星家なこ『フレンズ×ナイフ』 感想です!
嘘でお近づきになった友だち関係、一緒の時間を過ごして知る相手の秘めたる心のうち、想いはいつしか本物へと変わっていて――
荒っぽい探偵業という裏の仕事をこなす家系にいる、女子高生のあかり。良くない人を罰する彼女に任されたのはなんと同級生の亜子の護衛でした。
亜子は天真爛漫な可愛い女の子。守りやすいようにと嘘をついてお近づきになり、偽りで始めた友だちは、彼女の苦悩を知り、純粋さに触れ、あかりの心は惹かれていくのでした。
タイトルにもあるフレンズ、友だちという関係にとにかく焦点の当たった作品でした。嘘で友だちを強調するあかりの、心の揺れ動き。友だちができて心を許していく亜子の笑顔。女の子2人が、お互いの秘密を知りゆく中で生まれてしまったすれ違いがとても悲痛でした。
夜に現れる黒き獣を倒す日々の亜子。彼女が持つ魔法の如き異能力の由来が、彼女の事情を掘り下げていくきっかけになります。かりそめに深まる仲が暴かれてひび割れて……自分にとって相手はどんな存在なのか、一心に向き合い答えを出す2人のひたむきな姿が深く伝わってきます。偽りと本物の間をさまよう友情、その心理の描き方が真っ直ぐで、最後はジーンとする物語でした。
2人の女の子が距離を縮めていく「友だち」を主軸にした切な展開に、深く思いを馳せました。百合と一括りにできない味わい、すごくよかったです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます