊版拡散防止条約(Anti-Counterfeiting Trade Agreement:以下 ACTA)」をご存知だろうか。アメリカやEU、カナダ、オーストラリアそして日本などの先進国政府が2006年から作ろうとしている国際法である。
(ビル・トッテン)

ACTAの危険性

アメリカの友人たちと、このACTAの潜在的な危険性について最近電子メールで意見交換を行っている。ACTAの名称からすると、あたかも中国などからの模倣品や海賊版を取り締まることが目的のような条約だが、その内容はインターネットを規制する方向にもっていこうという意図が含まれるからだ。

アシストは企業や行政機関などのにコンピュータ・ソフトウェア製品およびサービスを提供している会社である。コンピュータによって飛躍的に人間の処理能力は向上したが、ITにおける真の革命的な出来事はインターネットの普及であると私は思っている。なぜなら資金力のある組織が一方的に情報を流すことができるテレビと違い、資金がなくても、一個人でも、インターネットによって記事や映像を配信することが可能となり、また受け手側も自分のニーズにあったものを選択することができるようになったからだ。

各国の政府は、世界には多様性があることや、政府や大企業が知られたくないことを、多くの国民に効率よく知らせることができる仕組みであるインターネットをコントロールするために「知的財産権」という言葉を使い、国際的な規律を作ろうとしている。先進国政府は秘密裏にこの条約を成立させようとしているが、その内容がインターネットで少しずつもれている。だからこそ私たちが知ることになったのだが、そんなインターネットの取り締まりをしたいのは当然かもしれない。

日本国内の法律を見ると、今年5月、インターネットを政府の規制下に置く「放送法改正」が衆議院を通過した。これは、現在異なる法律で規制されている放送と通信を一元的に規制しようとするというものだが、これによってインターネット上で行われる個人の情報発信が政府の規制下に置かれることになる。放送法改正はACTAのための下準備といえるだろう。

ACTAについては非営利組織である電子フロンティア財団や他の監視団体などが、基本的人権や自由を侵害するとみて透明性を求める活動を行っている。民主的なプロセスによって条約が作られていないことは確かである。そしてACTAが批准されればプロバイダーにはWebサイトの監視が義務付けられ、その結果著作権違反という名の下に人気のあるYouTubeやFlickrのようなサイトでも閉鎖させることができるようになる。

究極は、現在そして未来の革新のために、情報やナレッジを人々が自由に共有すること、それ自体が禁じられるようになるだろう。規制緩和を叫ぶ政府が急に規制を強めたいと言い出したとき、その裏に誰がいるかといえば、今の体制における既得権益者しかない。そしてインターネットは、それくらい彼らにとって脅威だということだ。

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asahi.com|偽ブランド品・海賊版の規制強化へ 国際条約が大筋合意 2010年10月2日11時25分
http://www.asahi.com/business/update/1002/TKY201010020113.html?ref=goo


 日米欧、韓国など37カ国は2日、「模倣品・海賊版拡散防止条約」の交渉で大筋合意した。日本が2005年に提唱し、9月23日から東京で最終交渉していた。主に中国で作られる偽ブランドの模倣品や、違法コピーの海賊版の取り締まりを水際で強化するのが狙い。来年にも正式署名する見通しだ。

 条約は、世界貿易機関(WTO)の模倣品防止に関する協定を強化するもの。同協定で輸入時のみに義務づけている模倣品の取り締まりを、自国からの輸出時にも拡大。摘発を逃れるため模倣品とは別の場所で作る「偽ラベル」の刑事罰化や、小分けにして模倣品を持ち込む「少量貨物」の摘発も盛り込んだ。

 インターネット上で流通する模倣品対策では、接続業者(プロバイダー)と被害企業が協力して対応できるように政府が支援することを規定。海賊版ソフトをゲーム機で使える技術も規制する。

 交渉では、中国などの模倣品対策とは別に、「パルマ・ハム」など原産地名の入った産品を他国で作った場合、水際で取り締まるかどうかについて、原産地の多い欧州と、他国の地名を借りた製品の多い米国などが対立していた。最終的に「取り締まるかどうかは各国の国内法に基づいて対応する」との内容で折り合いをつけた。

 経済協力開発機構(OECD)によると、07年の世界の模倣品・海賊版の貿易額は推計で2500億ドル(約21兆円)。条約交渉には中国などが参加しておらず、日本などは今後、模倣品が多く流通するアジアや中東、中南米諸国などに加盟を呼びかける。今後協議を進める二国間の経済連携協定(EPA)にも同様の内容を盛り込み、実効性を上げたい考えだ。(小暮哲夫)